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【ライブレポ・セットリスト】ネクライトーキー「ゴーゴートーキーズ!2021」2021年8月25日 HEAVEN'S ROCK宇都宮

仕事としてやってはいますが、日常の中に少しの特別な時間を作るためにやっています

 

ネクライトーキーのライブツアー「ゴーゴートーキーズ!2021」の宇都宮公演。

 

その中盤で朝日が話した言葉が印象的だった。コロナ禍で感染が爆発している今だからこそ、この言葉が耳から離れなかった。

 

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かつての自分は「非日常」を味わうため、ライブへ行く節があった。しかし今はどうしても「日常」と繋げてしまう。不安定な日常の中で、不要不急と言われるライブが行われる意味について、色々と考えてしまう。

 

しかしライブが始まればかつてと同じように、最高の音楽体験ができる。感染症対策が理由の厳しいルールで縛られているものの、多幸感に満ちた空気だってある。ネクライトーキーはそんなライブをやってくれる。

 

序盤からその空気は作られていた。メンバーもファンも心の底から楽しんでいるようで、まさに日常の中にある特別な時間であることを、実感しているようだった。

 

『誰が為にCHAKAPOCOは鳴る』から勢いよくライブをスタートし、初期の人気曲『タイフー』で熱気を上げ、『はよファズ踏めや』『きらいな人』ではフロアを煽り盛り上げていく。

 

ロックバンドとしてクールな演奏をしつつも、明るい空気を作っていた。そんな空間が楽しくないはずがない。

 

生でライブをやれることを感謝しています。心の熱は伝わりますので、みんなが声を出せない分、こっちが大きな声を出していきます

 

少し緊張した様子で、もっさがゆっくりと話す。遠回しではあるが、コロナ禍にライブを行うことへの想いや覚悟を感じた。

 

しかし演奏が始まれば、以前と変わらない最高のネクライトーキーのライブだ。

 

『八番街ピコピコ通り』でポップな演奏と歌声を響かせ、朝日がギターを持ち変えるのを横目に見ながら「新しいギターに持ち替えたようなので、新しい曲をやりましょうか」と、もっさが言ってから新曲『ふざけてないぜ』を披露。

 

キャッチーなロックを2曲続けてからは、『豪徳寺ラプソディ』『カニノダンス』と重低音響く渋い演奏をする。そして曲間なしでメドレーのように『こんがらがった』を続ける。

 

今回のライブは曲間が少ない。ライブアレンジを取り入れてDJのように曲を繋いでいく。バンドもファンも休む暇がないほどに、畳がけるような勢いで続いていく。だから熱気が常に維持されている。ポップなバンドに思われがちなネクライトーキーだが、実際は衝動的なロックバンドなのだ。

 

ライブをやる都度に進化していることもわかる。元々大胆なライブアレンジを取り入れる楽曲の『許せ!服部』は、今回のツアーでさらに新しいアレンジを取り入れていた。

 

もっさが「CD ver」「ライブ ver」と書かれたパネルを持って、それが交互に掲げられることで演奏がCDバージョンになったりライブバージョンになったりと、目まぐるしく変化する。それは以前から変わっていないが、パネルを横にやったりもっさが踊ったりと動きは自由になっていく。

 

それは今までと違う。その都度に新しいライブアレンジが繰り広げられ、原曲の原型を留めないほどに変化していく。メンバーのソロプレイを回したりと、リズムが頻繁に変化したりと、驚きの展開が「これでもか」と詰め込まれている。

 

リリースツアーだからと最新アルバムの曲を披露するだけでなく、過去の曲も進化させた上で披露しているのだ。

 

 

 

その演奏はどんどん熱くなり、ドラムのスティックが折れてもっさに刺さりそうになるトラブルもあった。もっさの悲鳴が聞こえたが、気にせず演奏は続いた。衝撃の展開は音楽以外の場所でも起こっていたのだ。

 

中村「さっきは大丈夫だった?」

もっさ「大丈夫。でも殺されるかと思った」

朝日「ドラマーを怒らせたら16ビートを身体に刻まれるから気をつけな」

 

MCではもっさの命が危うかったことを話していた。無事が確認できて何よりである。

 

『踊る子供、走るパトカー』『だけじゃないBABY』とポップな曲が続く。殺されそうになっていたとは思えないほどに、伸びやかなボーカルをもっさは披露した。

 

ネクライトーキーはロックバンドだが、激しく演奏するだけではない。切ないスローテンポの曲も見事に表現する。

 

それは『思い出すこと』『大事なことは大事にできたら』の歌と演奏を聴けば納得できるはずだ。

 

中村郁香の繊細なピアノともっさの歌が、ファンを音に集中させて静寂を生み出す。そして後にバンドの演奏が加わり壮大になっていく。

 

