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DYGL『Songs of Innocence&Experience』のかっこよさについて語らせてくれ〜感想・アルバムレビュー〜

痺れた

 

「かっこいい」「心地よい」「楽しい」「泣ける」

 

音楽を聴いていると様々な感情がわきあがり、心が大きく動く。それが音楽の魅力で、音楽の持つ不思議な力だと思う。

 

DYGLというバンドがいる。このバンドも人の心を動かす素晴らしい音楽をやっている。

 

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ザ・リバティーンズやザ・ストロークスを彷彿とさせるようなインディーロック。聴いていて踊りたくなるようなロック。

 

1stアルバムの『Say Goodbye to Memory Den』にはそのような曲が多く収録されていた。まるで海外のインディーロックバンドのような音を日本人が鳴らしている。それは新鮮さもあった。DYGLの音楽に心を動かされ「かっこいい」と感じた。

 

そんなDYGLに、また心を動かされてしまった。7月3日に発売された2nアルバムの『Songs of Innocence & Experience』に自分は心を動かされた。

 

今回は聴いていて前作と少しだけ違う感情になった。前作と同様にかっこいい音楽だとは思う。しかし、2ndアルバムから感じたことはそれだけではない。

 

音楽を聴いてかっこよさで痺れた。ガツンと衝撃を受けたというよりも、じわじわと音が体に染み入っていくような感覚。それは余韻としてしばらく残る。

 

DGLYの音楽にメロメロになってしまった。1stアルバムを聴いた時以上に、もう、メロメロ。

 

インパクトがあるわけではない

 

Hard To Love

Hard To Love

  • DYGL
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

再生ボタンを押すと乾いたギターの音が聴こえる。少し後にリバーブのかかったボーカルも聴こえてくる。心地よい音。そこからドラム、ベースと少しづつ音が重なっていく。心地よい演奏だ。

 

1曲目の『Hard To Love』。そこから2曲目、3曲目と音を繋いでいく。じわじわアルバムの世界観に引き込んでいく。

 

その音は日本の他のバンドではあまり聴けない音。海外のインディーロックバンドを聴いている時に近い感覚。

 

このアルバムの楽曲はインパクトがある曲は少ないかもしれない。1stアルバムの方がインパクトのある曲は多いように思う。

 

しかし、DYGLの楽曲や演奏のかっこよさは今まで通り。むしろ2ndアルバムで演奏はより洗練されたように感じる。少しだけ落ち着いた楽曲が中心になったため、その演奏に聴き入ってしまう。

 

クールな演奏でじわじわと音楽に包まれるような感覚。楽曲の魅力と演奏の魅力をじっくりと伝えられているような感じ。

 

そこに凄みを感じ、メロメロになってしまった。

 

様々なタイプの曲

 

そんなメロメロになってしまった自分に対して、DYGLはさらに深みへ沈め、もっとメロメロにさせようとしてくる。

 

DYGLは60年代のインディーロックに強く影響を受けているバンド。しかし、今作でDYGLは音楽性の幅を広げた。2010年代のバンドとして様々な音楽を吸収し、自分たちの音楽として昇華している。

 

An Ordinary Love

An Ordinary Love

  • DYGL
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

『An Ordinary Love』はサイケデリックな薫りを感じる。ガレージロックを主に奏でていたDYGLには珍しいタイプの楽曲。それでもDYGLの演奏としか思えないような音の響き。サイケデリックでありながらガレージロックの雰囲気もある。不思議な魅力。

 

そんなサイケデリックなDYGLで脳が溶けそうになる。もう、メロメロだ。

 

しかし、これは序の口だ。まだまだDYGLは深みに沈めてくる。メロウで色気を感じる楽曲もみごとに演奏する。また聴き入ってしまう。

 

Only You (An Empty Room)

Only You (An Empty Room)

  • DYGL
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

音数は少ない。必要な音だけ選別し洗練させて鳴らしているように聴こえる。その隙間のある演奏がゆるやかなノリを生み出していて心地よい。気づけばゆらゆらと身体を揺らしてしまう。

 

もう、DYGLの音楽にメロメロだ。

 

歌詞にこめられた意味

 

Don't You Wanna Dance In This Heaven?

