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【歌詞の意味を考察】岡崎体育“Natural Lips”は倦怠期の夫婦の歌。~くるりの東京と共通点とは~

Hatena Feedly

岡崎体育の新曲

どうぶつさんたちがたいしゅうごうしてわいわいしてることに定評がある岡崎体育が、また新しいMVをYouTubeにアップロードしましたね。

“感情のピクセル”に続き、アップロードされた“Natural Lips”。

“Natural Lips”も“感情のピクセル”と同じぐらいメッセージ性の強い歌詞ですね

 

↓画像をクリックで動画になります。

 

感情のピクセルについては以前考察してみました。

www.ongakunojouhou.com

  

 今回の曲は歌詞を見ないと全編英語で歌っているように聴こえる。

何故英語に聴こえるような歌唱をしたのだろうか。

理由は3つあると思う。

 

理由の一つは、以前岡崎体育がTwitterでツイートした内容を掘り下げて曲にしたかったからだろう。

 

 

2つ目の理由は、あまりにも切ない歌詞なので、日本語に聴こえるように歌うことは岡崎体育のキャラに合わなかったからではないだろうか。

 

それでは、“Natural Lips”の歌詞について考察したいきたい。

 

倦怠期の夫婦曲?1番のAメロ 

 夜分遅くに入る風呂は

何故だかちょっと寂しいな

ひとりぼっちの湯呑み

 

1番のAメロの歌詞である。

まだ登場人物は1人か登場していないが、”ジュース飲みたいな2人で”というフレーズから少なくとも2人で暮らしていることがわかる。

おそらく仕事などで遅く帰ってきて、一人で風呂に入り、一人でご飯を食べている様子を表しているのではないだろうか。

 

苦肉の策に溺れていくのも

ありじゃないかな

ジュース飲みたいな2人で

 

Aメロの歌詞の続きだ。

ここで、この歌の登場人物を倦怠期の夫婦として仮定すると、内容が読み取りやすくなる。

風呂から入って出てきて、一人でごはんを食べる旦那。

そして、そばにいる妻。

妻は家事でもしているのか、テレビなど観ているのかはわからない。

 

きっと、2人で過ごしていても、全く会話がない状況だったのだろう。

旦那の方が、「ちょっと寂しいから話しかけとくか」と思い、苦肉の策で話しかけた内容が、”ジュース飲みたいな2人で”だったのだ。

 

あなたは不意に泣いて

あっという間にでていくんでしょう?

孤独に心配してもさ

朝は来ないよ咳が出る

 

妻の方が「ようやく話しかけてきたらと思ったらそんなことかよ。てかジュースなんて家にねえよ!買って来いってことかよ!」と思い、切なさと悔しさで涙を流したのだろう。

そして、夜遅くにジュースを買いに家を出て行ったのだ。

しかも、旦那の方は「たぶん、これ家を出ていくな」と予想した上で、「ジュース飲みたいな」といったことが”あっという間にでていくんでしょう?”というフレーズから読み取れる。

妻の心配をしてはいるが、「咳もでるし寒くて風邪ひいたっぽいから寝ようかな」と考えている旦那のサイコパスさが表現されている。

 

1番Bメロの歌詞

大きなストーブの前でさ

思い出すよ

一心不乱に懸命に何度も

一人で君の姿

 

寒くてストーブの前に行くサイコパスな旦那。

そこで妻のことを思い出す。

”思い出す”という言葉を使っているので、おそらく仲が良かったころの妻のことだろう。

 

そして、どんなことを考えていたかというと、それはサビの歌詞で表現されている。

 

サビの歌詞

ブス? 否、美人

やっぱ美人

 

旦那がストーブの前で考えていたこと、思い出していたことは、”妻がブスなのか美人なのか”ということだった。

倦怠期で、妻のことが好きなのかもう嫌いなのかわからなくなってしまい、付き合い始めの妻の姿を思い出していたのだろう。

 

昔の仲が良かったころ、妻のことをかわいくて美人だと思っていた。

今の妻のことも思い出して、やっぱり妻は今でも自分にとって美人なのだと納得させようとしている。

 

MVでもブスな恰好をした岡崎体育とおめかしした岡崎体育を順番に出している。

他人にとってはどっちもブスに見えるかもしれないが、自分とのデートでおめかしした妻は自分にとっては美人でかわいかったなということを思い出していたのだろう。

旦那も心のどこかで、倦怠期を終わらせて、また仲の良い夫婦になりたいと思っているのだろう。

だから、Aメロでも話しかけようとして「ジュース飲みたいな2人で」と話しかけたわけだし(結果としては悪い方向に行ったが)妻のことを想っているのに上手くいかないこの状況にモヤモヤしているように感じる。

 

自分はサビの歌詞を聴いたとき、他のアーティストのある曲の歌詞が頭に浮かんだ。

それは、くるりのメジャーデビュー曲で代表曲である、”東京”だ。

 

くるりの東京とは

東京

東京

  • くるり
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

岡崎体育と同様、京都出身のロックバンド。

結成20周年を超え、2018年にはメジャーデビューから20周年を迎える、ベテランバンドだ。

 

そしてくるりのデビュー曲で代表曲の1つである”東京”の歌詞と岡崎体育の”Natural Lips"に共通点がある。

 

君がいないこと

君と上手く話せないこと

君が素敵だったこと

忘れてしまったこと

 

君がいるかな

君と上手く話せるかな

まあいいか

でもすごくつらくなるんだろうな

君が素敵だったこと

ちょっと思い出してみようかな

 

上記はくるりの東京の1番のサビの歌詞と2番のサビの歌詞である。

この歌は、地元を離れて上京した主人公と遠距離恋愛になってしまった恋人の曲だ。

 

そして、主人公は恋人が素敵だったことを忘れてしまうが、2番の歌詞では恋人が素敵だったことを思い出そうとする。

恋人から気持ちが離れてしまいつつあるが、本心ではまだ好きで思っていることを歌っている。

 

もうお分かりだろうか?

