2018-11-10 崎山蒼志のプロフィールには嘘があるのでは? コラム・エッセイ 崎山蒼志 音楽好きが1つになった 音楽を聴いた瞬間に、身体に電流が走るような衝撃を受けた。つい先日の話。 それは音楽を好きな人ならば何度も経験したことがあると思う。それが音楽を聴く上での楽しみ方の1つであり、それを求めて様々な音楽を聴いている人もいるのではないだろうか。 自分は崎山蒼志の奏でる音を聴いた時、まさに身体に電流が走るような衝撃を受けた。それはここ最近で最大の衝撃だった。 曲も歌詞も歌声もギターの弾き方も、全てが衝撃だった。今まで聴いたことのないような音楽だった。 同じように思った人もたくさんいるはずだ。 インターネット番組に1回出ただけで多くの人に衝撃を与えて存在を知らしめた。1回のメディア出演でこれほど大きな爪痕を残したミュージシャンは久々だと思う。 天才だと思う。物凄い才能を持っていると思う。しかし、1つ気になっていることがある。それは公式サイトのプロフィールの文面だ。 何度読んでもプロフィールに嘘が含まれているように思えてならない。 プロフィールの嘘 ある朝、起きたらtwitterのフォロワー数が5,000人以上増えていて、スマホの故障を疑った普通の高校1年生。 崎山蒼志の公式サイトのプロフィールページには、上記のように書いてある。これが嘘にしか思えない。プロフィール全文を読めば、誰もが嘘を疑うと思う。 2002年生まれ静岡県浜松市在住。母親が聞いていたバンドの影響もあり、4歳でギターを弾き、小6で作曲を始める。2018年5月9日にAbemaTV「日村がゆく」の高校生フォークソングGPに出演、独自の世界観が広がる歌詞と楽曲、また15歳とは思えないギタープレイでまたたく間にSNSで話題になる。 2018年7月18日に「夏至」と「五月雨」を急きょ配信リリース。リリック・ビデオは公開3週間で100万回再生を越え、Spotifyのバイラル・チャートでも1位に輝いた。その2ヶ月後に新曲「神経」の追加配信、また前述3曲を収録したCDシングルをライヴ会場、オンラインストアにて販売開始。12月5日には1stアルバム『いつかみた国』のリリースも決定、合わせて地元浜松からスタートする全国5公演の単独ツアーも発表された。 ある朝、起きたらtwitterのフォロワー数が5,000人以上増えていて、スマホの故障を疑った普通の高校1年生。 普通の高校1年生の経歴ではない。 普通の高校生がリリックビデオが100万回再生されないし、Spotifyのバイラルチャートで1位にはならない。全国ツアーまで行うし、ソニーと契約して公式サイトが作られている。しかも殆どが今年の話で、半年間の出来事だ。 これでは凄い高校1年生だ。普通の高校生1年生と言ってはいけない。 彼の普通ではない凄さは音源を聴いたり映像を観るだけでも伝わる。しかし、それらで感じる凄さはまだまだ序の口。生でライブを観て、彼の奏でる音楽を聴いた時、「日村がゆく」で感じた衝撃の何倍もの〝凄み〟を感じる。 自分は彼のライブを生で観た時、崎山蒼志は「普通の高校1年生」ではないと確信した。きっと自分以外の多くの人も同じ感想を持つはずだ。 嘘を確信 自分が観たライブは学習院大学の学園祭でのライブ。学園祭のメインステージに、ゲストアーティストとして呼ばれライブを行った。 大学の学園祭にゲストとして呼ばれ、ギター1本でメインステージに立つ高校生。それを心待ちにして待つ客が1000人以上はいる。普通の高校生1年生ならばこれだけ人を集められるはずがない。 ステージに出てきた時の佇まいからして、普通の高校生ではなかった。ギターを持ってマイクの前に立っている姿やオーラは、どう見てもプロの一流ミュージシャン。 彼がギターを弾いた瞬間、歌い出した瞬間に空気が変わる。その空気の変化は音源や映像では体験できないものだった。会場に集まったお客さんがそのステージに衝撃を受けている。 ギターの弾き方が個性的なのだ。 普通の弾き語りとは違う。一般的な弾き語りだと歌が主役だと思う。しかし、彼の弾くギターは歌がなくても魅力的だ。