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渋谷 TSUTAYA O-EASTで行われたライブの運営に怒りと悲しみを感じるので改善して欲しい

バンドを批判したいわけではない

 

12月16日に渋谷O-EASTで行われたネクライトーキーのライブ。その運営方法に怒りと不信感を持ってしまった。

 

この記事はライブを行ったネクライトーキーを批判したいわけではない。メジャーデビュー1年目のバンドが運営方法に深く関わっているとは思えないし、それはバンドがやる仕事ではないだろうから。

 

むしろコロナ禍でも音楽を届けようと、ライブを行ってくれたことに感謝しているぐらいだ。本当に素晴らしいライブだった。

 

 

ファンの盛り上がりも最高だった。声も出せないし動きにも制限がある中でも、バンドの音楽にしっかり反応してできる範囲で盛り上がっていた。この会場に集まった人たちは、みんな音楽が大好きなのだと思う。

 

それでもモヤモヤが残ってしまうほどに、運営方法が最悪だった。どこの会社が主導しているのかはわからないが、改善すべき点ばかりだった。

 

自分はコロナ禍になってから何度かライブに足を運んでいる。ライブハウスやホールでのライブだけでなく、アリーナやドームでもライブを観た。その都度に「徹底した感染症対策をしている」と思い関心していた。安心してライブを楽しめた。

 

検温も手指の消毒も来場者全員に徹底して行っているし、入場列も密にならないように間隔を空けるようにしていた。靴底の消毒をしている会場もある。空調も常に動かして換気している会場ばかりだ。

 

入場するためには個人情報や体調について記入するアンケートに答えなければならないし、客席も間隔を開けて密にならないように工夫されていた。マスクをしていない人は入場を断られる。終演後は小さな会場でも密を避けるために規制退場をしていた。

 

来場者も協力している人ばかりだ。みんなルールを守っている。ほんの一部に最低な客もいるが、それでも「感染者を出さずにライブを成功させる」「生で音楽を聴ける場所やエンタメを守る」という意志をもっている人がほとんどなはずだ。

 

飲食店やショッピングセンターなど、さらに多くの人が集まる生活に必要な場所よりも対策に関する項目は多いし、映画館など他のエンタメ施設よりも徹底していると感じる。

 

だからライブハウスをはじめとするコンサート会場が世間から「危険」と思われていることに、もどかしい気持ちを持っていた。安心して楽しめるように対策と工夫をしている。世間の誤解をなんとか解きたい。そう思っている。

 

しかしネクライトーキーのライブへ行って、これでは世間の誤解は解けないと思ってしまった。もしも何かあったら言い訳が誰もできないと思った。

 

運営に対する違和感

 

入場前から違和感があった。「コロナ禍になる前のライブハウスの姿」があったからだ。

 

会場の渋谷O-EASTは渋谷の細い路地にあるライブハウスで、会場周辺に人が集まれそうなスペースはない。そこに数百人の入場待機客が集まるわけだが、ソーシャルディスタンスを保ちながら数百人を待たせるスペースなど、会場周辺にはない。

 

そのため待機列はすし詰めのライブハウスと同じ程度の密度になっていた。さらにスタッフは「一歩ずつ前に詰めてください」と大声でアナウンスをしていた。スタッフはマスクをしているものの、フェイスガードはしていない。

 

列から離れた場所にいると、スタッフから「列に並んでください」と注意を受ける。周囲には他の店やライブハウスもあるため、たしかにO-EASTの客が別の場所にいることは迷惑だ。必然的に密状態の列にならばなければならない。

 

入場時にアルコール消毒はなかった。フロア入口にアルコールは置いてあったが、他のライブでは入場時にスタッフが全員に吹きかけていた。これでは気づかずに消毒しない人もいるだろう。

 

会場に入ってからも違和感や不信感は続く。全くソーシャルディスタンスができていないのだ。

 

