ONE OK ROCK『Eye of the Storm』で「洋楽化」したワンオクに求めていること〜アルバムの感想〜

洋楽の音

「洋楽っぽい」という批判。これは日本人独自の日本の音楽に対する批判かもしれない。洋楽の影響を強く感じるとマイナス評価をくだされる場合がある。

今の日本のミュージシャンは日本独自の音楽を作っている日本のミュージシャンが多く、そんな「日本の音楽」を愛しているリスナーが多いことが理由かもしれない。洋楽と邦楽を別のジャンルとして捉えてられている部分があるのかもしれない。

「洋楽のパクリ」「これなら洋楽を聴く」

このような批判をONE OK ROCKがされている。過去もそのような批判はあった。しかし、最新作の『Eye of the Storm』にはそのような批判が特に多く向けられている。ファンからも賛否両論のアルバム。

過去作とは明らかに違う編曲や音作りがされている。完全感覚Dreamerなどの人気曲で感じるようなワンオクの魅力は薄れているかもしれない。そんな新しい方向性の音が「洋楽っぽい」と言われている。

しかし、「洋楽っぽい」とはどのような音楽なのか。

「洋楽っぽい」ってなんなん。

ちなみにワンオクロックっぽい名前のスリーオクロックというバンドもかっこいいです。

Sixteen Tambourines (12 inch Analog) /スリーオクロック

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洋楽っぽいってなんなん

洋楽っぽい音で思い浮かぶのはどのような音やアーティストなのだろうか。

チェインスモーカーズやカルヴィン・ハリス？それともアリシア・キーズかエド・シーラン？バンドならコールドプレイ？もっと昔ならビートルズやストーンズ？

上記で挙げたアーティストは日本でもヒットを出している海外の人気アーティスト。つまり「洋楽の音」。

しかし、どのアーティストも音楽性が全く違う。ジャンルが近いものや似ている部分もあるとは思う。しかし、どのアーティストも個性的だ。

ワンオクの『Eye of the Storm』はそれらのアーティストと似ているだろうか。影響は受けているかもしれない。しかし、別物だ。

「洋楽っぽい音楽」で想像する音楽も人それぞれだし「洋楽」は音楽ジャンルではない。どのような音楽か説明ができない。

逆に「邦楽っぽい」とはどのような音楽だろうか。

ミスチルやサザン？西野カナやあいみょん？バンプやアジカン？米津玄師？北島三郎？それとも昔のワンオク？

どのアーティストも音楽性も活動スタイルも違う。洋楽と同様に邦楽も音楽ジャンルの話ではない。

「邦楽っぽい」ってなんなん。

ちなみにワンオクと名前の似ているスリオクはアメリカのバンド。洋楽である。ガレージサウンドにポップなメロディが加わった個性的な音楽だ。「洋楽っぽい」と言われるワンオクの音楽と似ているだろうか。自分は名前以外は似ていると思えない。

「洋楽っぽい」に込められた意味

しかし「洋楽化」していると感じ、今作を低評価している人の気持ちもわかる。決して洋楽や洋楽っぽい日本の音楽を晒しているわけではないと思う。

「個性を捨てて流行りを取り入れて売れようとしている」という意味を含んで批判の言葉としているのかもしれない。

洋楽を一言でどのような音楽かを語ることは難しいが、トレンドのジャンルや音はある。イギリスやアメリカのビルボードチャートを見ると、打ち込みを多用したダンスミュージックやR&Bやヒップホップが多い。ソロのアーティストが殆どでバンドは滅多にランクインしない。

コールドプレイやマルーン5はトレンドの音を取り入れつつ、自分たちの新しい音楽を作った。時代に合わせつつも個性を打ち出して名曲を作った。

ワンオクは海外でも成功することを目指している。海外でも多くの人に自分たちの音楽を届けたいと思っている。そのためトレンドの音を取り入れたのだと思う。

しかし、それによって今までの個性を潰してしまい、ありきたりな流行りの洋楽のコピーだと思われてしまったのではないだろうか。

ワンオクの代表曲である『完全感覚Dreamer』と最新作のリードトラック『Stand Out Fit in』を聴き比べると、違うバンドの音源にすら聴こえる。

完全感覚Dreamer

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Stand Out Fit In

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『Eye of the Storm』ではジャスティン・ビーバーのプロデューサーのプー・ベアーなど海外の大物音楽プロデューサーが複数参加している。

