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【アルバムレビュー】V6『The ONES』感想とおすすめポイント

最近ジャニーズが気になる

 

自分は男だ。

だからジャニーズについてそれほど詳しくはない。

アイドルは好きだが女の子のアイドルが好きだ。

 

でも、最近ジャニーズが気になる。

それはアイドルとしてというよりも、音楽的な部分で。

自分はアイドルが好きではあるが、それ以上に音楽が好きだ。

先日、関ジャニ∞のアルバム『jam』を聴いてレビューしたが、これがとても良い作品だった。

 

関連記事:【全曲レビュー】関ジャニ∞『ジャム』は音に凝っているアルバム。おすすめポイント紹介と感想 - オトニッチ

 

関ジャニ∞のアルバムは第一線で活動しているミュージシャンが多数参加していた。

そのためアイドルのアルバムというよりもポップスのアルバムとして完成度も高く、ジャニーズファン以外も楽しめる作品になっていたと思う。

実際自分もそうだった。

 

そして今回発売されたV6のアルバム『The ONES』。

こちらも第一線で活動しているミュージシャンが多数参加している。

それも”ただ売れているミュージシャン”ではなく音楽マニアに評価されているミュージシャンが多い。

これは関ジャニ∞のアルバムと同様V6のアルバムも期待できるんじゃないかと思い聴いてみました。

 

その期待は裏切られなかった。

これ、良いよ。

ジャニーズに興味がない男が聴いても普通に良いと思える。

1曲ずつ感想とレビューをしてみようかと思う。

 

ちなみに今回は通常版に収録されている16曲の感想を述べてみる。

初回盤には9曲目の”会って話を”と12曲目の”Get Naked”は収録されていないらしい。

その代わりにDVDが付属するらしいけども。

 

1.never

 

作詞:KE1

作曲:Shun Kusakawa,KAY,DAICHI

 

エレクトリックな編曲の曲。

編曲が面白い。

J-POPやアイドルの曲って楽器の音を多く重ねたり、打ち込みでも音を多めに重ねることがおおいんだけど、この曲はそこまで重ねていない。

 

音を重ねて豪華にするよりも洗練した音だけ使って印象に残る編曲にしている。

個人的に歌のメロディよりも個人的にはバックの音がとても印象に残る。

 


2.刹那的 Night【岡田准一プロデュース】

 

作詞:石野卓球

作曲:石野卓球

 

 電気グルーヴの石野卓球が作詞作曲を行った曲。

編曲は元デンキグルーヴのCMJK。

 

編曲がCMJKだからなのかV6のイメージに合わせたからなのかはわからないけど、曲の雰囲気から石野卓球ぽさはあまり感じない。

メロディは電気グルーヴぽさを少し感じるけど、曲の全体のイメージは違うものになっている。

 

これも打ち込みが使われている曲だが、ギターのカッティングの音やホーンの音が入っている。

そのため石野卓球ぽさを強くは感じないのかもしれない。

これはV6に楽曲提供をしたからこそ完成した曲で編曲ではとも思う。 

 

3.SOUZO

 

作詞︰浜野謙太

作曲:TOMMY CLINT

 

在日ファンクの浜野健太が作詞した曲。

作曲のTOMMY CLINTは在日ファンクのメンバーではない作曲家だが、どことなくファンクな編曲をしているのは浜野健太に合わせたのかな?

でもこのアレンジが曲ととても合っている。

 

ポップな編曲で王道のJ-POP的なアレンジで気持ちいいんだけど、サビのメロディが少し面白い。

アイドルやJ-POPの曲でキャッチーな曲はメロディが高音に上がっているようなサビが多い。

でもこの曲は低音に下がっている。

このアイドルソングとしては珍しいメロディとポップで王道な編曲の組み合わせで耳に残る曲になっている。 

 

4.Beautiful World (46 th シングル)

 

作詞:秦基博

作曲:秦基博

 

 秦基博が楽曲提供した曲。

王道のポップスで安心して聴ける感じ。

聴いていて秦基博のボーカルで歌っている姿も想像できる曲。

 