1階席のステージ前方4列だけパイプ椅子が置いてあったが、全席が座れるようになっていた。他の会場では前後左右の座席は空席にして空間を開けるようにしているのに。

 

スタンディングゾーンも一人分のスペースがテープで四角く囲まれて案内されていたものの、そのスペースはめちゃくちゃ狭い。横の人とギリギリ肩が当たらない程度の狭さ。体感的にはコロナ禍になる前と変わらない密度。

 

それでも後から客は続々と入ってくるので、「スタッフは奥に詰めてください」とアナウンスをする。さらに密状態になっていく。1階席では密を避けることは不可能で、2階席の一部しか密を避けることができなかった。

 

来場者は声を出すこともなく、もちろんモッシュやダイブもしなかった。大人しく制限がある中でも楽しもうとしていた。しかし違和感や恐怖を感じていた人もいたかもしれない。だらしない運営に対して、客は真面目なのだ。

 

 

手段が目的になってしまっている

 

感染症対策は文字通り”感染症を防ぐこと”を目的に行う。

 

しかしネクライトーキーのライブでは”感染症対策をすること”が目的になっていた。

 

現場にいたスタッフは上から指示された仕事をしていただけだろう。だから彼らを悪くは言えない。しかし上の立場のスタッフが現場を知らずに適当に指示をしていたのだとしたら大きな問題だし、分かった上での指示ならば最低だ。

 

アルコール消毒や検温、マスクの着用などは感染症対策をしていることを”わかりやすく”外部に伝えられる。「我々は対策をしていますよ」と外部にアピールしやすい。

 

だからこそ”アピールしやすい部分”以外が適当になっていたことが目立ってしまった。自分はコロナ禍になってから、「絶対に感染者を出さない」という強い意志を感じる運営のライブばかりに行っていた。その想いに感動し共感したからこそ、改めて客側も気を引き締めなければと思った。

 

しかし今回はそんな意志を運営からは全く感じなかった。「アルコール置いて検温してマスク着用させれば開催して良いんでしょ?」ぐらいの軽い気持ちとすら思ってしまった。

 

また他のライブハウスは客数を座席を置いた場合の最大キャパの50%以下に設定して開催しているように思うが、ネクライトーキーの場合はスタンディングでの最大キャパの50%以下に設定しているように感じた。

 

スタンディングでの最大キャパが1300人の会場だが、自分が確認した範囲では500番以上の整理番号でもチケットは出ているようだった。椅子有りだとしたら500人も入れることができない会場だ。だからキャパを減らしているはずなのに、他のライブと比べると会場内が密になっていたのだろう。

 

全ての面で運営の意識が低すぎる。

 

 

本気で対策をしている運営もある

 

ネクライトーキーのライブを観る4日前に、自分はSHISHAMOのライブを観に行った。

 

 

そこでは徹底的な感染症対策がされていた。

 

チケットをあらかじめダウンロードのうえ、ご自身の座席列をご確認いただくとともに、それぞれの推奨時間に合わせてのご来場をお願い致します。

===============
<入場推奨時間>
【17:15〜17:30】
 [1F 1列〜12列]のお客さま

【17:30〜17:45】
 [1F 13列〜30列]のお客さま

【17:45〜】
 [2F席]のお客さま
===============

 

 (引用:【東京】SHISHAMO FC限定ツアー「しゃもサポだけの秘密やで 2020」|SHISHAMO Official Website)

 

会場はZepp Tokyo。基本はスタンディングのライブハウスだが、全席指定にして座席番号ごとに分散して集まって入場するように推奨されていた。

 

スタッフはマスクとフェイスガードを着用していて、「間隔を空けてください」「詰めないでください」と入場時にアナウンスをしていた。グッズ販売でも同じように間隔を空けるように指示していた。ドリンク交換時のスタッフは声を出さずに黙々と仕事をし、ビニール手袋を着用して渡していた。

 

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座席は前後左右を空席にして密を避けるように工夫されていた。

 

