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でんぱ組.incの歌詞が最上もが脱退で嘘に聞こえるようになった

最上もがの脱退

 

「以上6名とここにいるみーんなで、でんぱ組.incです!」

 

これはでんぱ組.incのライブでメンバーの自己紹介をした後に、夢眠ねむが必ず言っていた台詞だ。

でも、もう聴くことはできない台詞かもしれない。

メンバーである最上もがが脱退してしまったからだ。

 

でんぱ組.incから最上もが脱退「心は共にぼくも頑張っていきたい」 - 音楽ナタリー

 

2016年からでんぱ組.incには不穏な空気は流れていた。

それはファンもなんとなくは察していたと思う。

 

それはメンバー間の関係が悪化しているのではという噂だったり、揚げ足取りもあっただろうがメンバーのSNSでの発言によって。

そして今年のアリーナツアー最終日の武道館公演でしばらくライブをやらないと発表してから半年以上でんぱ組としてのライブ活動はない。

メンバーの個人活動や個人や他の名義でのライブ出演がメインの活動になっていた。

これらのことから「でんぱ組、大丈夫?」と心配していたファンは多かったと思う。

 

8月6日にもがが脱退したことで、6人でのライブは武道館公演が最後になってしまった。

でも、武道館でまた6人でライブをやるって言ってたんだよ。

その頃から水面下では脱退に関する話し合いもあったのかもしれない。

人気グループでも人が集まって活動すれば様々な問題や衝突もあるのかもしれない。

だから6人でライブをできなくなったことは仕方がないことかもしれない。

でもね、ファンのわがままや勝手な意見かもしれないけど、“裏切られた”と感じたファンも少なくはないと思う。

 

そして、でんぱ組の歌が、でんぱ組の歌詞が“嘘の言葉”に聴こえるようになってしまった。

 

自分の場合は多少なりともそう感じてしまった。

いっそ武道館で解散してくれた方が良かったとか、脱退を発表してくれた方が良かったとさえ思ってしまった。

 

 

でんぱ組が他のアイドルと違う部分

 

事務所も小さいのにでんぱ組がアイドル戦国時代で勝ち上がって売れた理由は、他のアイドルとは違う理由があったと思う。

それは、メンバーのキャラクターと楽曲との親和性の高さではないだろうか。

歌詞にメンバーのパーソナルな部分やでんぱ組の6人の想いやコンセプトなどが他のグループよりも内容に含まれている。

 

WWDの発表以降“マイナスからのスタート舐めんな”といワードがコンセプトの1つのように扱われ始めてからは、特にその傾向が強くなった。

それによってメンバーが自分たちで歌詞も曲も書いていないにも関わらず『この6人でしか歌えない歌』が多くなった。

 

それはももクロの怪盗少女のように一部分にメンバーの名前が出てくるだけというわけではなく、歌詞が“そのメンバーにしか歌えないフレーズ”も多いので、一部分だけ歌詞を変更して対応も難しい。

 

それは他のグループが真似しようとしても真似することが難しい、でんぱ組.incの最大の強みになっていたと思う。

しかし、メンバーが脱退してしまうと、それは致命的なダメージになってしまうことでもあった。

 

これに関してはメンバーも思っていた事のようで、インタビューで語っていた。

 

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 最新曲のWWDBESTについて

 

👇画像をクリックで動画になります



WWDBESTは2016年の12月に発売されたでんぱ組のベスト盤に収録された新曲。

当時のでんぱ組ファンの間では、もしかしたらでんぱ組は解散やメンバー脱退があるのではと一部のファンが噂をしていた。

ファンの間でも少しだけ不穏な空気は流れていた。

しかし、この曲が不穏な空気も吹き飛ばしてくれた。

歌詞が前しか向いていない歌詞だからだ。

 

”終わりなんて来ないって笑ってあげる ”

 

”会えなくなって初めて気づくような

思い出なんて欲しくないんだ”

 

”へたくそばっかの六重奏ずっと ずっと ずっと”

 

 これらの歌詞のフレーズでファンは安心した人も多かったと思う。

これからもでんぱ組を応援していこうと思ったファンも多かったと思う。

 

しかし、最上もが脱退してしまった今では自分はこれらの言葉がすべて嘘に聞こえてしまう。

本人たちが書いた歌詞でもないし、リリース当時はメンバーもこのような気持ちではあったとは思うけども。

 

もがを含めた6人のでんぱ組は終わってしまった。

もがを含めた6人のでんぱ組にはもう会えないので”会えなくなって気づいた思い出”になってしまった。

5人になってしまったから六重奏ではなくなってしまった。

 

W.W.DとW.W.D IIも2度と歌えない

 

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でんぱ組の人気をさらに勢いづけるきっかけの1つになった曲はW.W.Dではと思う。

この曲の歌詞はメンバーの過去のコンプレックスやパーソナルな部分を内容にしている。

そして全員マイナスからのスタートでもでんぱ組の6人でずっと活動していき成り上がっていくという決意を歌っている。

 

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そしてW.W.DⅡはW.W.Dの続編にあたる曲。

メンバー同士でぶつかることもあったけど、それによって絆も深まってこの6人で活動を続けて成り上がることを再度決意した曲だ。

 

絶対 絶対 誰も欠けちゃいけないんだ
人と真剣に向き合うなんて
ヤでヤでイヤでしかたないけど
今はOne For All, All For One
こんなところで 止まるわけには いかないから