メロディも編曲も王道のJ-POPなんだけど、それが心地よくて普通に良い曲。

1~3曲目まで少し癖の強い曲が続いたので、ここで王道な曲が来るとよりぐっとくる。

 

5.Cloudy sky

 

作曲:HIKARI
作詞︰秋元康

 

作曲はEvery Little Thingにも多くの楽曲を提供し、他のジャニーズのグループにも多く提供しているHIKARI。

作詞は秋元康。

 

編曲は打ち込みの音が目立つ。

このアルバムは打ち込みの音やエレクトロニカな音が目立つ曲が多い。

 

さわやかで歌のメロディが印象に残る。

1~3曲目は歌よりもバックのトラックが目立ったり印象的な曲が多かったが、この曲は歌が主役のように感じる。


6.DOMINO

 

作詞:Staxx T (CREAM)

作曲:Jazelle Paris/Justin Goins/Derryck Thornton

 

リズムパターンが面白い。

そして歌のバックのリフがかっこいい。

音を詰め込まず音の隙間を作っているような編曲が好き。

 

ボーカルに少しだけかかっているエフェクトも曲の雰囲気に合っている。

 

7.Round & Round【長野博プロデュース】

 

作詞:林 宏次

作曲:CASPER/TAKUYA HARADA/COMMAND FREAKS

 

 これも打ち込みの音が目立つ。

編曲はそれほど面白いことはしていないけども歌を引き立てるような編曲だなと思う。

サビのメロディが聴いていて気持ちいい。

 

この曲を聴いてV6ってみんな歌が上手いのだと感じた。


8.Remember your love【三宅健プロデュース】

 

作詞︰AKIRA

作曲:U-Key zone・Shunsuke Harada

 

 個人的には歌詞が好きな曲。

途中の転調するかと思いきや転調せずにもとに戻る部分は面白いなと思う。

 

サビのボーカルのユニゾンのハーモニーが綺麗。

 


9.会って話を【20th Century】

 

作詞:堀込高樹

作曲:堀込高樹

 

キリンジの堀込孝樹の作詞作曲。

メロディも歌詞もめちゃくちゃキリンジっぽさを感じます。

これはキリンジファンにも聴いてもらいたい。

 

編曲はどことなく80年代の歌謡曲を感じさせるような少し懐かしい雰囲気。

この曲、たぶん歌うのが難しそうな気がするけどきちんと歌いこなせているのはすごいと思う。

 

アルバムの中では雰囲気が違う曲だなと思う。

というか、この曲だけでアルバムの元が取れるぐらい良い曲。


10.Answer【坂本昌行プロデュース】

 

作詞︰福岡良太

作曲:SHIKATA・CHRISTOFER ERIXON・COMMAND FREAKS

 

サビへの盛り上げ方が良い。

メロディも編曲も歌い方もサビへと駆け上がっていく感じが盛り上がる。

 

やはり編曲は打ち込みの音が目立つが、ギターソロもあったりと少しだけロック成分も感じる曲。

 

11.Can`t Get Enough(47thシングル)

 

作詞:SUNNY BOY

作曲:星野純一、Kameron "Grae" Alexander

 

ボーカルのファルセットと微かにかかったエフェクトがかっこいい。

バックトラックの編曲も凝ってるなと思う。

 

R&B的なアレンジで使われている音も多くはないんだけど、それでも印象に残る。

サビやAメロなど曲の展開が変わるとそれに合わせて曲の雰囲気を壊さない程度に使われている音や編曲の方向性も少しだけ変えていっているように感じる。

 

12.Get Naked【Coming Century】

 

作詞:MICRO

作曲:Jintae ko,Tony Ferrari,Alma Goodman,Klara Elias

 

作詞はDef TeckのMicroだが、作曲はリアーナの楽曲を手掛けているチームが作っているらしい。

だからかもしれないけど、J-POPというよりも洋楽のR&Bのような雰囲気は感じた。

 