もちろん歌を引き立たせる要素もあるが、ギターだけでも音楽として成立する。 歌もギターもどちらも主役の弾き語りだ。 くるりの岸田繁氏が言っていた「右手最高」という言葉。演奏している姿を生で観ると、右手の動きに釘付けになる。たしかに右手が凄い。 激しく弾いているようだが、心地良さも感じる。激しく見えるが、弦の一本一本の音が潰れないように丁寧に弾いている。それでいて個性的。1曲の中で様々な弾き方をしているし、音の強弱の付け方も上手い。 よく見ると右手だけでなく左手もエグい動きだ。崎山蒼志は1曲の中でも様々なコードを使っているようだ。そのためコードチェンジで左手も頻繁に動く。同じコードを抑えていてもチョーキングやミュートやカッティングと呼ばれるテクニックも上手く使っている。 そして、彼の作った唯一無二のメロディに、個性的な歌声が乗っかる。 それはどれだけギターや歌が上手い人が真似しようと思っても絶対に真似出来ない「崎山蒼志の音楽の音楽」だ。 演奏や歌だけでなく、楽曲自体がめちゃくちゃ良い曲なのだ。彼の演奏屋歌が凄いことはもちろん、他の人が歌ったとしても「良い曲」と感じるような魅力的で個性的な楽曲ばかり。 その唯一無二の音楽にみんな衝撃を受けた。だから1回のネット番組の出演で知名度と人気を獲得したのだ。ライブ後にはCDの購入列には大行列ができていた。この日のライブを観て存在を知り、魅了された人も居るようだった。 普通の高校1年生でも音楽をやっている人は多い。しかし、これだけ多くの人を魅了できる高校生は殆どいない。 こんなことができるのは普通の高校1年生のはずがない。とんでもなく凄い高校1年生だ。 いや、嘘ではなかったかも 素晴らしいライブだった。本当に観ることができて良かったと思った。 ライブ後は物販でCDを販売していたが、崎山くんが売り場に立ってお客さん一人一人に対応をしていた。自分もCDの購入列に並んだ。CDは持っていなかったし、彼にどうしてもライブの感想を伝えたかった。凄いライブを見せてもらえたのだから。 ライブを終えた崎山蒼志はステージの上でのオーラはなかった。ギターを弾いた時や歌い出した時に空気を一瞬で変えたような凄みはなかった。 彼の姿も雰囲気も話し方も、どこにでも居るような普通の高校生のようだった。 少しだけシャイにも見えたけど、せ真面目そうないい子。この状況に戸惑って緊張しているようにも見えた。 「彼のプロフィールには嘘がある」と冒頭に書いた。しかし、ステージを降りた崎山蒼志は普通の高校1年生だった。ギターを弾いて歌っている時を除けば、普段は普通の高校生なのかもしれない。 つまり、プロフィールに嘘はなかった。自分の勘違いだった。 崎山くんの普通じゃない部分 彼は普通の高校1年生かもしれない。しかし、何もかも普通かと言うと、そういう訳ではないと思う。 ギターを弾いて歌っている時の姿は普通ではない。彼の作る楽曲も普通ではない。 崎山蒼志の音楽は普通の音楽ではないのだ。なんとなく聞き流してしまううなBGMには絶対にならない。その音楽は個性的で唯一無二だ。普通ではなく物凄い音楽だ。 「ミュージシャンとして」は普通ではない。凄いミュージシャンだ。それは年齢は関係ない。もしも高校生でなく大人だったとしても同じように評価されたと思う。老若男女全てのミュージシャンを集めた時ても人気ミュージシャンや実力派ミュージシャンに負けないぐらいの個性と才能を持っている。 彼が注目を集めた理由は高校生のわりに凄いからではない。シンガーソングライターとして凄いから注目されたのだ。 彼は普通の高校1年生かもしれないが、音楽に関しては普通ではない才能を持っている凄い高校1年生でもある。 つまり、プロフィールに嘘はないかもしれないけど、凄い音楽をやってるんだから普通と言われたら「普通ではなくて凄いでしょ」と否定したくなっちゃうわけです。 いつかみた国(DVD付) アーティスト: 崎山蒼志 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックアーティスツ 発売日: 2018/12/05 メディア: CD この商品を含むブログを見る