 

W.W.DⅡの歌詞が今では空しく感じてしまう。

 

他の曲も今まで通り聴けなくなってしまった

 

例えば”キラキラチューン”。

 

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この曲はライブではファンが間奏で言う下記の”口上”が存在する。

 

大人になった 今だって 
あの日の夢を あきらめない 

たまには喧嘩も するけれど 
泣いても笑顔で 仲直り

キラキラ涙を 吹き飛ばし 
キミと手と手を ギュッと つないで

未来へ向かって 駆け出そう 
でんぱ組.inc ずっと いっしょだよ

 

スタジオ録音のCDには口上やコールは収録されていない。

しかしライブに行ったことあるファンならCDを聴いていてもこの口上は思い浮かべてしまうし、ライブ音源には収録されている。

キラキラチューンはファンが口上をすることでより魅力も上がって曲自体が成長していったように感じる。

曲そのものだけでなく口上にも思い入れがある人も多いだろう。

 

そういった人にはキラキラチューンを聴くことも今までの思い出が邪魔をして、今までのように聴けなくなってしまった人もいるかもしれない。

 

そして”サクラあっぱれーしょん”。

これもでんぱ組らしいポップで明るくて楽しい曲だ。

しかし、自分はこの曲も今まで通り楽しく聴くことができなくなってしまった。

 

”君の未来を明るく照らすなんて

お茶の子さいさいさい”

 

この前向きな歌詞を前向きなメッセージとしてとらえることができなくなってしまった。

本当に未来を明るく照らすことは今のでんぱ組にはお茶の子さいさいなことなのかと疑問を持ってしまった。

 

自分は6人で活動しているでんぱ組が好きだったと最上もがの脱退でより感じた。

この6人でライブをやって歌って踊っている姿が好きだった。

様々な事情があるとは思う。

簡単に脱退することは許せないとは言えないとは思う。

でも、自分にとってはでんぱ組から1人でもかけることは、自分にとってもでんぱ組の終わりと言ってもいいぐらいの出来事だった。

 

それでもでんぱ組に期待をする理由

 

かといって自分がでんぱ組を嫌いになったり、もう聴かなくなるということはないとは思う。

それはあくまでも今の段階ではという条件は付いているけども。

 

それには理由がある。

武道館公演でのMCで話したことを信じたいからだ。

 

きっと武道館公演当時も脱退についての話し合いなども行われていたのではと思う。

実際会場にいた人ならわかると思うが、武道館でのMCの空気は重い空気もあったし、何かあったんだろうなという空気感もあった。

でもメンバーのグループへの想いの強さも感じた。

それに関しては嘘ではないと思う。

嘘ではないと信じたい。

脱退したもがの「でんぱ組をずっと続けたい」と話した言葉も嘘ではなかったと思う。

今でも本当は続けていきたいと思っているかもしれない。

 

センターでもありオリジナルメンバーの古川未鈴はこのようなことをMCで話していた。

 

「でんぱ組.incを諦めません」

 

アリーナツアーを成功させCDのセールスも悪くなくライブ動員もあるグループが「諦めない」という言葉をMCで言うことには違和感も感じた。

しかしそれも今ならその言葉を発した意味も理解できるし、とても重い言葉で強い想いも込められていたのだと感じる。

 

人気グループから1人メンバーが欠けた後に人気を拡大することはもちろん、人気を維持することは容易いことではないと思う。

でも、だからこそ、この言葉を信じて見たいと思った。

 

これが自分にとって今のでんぱ組の最後の希望になる言葉でもある。

 

マイナスからのスタート

 

W.W.Dで「マイナスからのスタート舐めんな」と歌っていたでんぱ組。

そこから大躍進し人気アイドルグループの代表格の1つになった。

 

しかし今回のメンバー脱退で今後どうなるのかわからない。

メンバーの脱退はでんぱ組にとって大きなマイナス要素だと思う。

 

”なんもないわたしら”がマイナスからのスタートをするよりも、人気アイドルがマイナスの状態からスタートするのでは意味も変わってくる。

もしかしたら人気アイドルがマイナスから再スタートし成り上がることは、それほど人気のないグループが成り上がるよりも難しいことかもしれない。

まだ駆け出しのグループが頑張って成り上がろうとしている姿と、アイドルとしてトップクラスになったグループに”落ちぶれた”と思わせる出来事があった後に活動をする姿とでは、世間やファンの目も変わるし努力の方向も変えなければいけないだろう。

 

でも、もしかしたらこれからのでんぱ組はもっと面白くなるかもと思ったりする。

もしもここから人気がさらに上がったりしたら、物語として面白すぎるじゃないですか。

物語として感動的すぎるじゃないですか。

 

自分にとって今のでんぱ組に期待できることや信じることができる部分は「でんぱ組を諦めません」という未鈴の言葉だけではある。

でも、ここからまた「マイナスからのスタート舐めんな」と言うぐらいの躍進をするでんぱ組も見たい。

もう1度武道館に立つ姿も観たいし、もっと大きなステージに立つ姿も観たい。

 

「夢で終わらんよ」と言い続けていたでんぱ組は武道館公演のアンコールで”Future Diver”を披露する前に「夢が始まるよ!」と言ってからパフォーマンスした。

 

これからでんぱ組のどのような夢が始まるのか見てみたい。

「でんぱ組を諦めない」とはどういうことなのかを見せつけてほしい。