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四星球を笑えなくなってきた

笑えない

 

正確には笑えないわけではない。むしろ爆笑してしまう。

 

ライブで次々に繰り出すネタには笑ってしまうし、曲を聴けば笑顔にもなれる。

 

それは昔から変わっていない。メジャーデビューしてからも良い意味で変わっていない。バンドもずっと自身のことを「コミックバンドの四星球」と名乗っている。

 

しかし、最近は自分は四星球の曲を聴いても笑い以外の気持ちを感じることが増えた。

 

コミックバンドなのに四星球が良い曲を作るんだ。その都度泣けてくる。

 

コミックバンドなのに笑えるだけでなく感動的でエモいライブを見せてくれるんだ。その都度泣けてくる。

 

この歌のサビには歌詞はなく

この歌のサビはただひたすら

笑うだけ 笑うだけ 笑うだけ

 

この歌いつまでも錆びつかず

この歌流れればいつだって

若くなる 若くなる 若くなる

 

四星球がこんな歌詞を歌っている。これはサビの歌詞だ。つまり、この歌詞は嘘だ。サビは笑うだけじゃない。歌詞がある。

 

音楽の力について、真っ直ぐ歌詞にしてくれている。

 

 

四星球の『SWEET 17 BLUES』という最新アルバムに収録されている『モスキートーンブルース』という曲。この曲はアルバムの1曲目だ。

 

コミックバンドのくせに新しいアルバムの1曲目から泣かせてくる。ユーモア溢れた歌詞で笑顔になれるのに、同時に涙が出てくる。

 

四星球のバンドの目的は笑わせることではないのかもしれない。たぶん音楽の楽しさを伝えようとしている。音楽の素晴らしさを教えようとしているそれが歌詞からも伝わってくる。

 

そして、改めて今の四星球の曲を聴いたりライブを見ると思う。

 

四星球を笑えなくなってきた、と。

 

演奏が笑えない

 

コミックバンドとは、音楽の演奏よりも、滑稽な仕草や面白おかしい歌詞で聴衆を楽しませるバンドのこと。ユーモアやジョーク、知性、パロディ、ギャグ、しゃれなどを含む集団が、より優れたバンドと言える。

 

Wikipediaには上記のように書かれている。

 

しかし、四星球は演奏でも聴衆を楽しませている。演奏で段丘をつけることで音楽によって笑いも表現しようとしている。 

 

むしろ演奏力が高いのだ。しっかりとしたテクニックを持っているし、バンドの演奏も綺麗にまとまっている。

 

鋼鉄の段ボーラーまさゆき

鋼鉄の段ボーラーまさゆき

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『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』の歌詞はライブで使用する小道具を作っているギタリストまさやんを讃えている。コミックバンドらしい少しふざけた歌詞。

 

しかしこの曲で注目すべきは歌詞だけではない。演奏も注目すべきだ。

 

特にベース。個性的なベースラインを弾いていて印象的。個人的に魅力的だと思うバンドはベースが個性的だと思っている。ベースの音がバンドにとっての縁の下の力持ちであり、バンドを支えていると思う。

 

讃えるべきは小道具を使っているまさやんだけではなく、演奏しているメンバーだ。

 

Teen

Teen

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四星球には様々なタイプの楽曲がある。曲調も様々で、様々なジャンルの音を取り入れているが、根っこにあるのはロック。四星球は演奏も精神性もロックバンド。

 

大人の真似して大人になったんだ

大人のフリして大人になっちゃった

 

これは『teen』という楽曲の歌詞だ。

 

年齢的に大人になってしまっている自分にとって、心に突き刺さる歌詞。まるで自分のことを歌われているような感覚になった。笑えない。四星球が自分に寄り添ってくれているようで、泣けてくる。

 

この歌詞が激しいパンクな演奏に乗っかる。その演奏はコミックバンドとして笑わせようなんてしていない。

 

ロックバンドの魂のこもった演奏だ。

 

音楽に真剣だから笑えない

 

いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど

いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど

  • 四星球
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いい歌ができたことを報告する歌詞の『いい歌ができたんだ、この歌じゃないけれど』という楽曲。

 

これもふざけた内容の歌詞にも思えるが、聴いていると感情を揺さぶられる。バンドとしてメンバーが喜びを感じる瞬間は「良い音楽を作れた時」ではと思う。バンドの目的も良い音楽をリスナーに届けることだと思う。

 

そのアーティストやバンドマンだからこそ感じる感情を歌にしている。そこにはバンドのリアルがある。音楽を真剣にやっているからこそ感じる感情を歌にしている。

 

四星球の音楽は根本に「みんなを楽しませる」という考えがあるのではとも思う。

 

ライブでは様々な小道具や演出などでお客さんを笑わせてくる四星球。しかし、真面目な曲だってあるし、演奏も歌も音楽としてクオリティが高い。

 

笑えるだけでなく、音楽として素晴らしいものを届けてくれる。だから四星球の楽曲やライブは支持されるのではと思う。

 

四星球を笑えない

 

コミックバンドを馬鹿にする人もいる。ふざけているだけで、音楽を真面目にやっていないと言う人もいる。

 

そういうバンドもいるとは思うが、四星球は違う。四星球はふざけていない。常に真剣だ。音楽に対しても、笑いに対しても。

 

人を楽しませることに対して常に真剣なのだ。

 

四星球のライブパフォーマンスで笑わせてもらったり、歌詞や曲展開で笑ってしまうことはある。だとしても、四星球のことを笑えない。

 

「ふざけたことやってるくだらないバンドだ」と思ってバカにして、四星球を笑ってる人がいるかもしれない。自分も初めてライブで観て存在を知った時は、そのような偏見はあった。

 

四星球を知ったばかりの頃、四星球の存在自体を「ふざけたバンド」と勘違いして笑っていた。

 

しかし、今では四星球を笑えなくなってきた。こんなに真剣に音楽をやっていて、真剣に笑わせてくれるバンドのことを笑えない。

 

四星球は自らを「コミックバンド」とか言うてますけれど、カッコイイ。

 

コミックバンドのカッコ良さを四星球は教えてくれた。真剣であることのカッコ良さを教えてくれた。

 

だから、自分は四星球を笑えない。

 

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