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PEDROに加入したアインシュタイン稲田の『自律神経出張中』がアユニ・Dの歌よりも良いかもしれない(感想・レビュー・評価)

PEDROにアインシュタイン稲田が加入

 

PEDROはBiSHのアユニ・Dによるバンドプロジェクト。ギターはNUMBERGIRLの田渕ひさ子を従えていたりと、最高のオルタナティブロックを鳴らす本格的なバンドだ。決してアイドルのお遊びとは言えない。

 

4月1日。そんな本格的なバンドにアインシュタインの稲田直樹がボーカリストとして加入すると発表された。ベースボーカルだったアユニはボーカルを辞めベースに専念するらしい。

 

PEDROには何かが足りないなと思っていて、オファーを受けた時に、俺が足りてないんかと思って、すんなり受け入れました

 

公式ツイッターにアップロードされたインタビュー動画で、稲田はこのように語っていた。SNSの反応は様々で、ネタにして笑っている人もいれば、本気で怒っている人もいる。

 

 

加入と同時に公開された稲田がボーカルの『自律神経出張中』のMVを観た。素晴らしかった。そして思った。

 

「たしかにPEDROに足りなかったのは稲田だ」と。彼は必然的にPEDROに加入したのだ。もしかしたらアユニのボーカルよりも素晴らしいのではとも思った。

 

アユニと松隈ケンタの組み合わせ

 

自律神経出張中

自律神経出張中

  • PEDRO [BiSH AYUNi D Solo Project]
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

アユニのボーカルは素晴らしいと思う。可愛らしくも個性的な声質だと思う。

 

しかし巻き舌で叫ぶように歌う歌唱はロックバンドのボーカルにふさわしい。そのギャップによりキレッキレのバンドサウンドにポップさが加わる。彼女の歌声も魅力的な音楽にする重要な要素になっている。

 

『自律神経出張中』はPEDROの人気曲だ。作曲はBiSHのサウンドプロデューサーでほぼ全ての作曲を担当している松隈ケンタ。

 

アユニと松隈ケンタが揃うと活動名義は違えど、BiSHの延長線上にある音楽にも感じる。

 

そのためクオリティは安定しているが、新鮮さがあるわけではない。BiSHの音楽を聴き込んでいる清掃員としては、新鮮さよりも安心感がある。

 

もちろん田渕ひさ子のギターという最強の武器があるし、ひさ子の色が強まったギターサウンドはBiSHとは違う魅力がありインパクトもあった。もちろん楽曲も素晴らしい。

 

しかしPEDROには何か足りないとは思っていた。もっと大きなインパクトを与える何かが必要だとは思っていた。それがあればPEDROは日本の音楽シーンに残る伝説のバンドになれるのではと思っていた。

 

稲田の加入で必要な「何か」がわかった。必要だったのは稲田のボーカルだ。

 

 

松隈ケンタに必要だったのは稲田

 

松隈ケンタは女性ボーカルのアイドルやシンガーに楽曲提供をすることが多い。

 

DISH//やKis-My-Ft2など男性ボーカルにも楽曲を提供していうるが、編曲は共作だったり他の編曲家が行なっていることが多い。WACKの楽曲は松隈ケンタが立ち上げたクリエイターチームSCRAMBLEが編曲を務めているので、それと比べると松隈ケンタの個性は薄まっている。

 

そのため「松隈サウンド」で男性ボーカルの楽曲を聴けることは少ない。もともと松隈ケンタはBuzz72+というバンドに所属し作曲や編曲をしていたが、それも10年以上前。

 

つまり松隈ケンタには男性ボーカリストが必要だったとも言える。男性ボーカルの歌をプロデュースすることで、松隈ケンタの音楽性がさらに広がるかもしれない。そんなタイミングで男性ボーカリストとしてアインシュタイン稲田がPEDROに加入した。

 

”PEDROに”というよりも”松隈ケンタに”足りなかったのは稲田なのだ。

  

 

アインシュタイン稲田の魂のボーカル

 

騙されたと思って聴いてみてほしい。「見知らぬおっさん突然に」歌い出したと思うかもしれないが、聴いていくうちに稲田の魂のこもったボーカルに気づくはずだ。

 

 

お笑い芸人がふざけて歌っているようには聴こえない。彼は真剣に歌っている。

 

意外にも美声の稲田。しかしテクニカルな歌い方をしているわけではない。アユニの歌唱の癖を参考にしているようだが、そこに稲田のオリジナリティも加えている。

 

稲田はハッキリとした発音で歌う。一つひとつの文字の発音が強いのだ。アユニの方がロックボーカリストとして楽曲に似合う歌唱をしているが、稲田の方が言葉は聴き取りやすい。これは稲田の持つ個性だ。

 

そんな彼の歌唱方法は1990年代から2000年代の日本のオルタナティブロックやインディーロックのボーカリストと近い歌声に感じる。

 

時は終わる

時は終わる

  • bloodthirsty butchers
  • オルタナティブ
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

 日本のオルタナティブロックシーンに大きな影響を与えたbloodthirsty butchersの吉村秀樹に近い歌い方に感じる。

 

吉村秀樹の語尾をハッキリと歌いテクニックよりも魂を込めることを重要視した歌唱をする。それがオルタナティブロックと相性が良く、ロックのかっこよさを表現している。吉村の歌声はブッチャーズの魂とも言えるカッコいい歌声だった。

 

稲田はオルタナティブロックを体現しようとしているのかもしれない。だから彼が歌うとアユニが歌う時とは違う聴こえ方になるのだ。またブッチャーズには田渕ひさ子もギタリストとして参加していた。それもあり稲田の歌声はPEDROの音楽と相性がいい。

 

聴けば聴くほど思う。PEDROに足りなかったのは稲田の歌声だと。

 

 

松隈ケンタ作曲の男性ボーカル曲をもっと聴きたい。

 

「松隈サウンド」は男性ボーカルとも相性が良いことをアインシュタイン稲田が証明した。

 

これからは松隈ケンタがプロデュースする男性ボーカル楽曲をもっと聴きたい。女性ボーカルとは違う魅力を感じる音楽になるかと思う。

 

そして最後に伝えておきたいことがある。

 

この文章を書いたのは4月1日。エイプリルフール。つまり、この記事のタイトルも内容も、そういうことだ。

 

ぶっちゃけアユニの歌を聴きたい。

 

悲報(4月2日追記)

 

昨日4月1日にアユニ・D(BiSH)のバンドプロジェクトPEDROに加入したアインシュタインの稲田直樹が、メンバー不仲により脱退した。

 

脱退にあたって稲田は「メンバーと反りが合わなかったです。おつかれした」とコメント。エイプリルフール企画として繰り広げられた稲田の電撃加入、脱退劇は24時間で終結した。

(引用:BiSHアユニ・DのPEDROからアインシュタイン稲田が脱退「おつかれした」)

 

4月2日になった瞬間に、稲田は脱退しました。おつかれした。

 

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