気づけば長いことバンドをやっているものだなあと思います。高校生の頃は学校が窮屈に思っていたけれど、卒業する時に誰も守ってくれない世界に放り出されるんだなと思って不安になったりして。

 

実際に卒業後は上手くいかないことばかりでした。それでも辞めるほど悪くはないかなと思う感じで続いています。なんだかんだ旅は続いているんだなあと。そんな曲をやらせてください。

 

朝日が言葉を選びながら、曲に込めた想いを語ってから『続・かえるくんの冒険』が演奏される。

 

この曲はポップで可愛らしいと思っていた。しかしそれだけではなく、大切な想いや意味があるのだと気づく。すると聴いた時の感じ方も変わってくる。これもライブの醍醐味だ。、

 

もっさ「新しい機材買ったのに自慢しなくていいの?」

朝日「それは楽屋やスタジオでやることや!お客さんの前でやることではない!」

もっさ「そっか」

朝日「リバーブのエフェクターを買ったんですよ」

もっさ「自慢するんかい」

 

こんなことを言いつつも新しく買ったリバーブを自慢する朝日。解説しながら実際にリバーブを使って様々な音を出して紹介しドヤ顔をする。

 

「このMCの後は最後まで駆け抜けるから、このタイミングでしか自慢できなかった」と言っていたを満足げな様子である。他のメンバーは苦笑いしていた。

 

ここからラストスパート。『気になっていく』でフロアを明るく彩り『俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ』で衝動的なポップロックで盛り上げる。海外でもバズり新しい代表曲の一つになった『北上のススメ』で熱気は最高潮に。

 

『オシャレ大作戦』ではイントロから朝日が叫んだり、もっさはいつも以上に荒々しく歌ったりとメンバーのテンションもマックスになっている。ファンも当然ながら声は出せないものの、後ろまで腕を挙げて盛り上がっている。

 

ラストに『Mr.エレキギターマン』でロックバンドとして爪痕を残す最高の音を鳴らして、颯爽とステージを去っていった。

 

すぐにアンコールで出てきたものの、再び朝日が新しく購入したリバーブの自慢を始める。そうとう嬉しかったのだろう。

 

なかなか演奏が始まらず「リバーブとディレイの違い」についてメンバーで語り始めた。結論としては「やまびこがディレイでお風呂がリバーブ」ということになった。見事な例えである。

 

散々リバーブの自慢をして満足してから、ようやく真面目に今回のツアーについて語り始めた。

 

ライブをやる前は今でも毎回緊張しています。終わった時には毎回倒れるほど汗だくになっています。

 

ライブは仕事としてやってはいますが、日常の中に少しの特別な時間を作るためにやっています。だから緊張しても汗だくになっても、ライブを日常の中でできていることが嬉しいです

 

コロナ禍ではライブが日常的に行うことが難しくなってしまった。それでもネクライトーキーは感染症対策を徹底し、工夫しながら全国ツアーを行っている。これを日常にするために戦っている。

 

MCではふざけたことばかり話していたし、セットリストは力をもらえる明るい曲が中心だった。それでも「今ライブをやる意味」を深く考えて葛藤しながら開催をしているのかもしれない。

 

その想いに共鳴したいし、ファンも意味を考えながらライブに参加すべきだと感じる。

 

『めっちゃかわいいうた』で再び最高のロックサウンドを鳴らし、ほぼ毎回ラストに演奏される『遠吠えのサンセット』で完璧な演奏を披露し、ライブは終演した。

 

アーティストは様々なことを考えて葛藤した上で、有観客のライブを行っていると思う。ネクライトーキーもそれを考えた上で「日常の延長にある特別な時間」を作ることに徹底し、最高でロックなライブをやり遂げた。ファンにとっても特別な時間になったはずだ。

 

ちょっとイカれてる夢を見せるような、最高のライブだった。この日常がこれからも続きますように。

 

ネクライトーキー「ゴーゴートーキーズ!2021」@HEAVEN'S ROCK宇都宮 2021.8.25

■セットリスト

01.誰が為にCHAKAPOCOは鳴る
02.タイフー!
03.はよファズ踏めや
04.きらいな人
05.八番街ピコピコ通り
06.ふざけてないぜ
07.豪徳寺ラプソディ
08.カニノダンス
09.こんがらがった!
10.許せ!服部
11.踊る子供、走るパトカー
12.だけじゃないBABY
13.思い出すこと
14.大事なことは大事にできたら
15.続・かえるくんの冒険 
16.気になっていく
17.俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ
18.北上のススメ
19.オシャレ大作戦
20.Mr.エレキギターマン

EC1.めっちゃかわいいうた
EC2.遠吠えのサンセット

 

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