ワンオクのメンバーもプロデューサーの意見を積極的に取り入れていたようだ。そのため、「ワンオクの作品」と言うよりも「参加したプロデューサーの作品」に感じてしまう部分がある。

その方向性は日本でワンオクを支持していたファンの趣味嗜好とは違うものかもしれない。そのため批判が増えても仕方がないかもしれない。

しかし『Eye of the Storm』ではワンオクの個性や魅力は消えてしまったのだろうか。自分はそうは思えない。

ちなみにガレージロックをやっていたスリオクも、80年代にトレンドのシンセサイザーの音を取り入れて楽曲を作っている。どのバンドも流行りの音を取りれつつ進化をしているのだ。

常に進化を続けている

バンドは生き物だと思う。常に変化もする。進化することもあれば、退化することもある。もしかしたら最新作は「退化した」と思っている人が多いかもしれない。

しかし『Eye of the Storm』の楽曲はどれも完成度が高い。音作りも編曲も細部までこだわっているように思う。

海外のヒット作や名盤と続けて聴いても全く遜色のない魅力を感じる。

新しいことに挑戦し、バンドの音楽性の幅を広げようとしている。海外でもヒット曲を出すことも目指している。

今作のプロデューサーのアイデアを完全に自分たちのものにはできず、今までの個性が隠れているかもしれない。しかし丁寧に作り込まれた楽曲ばかりだ。今までの個性が隠れたのではなく、新しい個性を手に入れたとも言えるのかもしれない。

過去の作品が好きだったファンは『Eye of the Storm』を受け入れられない部分もあるかと思う。それでも再度聴き返してみてほしい。そこには世界レベルのクオリティの楽曲が収録されている。今までのワンオクとは違う魅力もある作品なのだ。

「洋楽化」したと最近言われるワンオク。しかし日本人バンドが洋楽としか思えない音楽を作り、それを海外でリリースしているということは、凄いことではないだろうか。過去には海外に憧れた日本のミュージシャンはたくさんいる。しかし『Eye of the Storm』ほど海外の音に近づいた作品を作れたアーティストは少ないと思う。

ワンオクは進化している。自分たちの理想を追求して挑戦している。挑戦すれば賛否両論になるのは当たり前。それでも挑戦し新しい音楽を作り続けるワンオクは最新作でも変わらずにかっこよくて凄いバンドではないだろうか。

ちなみにスリーオクロックも流行りの音を取り入れた後、しっかり自分たちの個性とミックスさせ名曲を作り上げている。

ワンオクに求めていること

ワンオクに日本でライブを行って欲しい。

最新アルバムをリリースしたものの、日本でのワンマンライブは決まって居ない。それは今作で海外での成功を狙ったものという意思表示でもあるかもしれない。

『Eye of the Storm』の楽曲をライブで再現することは難しいはずだ。それをどのように演奏するのかを観てみたい。最新作の楽曲をライブで演奏した時にこそ、ワンオクの進化や凄みを感じるのではと思う。「洋楽化」なんて言葉で批評できないような「ワンオクにしかできないライブをやってくれるのではと思ってしまう。

自分が今のワンオクに求めていることは「批判意見を吹き飛ばすぐらいのライブを見せつけて欲しい」ということだ。

そして、もう一つ求めていることがある。

スリーオクロックは2014年にフジロック出演で来日して以来、日本でライブを行っていない。スリオクも日本でライブをやって欲しい。彼らのライブも生で見たら音源以上に感動するだろう。

できればワンオクロックとスリーオクロックの名前が似ている二組で対バンして欲しい。どちらも最高の演奏をしてくれるはず。

もしもツーオクロックという名前のアーティストがいれば１、２、３と揃いより面白くなるのだが、流石にツーオクロックはいないとは思う。

・・・・・・。

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