Don't You Wanna Dance In This Heaven?

  • DYGL
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 アルバムのリードトラックである『Don’t You Wanna Dance in This Heaven?』からも今までとは違う雰囲気を感じる。オアシスのようなギターロックのように思う。

 

オアシスのようにビートルズから影響を受け、それを自分たちのやり方で現代の音楽に進化させたように聴こえる。ノリの良いかっこいいロック。踊りたくなるような音楽。

 

この楽曲の歌詞は風営法に対する皮肉だ。

 

改正風営法が成立する以前の2015年以前は夜中にダンスをすることを禁じていた。そんなおかしな法律があった。当時は入り口に「ダンス禁止」と意味不明の貼り紙が貼ってあるライブハウスもあった。音楽の自由をぶち壊すような法律。

 

その法律への皮肉を含んだ歌詞を、夜中に聴いて踊りたくなるようなロックに乗せて歌っている。

 

アルバム収録曲の歌詞は、人生や世の中の出来事の「自問」について歌い、その「矛盾」について表現している。

 

 DYGLの歌詞は英語詞だ。そのため日本語詞の音楽をやっているアーティストと比べると歌詞には注目されづらいかもしれない。

 

しかし、歌詞にもメッセージや想いが込められている。伝えたい想いや表現があり、それを音楽としてしっかり表現している。

 

それに気づいた時、DYGLのかっこよさにさらにメロメロになる。

 

洋楽なのか?邦楽なのか?

 

DYGLの音楽を「洋楽っぽい」と評価する人も多い。

 

メンバーは現在海外をロンドンを拠点に海外でも活動している。海外で活動するDYGLの音楽に対してそのように思うことは当然かもしれない。しかし、自分はそんな一言でDYGLの音楽を評価できない。

 

主に海外の音楽に影響を受けているバンドだとは思う。ルーツの音楽を感じる演奏やオマージュもあるが、その中にも個性がある。むしろ、聴けば聴くほどオリジナリティを感じる。海外のロックを吸収しつつ自分たちの音楽に昇華している。

 

DYGLの音楽はDYGLにしか作ることができない。DYGLぽい海外バンドを挙げてみろと言われても、自分は思い浮かばない。もしもいるならば教えて欲しい。

 

そもそも「洋楽ぽい」や「邦楽ぽい」という評価軸自体が必要ないのかもしれない。

 

DYGLは日本人だが海外に拠点を置いて活動している。海外でも日本でも同様に音楽は評価されている。

 

海外で評価される理由は「日本人がロックをやっているから」という物珍しさが理由ではない。日本のファンも「洋楽ぽいから」とDYGLを好きになるわけではない。

 

DYGLの音楽がかっこよくて、魅力的だから好きになるのだ。みんなをメロメロにさせるような音を出しているから聴いてしまうのだ。

 

日本でも海外でも自分たちのやりたい音を奏でて勝負しているDYGL。彼らが洋楽と邦楽の壁をぶち壊して、かっこいい音楽を純粋にリスナーに届けてくれるバンドになっていくのではとも思う。

 

もしかしたら、もうそのようなバンドになっているかもしれない。2ndアルバムの『Songs of Innocence & Experience』は洋楽か邦楽かなんて概念は関係なしにかっこいい。聴いていてメロメロになってしまう。

 

かっこいいロックのアルバムを聴きたいという人に、今自分がおすすめ作品を渡すとしたら、間違いなくDYGLの『Songs of Innocence & Experience』だ。洋楽や邦楽という縛りを持って音楽を聴いている人にこそ聴いて欲しいと思う。

 

日本にも海外のバンドに負けないかっこいいバンドがいるんだぞと洋楽ファンに伝えたい。海外で評価されている日本のかっこいいバンドがいるんだぞと邦楽ファンに伝えたい。

 

Songs of Innocence & Experience

Songs of Innocence & Experience

 
Songs of Innocence & Experience

Songs of Innocence & Experience

  • DYGL
  • オルタナティブ
  • ¥1800