オトニッチ

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BUMP OF CHICKENの推し曲を教える (アルバムごとの名曲・おすすめ)

#あなたのBUMP推し曲教えて

 

Twitterでこんなハッシュタグがトレンドに入っているのを見つけた。

 

今では死後になりつつある『ロキノン系』を聴いていたアラサー以上のロックファンは、ほぼ全員がバンプを通ってきていると個人的には思っている。アラサーはついつい語りたくなってしまうハッシュタグだ。

 

もちろんBUMP OF CHICKENは超人気バンドなので若者のファンも多い。若者もキラキラした眼差しで語りたいはずだ。

 

つまりみんなバンプについて語りたくなってしまうのだ。みんなバンプが大好きなのだ。自分だってそうだ。

 

だから自分もBUMP OF CHICKENについて語ることとする。九枚のオリジナルアルバムとカップリングから1曲ずつ選んで語ってみた。

 

これが自分のBUMPの推し曲だ。

 

 

ガラスのブルース (1stアルバム FLAME VEIN収録)

ガラスのブルース

ガラスのブルース

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲を聴いて自分は衝撃を受けた。歌詞も演奏も歌声も真っ直ぐすぎたからだ。

 

自分がこの曲を知ったのは2000年ごろ。当時のロキノン系のアーティストはは捻くれた音楽が多かった。椎名林檎にくるりにSUPERCARに中村一義。当時自分が聴いていたロキノン系は捻くれた歌詞や凝った音楽性で、他とは違う個性を出そうとして、それがしっかりと形になっていた。それにカッコよさを感じていた。

 

しかし『ガラスのブルース』は全然捻くれていない。演奏も凝ったことをやっているわけではない。良くも悪くも未成熟で青臭い。

 

でも不思議と唯一無二の個性を感じた。個性を出そうとしているのではなくにじみ出ていた。だから痺れた。心に刺さった。技術ではない部分で感動した。

 

アルバム全体を聴くと凝った曲も捻くれた表現の歌詞もあるのだが『ガラスのブルース』は真っ直ぐメッセージと歌詞の物語を伝えている。

 

歌の主人公は人間ではなく猫。真っ直ぐなメッセージを真っ直ぐな歌声と演奏するから共感するのに、主人公が猫だからファンタジーさもある。その不思議な世界観がたまらなく好きなのだ。

 

FLAME VEIN

FLAME VEIN

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2004/04/28
  • メディア: CD
 

Ever lasting lie (2nd アルバム THE LIVING DEAD収録) 

Ever lasting lie

Ever lasting lie

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

8分以上にわたる超大作。無意味に長いわけではない。長くなる必然性があるのだ。

 

掘り出したのは長い年月

呟き続けた長い年月

 

この2つのワードが歌詞にある。歌詞の中でも年月の流れを表現している。その歌詞を演奏の長さでも表現しているのだ。

 

中盤には2分以上の間奏がある。アウトロも1分以上の時間がある。

 

BUMPの楽曲は歌詞の言葉が強い。当時はBUMPに対しては演奏や曲よりも歌詞を評価する人が多かったように思う。しかし歌詞を魅力的に感じる理由は、曲や演奏の力があるからということを教えてくれた曲。歌詞以外にも魅力は沢山あると気づかせてくれた曲。

 

THE LIVING DEAD

THE LIVING DEAD

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2004/04/28
  • メディア: CD
 

 

ダイヤモンド  (3rdアルバム jupiter収録)

ダイヤモンド

ダイヤモンド

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲で自分はBUMP OF CHICKENを知った。この曲をCDTVの週間ランキングで一瞬流れたのを聴いて興味を持ったのだ。次の日にはCD屋に行ってCDを購入した。

 

たったワンフレーズでも惹きつける力があった。そのワンフレーズに衝撃を受けた。

 

目標なんて無くていいさ 気づけば後からついてくる

 

この言葉に何度も救われた。「頑張れ」と励ます歌ではないのに力をもらった。励ますのでは無く寄り添ってくれる曲だからかもしれない。

 

『ダイヤモンド』を初めて聴いてから約20年。今でも自分はこの唄をリュックに詰めている。

 

jupiter

jupiter

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2002/02/20
  • メディア: CD
 

乗車権 (4th アルバム ユグドラシル収録) 

乗車権

乗車権

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

自分が初めてBUMPのライブを観たときに一曲目に演奏していた曲だ。

 

観た会場はZepp Tokyo。チケットは売り切れていなく、ガラガラのフロアだった。キャパの3分の1程度しか埋まっていなかった。すでに大人気バンドになっていて既にアリーナ規模でもチケットがなかんかとれなくなっていた時期なのに、ガラガラのZepp Tokyoでライブを観ることができた。

 

なぜガラガラだったのか。それはBUMPがシークレット出演したからだ。

 

これは『HIGH LINE RECORDS 10th ANNIVERSARY 〜10年目の夏〜』というイベントにシークレット出演したときの話。だからコアなファンは居なかったと思う。出てきたときはフロアは動揺していた。しかし1曲目の『乗車権』でフロアの心を一発でつかんで盛り上げた。その瞬間が最高だった。

 

ちなみにオープニングアクトは、自主制作盤しか出していない頃のUNISON SQUARE GARDEN。

 

つまり『乗車権』を推し曲にしている理由は、曲はもちろん好きだけど、BUMPをガラガラなフロアで観れたことと、売れる前のユニゾンを観れたことを自慢したからです・・・・・・。

  

ユグドラシル

ユグドラシル

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2004/08/25
  • メディア: CD
 

かさぶたぶたぶ (5thアルバム orbital period)

かさぶたぶたぶ

かさぶたぶたぶ

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

初めて聴いたとき、隠しトラックかと思った。NHKみんなのうたに使うための曲かと思った。

 