岡崎体育とくるりの共通点が。

 

岡崎体育とくるりの共通点は

 岡崎体育のNatural Lipsもくるりの東京も、気持ちが離れてしまった恋人や妻のことについて歌っている。

そして、心の底では好きなままだからこそ、離れたくないと思っている。

 

違う部分と言えば、岡崎体育はいっしょに生活することで気持ちが離れてしまったが、くるりはすぐに会えない距離になってしまったから気持ちがはなれてしまった部分だ。

 

つまり、状況は真逆ではあるが、気持ちが離れてしまっていくことを歌っている点では共通している。

 

岡崎体育がNatural Lipsで伝えたかったメッセージとは

どうしても長く付き合っていたり、長く夫婦生活を続けていると気持ちが離れてしまいそうになる時はあるかもしれない。

それは2人のどちらか一方だけかもしれないし、お互いにかもしれない。

しかし、「少しでも相手への気持ちが残っているのならば、2人の関係は手遅れではない。昔の仲良かったころを思い出して、その時と同じ気持ちで接していこう」というメッセージを込めているのではないのだろうか。

 

岡崎体育の”Natural Lips"の大サビの歌詞から最後のサビにかけての歌詞は下記のようになっている。

 

ブリの炙りを食べたいな

トロの炙りも食べたいな

鯛の湯引きも食べたいな

食べられないのは

耐え難い

 

これは他の女性に目移りしてしまって不倫しそうになっている主人公の気持ちを歌っているのではないだろうか。

魅力的な他の女性をお寿司のネタに例えている。

つまり、岡崎体育は「不倫もしちゃだめだよ。奥さんのことを思い出して」というメッセージも込めているのだろう。

大サビの後の歌詞が下記だ。

 

それはさておき

ブス? 否、美人

やっぱ美人

ブス?

 

不倫の誘惑に耐えて、主人公は奥さんのことを考え続ける。

しかし、この曲は決してハッピーエンドではない。

なぜなら、歌詞の最後のフレーズが”ブス?”で終わっているからだ。

つまり奥さんは美人だという結論を出すに至っていない。

 

くるりの東京の歌詞でいうと、”君が素敵だったことちょっと思い出してみようかな”を延々と繰り返しているのだ。

 

しかし、これは恋人といっしょにすごしたり、夫婦で生活をするにあたっての、永遠のテーマかもしれない。

結局、ここで「奥さんは美人」という結論を出したとしても、その気持ちは永遠ではないだろう。

また、倦怠期は訪れるかもしれない。

嫌になってしまうこともあるかもしれない。

 

夫婦だとしても、結局は血が繋がっていない他人だ。

どれだけ仲がいい恋人同士でも、結局は血が繋がっていない他人だ。

 

つまり、”ブス? 否、美人”の自問自答を永遠に繰り返すことは、結局は相手のことを考えていることであり、相手を思いやり、よりよい関係を築き続ける秘訣なのかもしれない。

 

英語のような発音で歌った3番目の理由

Natural Lipsはこのように切ない歌詞で、倦怠期を迎えているカップルや夫婦にこそ聴いてもらいたいメッセージソングなのだ。

 

友人や知人との関係でもそうだ。

仕事関係でもそうだろう。

人と何かしたり、すごしたりするには相手のことを思いやらなければならない。

特に親しい恋人同士や夫婦同士や家族に対しては、他の人以上に相手を思いやらなければならないのかもしれない。

 

そして、相手を思いやるための自問自答は終わることなく、永遠に続けていかなければいけない。

岡崎体育のNatural Lipsは人への思いやりを持たなければいけないこと、愛する人のことこそ真剣に考え続けなければいけないという、強いメッセージが込められている名曲だとわかった。

 

ところで、今回の記事の冒頭で、岡崎体育が英語のような発音で歌った理由は3つあると述べた。

1つ目と2つ目の理由は冒頭で述べた通りなので、3つ目の理由をここで述べようと思う。

 

3つ目の理由は、人の感情というものは、この歌の歌詞のように簡単には読み取れないし、表面だけみても駄目だということメッセージを伝えるための手段だったのではないだろうか。

つまり、「Twitterで日本語を英語風に読む内容を岡崎体育がツイートしていたから、そのネタの延長だろう」ととらえてしまうのは、本質をとらえられていないのだ。

本質をとらえるためには、もっと考えなければいけないし、それは誰か相手のことを考える時も同じなんだよというメッセージを込めているのかもしれない。

そのために、あえて歌詞の内容が伝わりづらい方法を選んだのだろう。

 

岡崎体育はただの笑える曲を作っているアーティスではない。

ただ面白いことをやっている一発芸的なアーティストではない。

曲も歌詞もかなり作りこんでいる。

音楽をかなり研究している。

 

そしてなにより、このようにこじつけの歌詞解釈をさせてくれるぐらいに、リスナーを楽しませてくれる。

 

岡崎体育は一筋縄じゃ行かないぐらい凄い才能をもっているのかもしれない。

6月発売のアルバム『XXL』は、とんでもない名作になるかもしれない。

 

 

今回は長くなると思って2番の歌詞の考察は載せていないですが、気になる方はコメントなどください。

希望が多ければ載せます。