このアルバムは打ち込みのアレンジやR&B的なアレンジの曲も多いけど、この曲は特にR&Bの要素が強い気がする。

音の使い方だけでなく、音の隙間の作り方もかっこいい。


13.ボク・空・キミ【森田剛プロデュース】

 

作詞︰micca

作曲:大橋好規

 

大橋トリオの大橋好規の作曲作品。

歌のメロディに抑揚があまりないのに感情的に聞こえる不思議な曲。

 

それは歌詞が切ないこともあるかもしれない。

編曲も落ち着いていて同じフレーズの演奏を繰り返したり抑揚もあまりないように感じるけど、細かい部分の音の変化はあったりと、そういった細かい技が曲の良さを引き立てている気がする。

 

個人的にかなり好きな曲。


14.COLORS (48thシングル)

 

作詞:micca

作曲:Ryuhei Yamada

 

 泣きメロのミドルテンポの楽曲。

シングル曲だけどそれも納得するような1回で覚えられるような印象的なメロディ。

 

歌い方もシンプルでまっすぐだし、編曲もシンプル。

でもそれが曲の良さを一番引き立つということが分かっているかのような感じ。

 

これは多くの人が1回聴くと気に入るであろう曲だと思う。


15.レッツゴー6 匹【井ノ原快彦プロデュース】

 

作詞:レキシ

作曲:レキシ

 

レキシこと池田隆文の作詞作曲。

関ジャニ∞の『jam』でも1曲提供していたし、私立恵比寿中学やNegiccoなど多くのアイドルに楽曲提供をしている。

 

しかしこの曲は過去のレキシの提供曲の中でもレキシの色がより濃く表れているように感じる。

関ジャニ∞の”侍唄”やエビ中の”頑張ってる途中”やNegiccoの”ねえバーディア”など普通に良い曲を提供している。

 

でもこの曲はユーモアにあふれている。

それはレキシの曲の特徴の1つでもあるけども、聴くとV6にしか歌えない曲だなと感じる。

歌詞がV6への愛で溢れていることが理由の1つかも。

 

そして少しかわいらしいメロディと歌詞をを歌いこなしているのを聴くと、V6ってアイドルなんだなと実感する。


16.The One

 

作詞︰fifi leger

作曲:THE CHARM PARK

 

アルバムの最後に収録されている曲で、アルバムのタイトル曲でもある。

アルバムの中でも大切な作品の1つかなと思う。

 

ピアノの音とメロディが切ない。

 

エレクトロニカな雰囲気の編曲が多いアルバムだったがこの曲はJ-POP的なアレンジ。

楽器の音と歌のメロディが目立つ。

ストリングスとホーンの音が多幸感に溢れていてアルバムの最後にふさわしい曲。

 

あとドラムがとてもシンプルにリズムを刻んでいるんだけど、目立ってはいないけどいい仕事をしている感じが素晴らしい。

 

なんか、普通に良いんだけど

 

関ジャニ∞の『jam』を聴いたときにも感じたけど、普通に良いアルバムです。

エレクトロニカやR&Bよりな曲が多いけども、それ以外の曲も収録されていてバラエティに富んでいる。

 

雰囲気の違う曲が詰め込まれているけども、それでもアルバムとして統一感がある。

それは楽曲の収録順も熟考して決めたのではとも思う。

 

例えば1~3曲目は打ち込みが目立つバックトラックが歌以上に印象的な凝った曲を並べてきたが、4曲目でシンプルなJ-POPを入れてくるところなどだ。

これによって中だるみすることもなく、それぞれの楽曲の良さを最大限引き出せるような曲順になっているように感じる。

 

そして関ジャニ∞の『jam』と同様に参加している作家が一流ばかり。

そして楽曲提供したアーティストが自分の作品ではあまりやらなそうな方向性の曲やできない曲も提供しているので、楽曲提供者のファンも楽しめる。

 

V6のアルバムもジャニオタだけじゃなくて音楽ファンは聴いたほうが良いよ。

アイドルのアルバムではあるけども、一流のミュージシャンが作った完成度の高い作品だからさ。