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ヤユヨというバンドの未熟な曲と演奏が心に刺さってしまう

技術を超えた何か

 

『吉田豪の猫舌SHOWROOM』というネット番組に怒髪天のボーカル増子直純が出演していた。番組内で視聴者から寄せられた質問コメントに答えていたが、その中で印象的な質問と答えがあった。

 

ー最近気になっているバンドはいますか?

 

突然少年。ちゃんとやばい。本気出しすぎちゃってるところがいいね。いわゆるロック的なかっこよさを変に求めてないと言うか。それが素直でいいと思う。

 

いわゆる「エモい」とか激情型の感情をバーと出していくバンドって嘘っぽいのが多い。誰とは言わないけれど。すっごい嘘っぽいのが多くて嫌なんだよね。俺たちは熱いバンドとよく言われるけどそこだけは決定的に違うから。

 

絶対に「おまえらのために」「みんなのために」みたなこととか言わないから。そんなことできる器の人間じゃない。そういうところの見分けがみんなにできるようになって欲しいというのはあるけれど。

 

紅白とか歌謡祭とかテレビに出てるバンドをみたけど全然面白くない。演奏が上手いのはわかったから。そういう問題じゃないんだよ。例え間違っていたとしても俺に向かってくるような気持ちが欲しいんだよ。

 

 少しだけ共感できる部分があった。「嘘っぽいのが嫌だ」という部分と「間違っていたとしても向かってくるような気持ちが欲しい」という部分だ。

 

自分は演奏が上手いバンドも好きだし魅力的だと思う。隙がない作り込まれた音楽も好きだ。

 

しかし技術的に未熟だとしても気持ちだけでぶつかってくるバンドの音楽を聴きたくなる時もある。自分が心を大きく動かされる時は技術とは違う部分であることが多い。

 

さようなら IN MY DANCE

さようなら IN MY DANCE

  • 突然少年
  • ロック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

増子直純が紹介していた突然少年はそのようなバンドだと思う。

 

たしかに「間違っていたとしても俺に向かってくるような気持ち」を音楽から感じる。上手いか下手かという問題ではなく伝わってくる音楽に思う。

 

ヤユヨというバンド

 

この話を聴いた時、聴いていてそのような気持ちになれる若手バンドは自分にとって誰なのかを考えた。真っ先に1組のバンドが頭に浮かんだ。

 

ヤユヨというバンドだ。

 

 

シンプルな演奏とシンプルなメロディと素朴で真っ直ぐなボーカル。

 

結成1年弱の若手バンドだから当然だが、技術的には未熟で楽曲は凝った作りではない。音楽シーンに一石を投じるような新しさがあるわけでもない。

 

それなのにグッとくる。バンドの演奏と歌声が自分の胸に刺さってしまった。

 

いわゆるロック的なかっこよさを変に求めてないと言うか。それが素直でいいと思う。

(中略)

演奏が上手いのはわかったから、そういう問題じゃないんだよ。例え間違っていたとしても俺に向かってくるような気持ちが欲しいんだよ。

 

自分にとってヤユヨの音楽が、増子直純の言っていた良いと思うバンドの定義に当てはまっていたのだ。上手い下手を超えて聴き手の心を揺れ動かす熱い気持ちを音楽から感じたのだ。

 

きっと同じように思って感動したリスナーも多いと思う。

 

YouTubeに投稿された『さよなら前夜』は投稿から半年で90万回再生を超えた。

 

自主制作盤しか出してなく大手事務所に所属しているわけでもない無名のバンド。大々的に宣伝をしたわけでもなく後ろ盾があるわけでもない。それなのに口コミで再生数は増え続けている。

 

これは楽曲のクオリティや技術で人気を獲得したのではなく、このメンバーだからこその想いが伝わって心が動かされた結果だと思う。

 

 

自分たちが音楽を楽しむことを優先したバンド

 

2月にはタワーレコードに特設コーナーが作られていた。まだ自主制作盤しか出していない頃だが、話題になっていたこともあり店舗を挙げて売り込もうとしたのだと思う。

 

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設置されたポップには「ジャンルに縛られずに音楽がしたい。日常を音にしたいというコンセプト」と書かれていた。

 

サウンドはエレキギターの音が印象的なロックバンドだとは思う。しかしロックにこだわっているわけでもない。歌詞もカッコつけているわけでも気取っているわけでもない。真っ直ぐで素直な歌詞。良い意味で等身大で青臭い歌詞。

 

自分たちが満足することを目指しているのだ。

 

リスナーに向けて音楽をやっているわけでもないし、リスナーに媚を売っているわけでもない。かといって尖っているわけではなくリスナーを突き放しはしない。見つけてくれたリスナーに対しては真っ直ぐ音楽をぶつけてくる。

 

本人たちはただただ楽しんで音楽をやっている。邪念がない真っ直ぐな気持ちがこもっているから感動して惹きつけられるのだろう。

 

これは狙ってできることではない。言葉でどこが凄いかを説明できることではない。

 

音楽は上手いか下手かではなく、伝わるかどうかが重要だということを体現しているようにも思う。

 

 

音楽的な個性や工夫もある

 

とはいえ「気持ち」だけではプロのバンドがやる音楽としては成立しない。気持ちだけなら保育園児の合唱だってアマチュアのコピーバンドだって音楽が好きだという純粋な気持ちは持っている。

 

ヤユヨはまだ未熟かもしれない。しかしプロのバンドとして才能やセンスも感じる。

 

『さよなら前夜』は1番と2番とで演奏のパターンを変化させている。後半の畳み掛けるような歌の展開も印象的だ。

 

『kimi_no_egao』ではサビでエレキギターの弾き語りになる編曲により、歌が引き立つように工夫されている。

 

kimi_no_egao

kimi_no_egao

  • ヤユヨ
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

『今度会ったら』は跳ねるリズムのドラムだけが鳴った演奏に合わせた歌から始まる。それも面白くて珍しい。

 

『七月』はエレキギターの弾き語りから始まり、途中でベースの音と歌だけになったり、後半でギターソロが印象的になる曲展開だ。全ての楽器が目立つように編曲がされている。

 

七月

七月

  • ヤユヨ
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

難しい演奏をしているわけではない。しかし自分たちのできる範囲で工夫して音楽に深みを出そうとしている。メンバー全員の演奏が引き立つように工夫している。

 

だから聴いていて単調には感じないし飽きずに聴くことができる。その編曲にセンスも感じる。

 

技術はやればやるほど上手くなる。今年押さえられたコードが来年押さえられなくなることはないから。でも魂とか覚悟とか意識に関わる限りあるものは練習してつくものじゃないから。何がやりたいのかが重要。

 

 『猫舌SHOWROOM』で増子直純は「若手バンドへのアドバイス」として上記のことも語っていた。

 

ヤユヨの技術は未熟かもしれないが音楽への魂はあると思う。技術は成長しそうな伸び代も感じる。演奏や編曲の個性やセンスもある。

 

そんな音楽だから聴いていてワクワクするし心に刺さってしまう。今後の期待もしてしまう。

 

インディーズアーティストの音楽配信プラットフォームの『Eggs』に掲載されたヤユヨの紹介文には「音楽は永遠に楽しい!!」と書かれている。これは本人が寄稿している紹介文だ。本当に音楽を心の底から好きなバンドなのだろう。

 

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その気持ちを忘れずに活動を続けていったら、数年後には日本を代表するバンドになっていても不思議ではないかもしれない。

 

ヤユヨ - EP

ヤユヨ - EP

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  • J-Pop
  • ¥1222