しかし楽曲としては作り込まれている。楽曲構成もしっかりしているし、演奏も凝っている。

 

特に音作りにこだわりを感じた。スタジオの演奏をその場で聴いているような生々しい音に感じた。

 

『かさぶたぶたぶ』はザ・ビートルズの使用していた楽器に近いものを使用しているらしい。そのためか60年代から70年代の匂いを感じる。それは他のBUMPとは違う音の響きに感じた。それが新鮮だったのだ。他の楽曲とは違う方向性で音へのこだわりを感じた。

 

シンプルでありながら新しいBUMPを知ることもできる。音楽性の幅が広がっていることが実感できた楽曲。

 

orbital period

orbital period

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2007/12/19
  • メディア: CD
 

 

三ツ星カルテット(6thアルバム COSMONAUT収録)

三ツ星カルテット

三ツ星カルテット

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

4分の6拍子と4分の5拍子を絡めた複雑なリズムの楽曲。BUMPの楽曲でこのようなリズムの楽曲は珍しい。

 

それまではメロディと厚みのあるサウンドが魅力的なバンドだと思っていた。もちろん過去も違う方向性の楽曲もあったが、この曲は今までとは違うアプローチで名曲を作ったように感じる。

 

アコースティックサウンドをベースにした演奏で楽器の音を一つひとつ丁寧に重ねている。そして歌のメロディよりもイントロの楽器のメロディの方が個人的に印象的に感じた。キャリアを重ねて演奏力が高くなったBUMPの魅力を感じる楽曲。

 

New Album「COSMONAUT」

New Album「COSMONAUT」

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2010/12/15
  • メディア: CD
 

white note (7thアルバム RAY収録収録) 

white note

white note

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

手拍子や足踏み、口笛など人力な音が重ねられて音楽になっている。コーラスからはゴスペルの要素を感じる。

 

ロックバンドのやる演奏としては珍しいサウンドだ。楽器演奏以外の様々なアイデアが取り入れられて構築されている。以前に増して音楽的な引き出しが増えたように思う。

 

この曲は藤原基央が1日曲が書けずにスランプ状態になったとき「曲が書けないことをテーマに曲を書けば?」と周囲に言われて制作したらしい。そして1日で楽曲を書き、その場でアイデアを出し合って1日でレコーディングを終えた。遊ぶように楽しみながらレコーディングを行ったそうだ。

 

スランプを乗り越えて音楽を楽しんでいるバンド。そんな空気感も感じるような、アイデアと温かさを感じる楽曲。

 

RAY(初回限定盤)(予約特典ステッカー無し)

RAY(初回限定盤)(予約特典ステッカー無し)

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2014/03/12
  • メディア: CD
 

 

孤独の合唱 (8thアルバム Butterflies収録)

孤独の合唱

孤独の合唱

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

リズムはバスドラムとロータムを中心に最小限の音にしている。それらの楽器でリズムを作った後に切り取って打ち込みのようにループさせ楽曲全体のリズムを作っている。生楽器を使いつつも打ち込みで楽曲を作るような特殊な手法を使っている。

 

それにバンジョーやブズーキ、マンドリンなど民族楽器を重ねて個性的なサウンドになった。しかしギターやコーラスなどJ-POPや邦ロックでは定番の音も重なることで、キャッチーさと聴きやすさも楽曲に加えている。

 

メロディはキャッチーで聴きやすいが、楽曲構成は実験的で面白い楽曲だ。

 

Butterflies (初回限定盤) (Blu-ray付)

Butterflies (初回限定盤) (Blu-ray付)

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2016/02/10
  • メディア: CD
 

新世界 (9thアルバム aurora arc収録)

 

正直、最初はこの曲が好きではなかった。

 

サビの「ベイビーアイラブユーだぜ」という歌詞を、安っぽく感じてしまったのだ。こんなとってつけたような言葉を歌うことに違和感を感じた。

 

しかしライブを観て印象が180度変わった。ROCK IN JAPAN 2019で演奏された『新世界』に感動した。真っ直ぐなメッセージを真っ直ぐな歌声と演奏で伝えていた。それが胸に突き刺さった。

 

よくよく思い返すと自分がBUMPを好きになった理由は、真っ直ぐなメッセージを真っ直ぐ伝えてくれるからだった。それはBUMPを自分が知ったきっかけである『ダイヤモンド』の頃と変わっていない。『ガラスのブルース』の頃からも変わっていない。

 

「キャリア20年以上のバンドが青臭いことを歌うなんて」と斜めに構えていた。音楽性の幅も広がり演奏力も高くなった『COSMONAUT』あたりから「新しいこと」「技術的なこと」「面白いアイデア」をを自分はBUMPに求めていて、素直に音楽を受け取ろうとしていなかった。技術的な部分ばかりに気を取られていた。

 

しかしライブで目の前で真っ直ぐ歌われたら、自分の斜めに構えた姿勢など一瞬で崩された。斜めに構えた人にさえ真っ直ぐ伝わって、胸に刺さってしまう演奏と歌だった。自分が最も好きなBUMPはこれだったのだと思い出した。

 

今では『新世界』は大好きな曲だ。BUMPと出会ったときに今日までの僕が意味をもらったのだと改めて思った。

 

aurora arc (初回限定盤B)(CD+BD)

aurora arc (初回限定盤B)(CD+BD)

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: CD
 

バイバイサンキュー (カップリング集 present from you収録)

バイバイサンキュー

バイバイサンキュー

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

上京する直前や上京した直後によく聴いていた。今でも聴いていて感情が揺さぶられて泣きそうになる。

 

それから10年少し経った。夢に見た街まで行って、なんとかやっているよ。

 

present from you

present from you

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2008/06/18
  • メディア: CD