開演中は後方の上手と下手の扉を全開にして常に換気をしていた。終演後の規制退場も少人数ごとに細かく行っていたし、帰る際も「間隔を空けて歩いてください」「会場前に留まらずにまっすぐ帰宅してください」とスタッフがアナウンスしていた。

 

その対応からは「絶対にこの会場から感染者を一人も出さない」という強い意志を感じた。

 

覚悟を持ってライブを運営していると思った。だから来場者もルールを厳守して協力したのだろう。MCで笑い声も一切出さないほどだ。おかげでメンバーの話が全てスベっているようだった。少しかわいそう。

 

ネクライトーキーのライブ運営とは、何もかもが真逆だ。SHISHAMOの運営が行なった対策は高度なことではなく、やろうと思えば渋谷O-EASTの規模でも可能なことばかりだ。自分が行った他のライブ会場でも同様の対策をしているパターンばかりだった。

 

今のライブハウスは世間から忌み嫌われている。

 

不良の溜まり場だと思っている人は今でもいる。一度クラスターになってしまったことも影響して、コロナ禍でイメージはさらに悪くなってしまった。

 

少しづつ信頼を取り戻さなければならない。いや、もともと存在しなかった信用を作っていかなければならない。そのためにはアーティストだけでなくスタッフもファンも、音楽やライブを愛する人が一致団結しなければならない。

 

今はルールを徹底して守ることこそがロックでカッコいいのだ。ヒップホップが好きなヘッズは、今は世間ではなく感染症に対して反抗する行動をすべきだ。アイドルオタクが推しへの愛を伝える手段は、今は声援を送ることではなく推しが輝く場所を静かに守ることだ。

 

生の音楽を楽しめる環境を消滅させてはいけない。もしもライブ会場でまたクラスターが発生したら、これから数年は生のライブは観れなくなってしまうかもしれない。これは大袈裟な話ではないはずだ。

 

だから運営は徹底的な対策をして欲しい。本気になって欲しい。その強い意志や覚悟が伝われば、音楽やライブを愛する人は必ず協力するから。 

 

そしてライブに行く観客は、自ら徹底して対策をして覚悟を持ってライブに行って欲しい。運営に言われたかどうかではなく、自ら調べて考えて行動するべきだ。

 

どれだけ音楽を大切に思っている人が多いとしても、音楽もライブも世間的に不要不急だ。これは永遠に変わることはない。今はライブへ行くことが批判されても仕方がない。だから絶対に感染しないように気をつけるべきだ。医療関係者に迷惑をかけてはならない。

 

そして今も様々な事情で行きたくてもライブへ行けない人がいるということを、改めて考えよう。運良くライブに行ける自分たちが、ライブ会場は安全で安心であるということを証明して、少しづつ世の中を変えていかなければならない。

 

一人づつの力は小さくても、積み重ねればきっと今とは違う未来があると信じて行動しよう。

 

だから適当でグダグダな酷いライブ運営がされていたら、それを批判するべきだ。逆に本気でやっている運営は協力しない客にを締め出すぐらいに怒っていいと思う。それぐらいにお互いが本気になるべきだ。

 

「ライブはファンと一緒に作るもの」

 

こんなMCをコロナ禍以前からするアーティストはたくさんいた。今はまさに「ライブを一緒に作るもの」だと実感している。ファンが盛り上げて雰囲気を作ることだけが「一緒にライブを作る」という意味ではないのだ。

 

自分はGo toキャンペーンを全肯定しないものの賛成派だ。徹底的に対策するならば忘年会をやってもいいと思う。経済を動かすための取り組み自体が問題なのではなく、適当な人間が適当に行動することが問題なのだ。

 

だからライブ会場にいる人は適当な人になってはいけない。本気の人だけにしなければならない。

 

ライブが問題と思わせてはいけない。最高のライブをファンの一人として、みんなで作らなけれなならない。

 

自戒も込めて書くが、そのために全員が本気になろう。

 

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