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Mrs. GREEN APPLEが活動休止することに思うこと

ポップなバンド

 

ROCK IN JAPAN FESTIVAL2018で個人的に最も印象に残っているのはMrs. GREEN APPLEのステージだ。

 

彼らは会場で3番目に広いキャパであるLAKE STAGEトリとして出演していた。フロアは満員で入場規制がされている。もっと大きなステージを用意するべきだったのだろう。

 

「ロックフェスで僕らのポップを鳴らします」

 

アンコールのMCでボーカル大森元貴が話した言葉が忘れられない。その言葉は力強く、ポップな存在であり続けることへの覚悟を感じた。

 

StaRt

StaRt

  • Mrs. GREEN APPLE
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

その後に演奏されたのは『StaRt』。メジャーデビューミニアルバムの1曲目。シンセサイザーや打ち込みの音でキラキラしていて、とびっきりポップな楽曲だ。彼らの存在を一気に知らしめた楽曲の1つでもある。

 

ステージに立つメンバーの佇まいもポップスターのようで輝いていた。演奏もキラキラしていて、そんなポップな音楽にお客さんはみんな笑顔になっていた。曲やバンドだけでなく、お客さんもキラキラしていた。

 

しかし「ロックフェスで僕らのポップを鳴らします」と力強く宣言した言葉はカッコ良くて、ロックに思った。何がロックで何がポップかなんて定義もないし決める必要もないことだが、自分はロックの精神でポップを鳴らしているバンドにに感じた。

 

もしかしたらMrs. GREEN APPLEとしてロックフェスやロックを求めるリスナーと闘っていたのかもしれない。そしてアウェイの環境でも「ポップ」であることに誇りを持ち、多くのファンを獲得したのではと思う。

 

不遇な扱いを受けていたミセス

 

語弊があるかもしれないが、活動初期のミセスは不遇な扱いを受けていたと思っている。デビュー当初から売れてはいたが、音楽は正当な評価をされていなかった。それを彼らは実力で覆したと思う。

 

アリーナツアーを回れる人気でサブスクのランキングでも上位にランクインを続けているのに、ロッキングオンジャパンの表紙にはならなかった。今までアルバムリリースなどのタイミングで表紙になるタイミングはあったはずなのに、先日リリースされたベスト盤でようやく表紙になった。雑誌に出るためにはアーティスト側が広告料を払うことが多い。しかし雑誌側もミセスを表紙にすれば売れるメリットがあったと思う。

 

2018年の時点でメインステージに立てる人気と実力があったのに、ロッキンでは3番目に大きなステージ。2019年はようやくメインステージに立ったものの、それも遅すぎるぐらいだ。彼らよりライブ動員もCD売り上げも低いアーティストが、ずっとメインステージに立ち続けていたのだから。

 

「音楽に詳しい邦ロックマニア」を自称する人からは馬鹿にされていた部分があったように思う。それの何が悪いのかはわからないが「ロックじゃなくてポップ」だと非難する人だっていた。それも理由で不遇な扱いを受けていたのかもしれない。

 

音楽と人 2020年 08 月号  [雑誌]

音楽と人 2020年 08 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/07/04
  • メディア: 雑誌
 

 

『音楽と人 2020年 8月号』の楽曲解説のインタビューで大森は『サママ・フェスティバル』をロックフェスで演奏するときは勇気が必要だったと語っている。フェスの大多数の客層である「邦ロック」が好きな人が求める音楽とはタイプが違うからだ。

 

サママ・フェスティバル!

サママ・フェスティバル!

  • Mrs. GREEN APPLE
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲は特にポップな方向に振り切った楽曲で、あえて邦ロックから離れた音楽で音楽性を広げようとした楽曲である。「邦ロック」なんて狭い枠の中で彼らは活動するつもりもなかったのだ。かといって邦ロックを好む人を突き放す気もなかったのだろう。だからロックフェスでも演奏を続けたのだ。

 

その結果、多くの人に受け入れられいった。ロックかどうかではなく、音楽として高いクオリティであることを評価もされ始めた。今では日本を代表する若手バンドになっている。

 

 

若手バンドとは思えない音楽性の幅広さ

 

2016年に欅坂46が『サイレントマジョリティ』でCDデビューした。彼女たちのデビューは鮮烈で、音楽シーンにとっても大きな出来事の一つである。

 

サイレントマジョリティー

サイレントマジョリティー

  • 欅坂46
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

君は君らしく生きてく自由があるんだ
大人たちに支配されるな

 

とある音楽評論家が『サイレントマジョリティー』の歌詞に含まれたメッセージに対して「今まではバンドの役割だった10代の若者の代弁者としての役割を、バンドではなく同世代のアイドルが担うようになった。バンドが掴むべきだったリスナーを欅坂が奪ってしまった」というニュアンスの発言をしていた。

 

その一面もたしかにあると思う。それぐらい欅坂46の存在は大きくて衝撃的ではあった。

 

しかしバンドでも若者の代弁者をまだまだできる存在はいると思う。まさしくMrs. GREEN APPLEは確実に若者の代弁者であり、若者に寄り添う存在になってるバンドなのだ。

 

ミセスが1stシングル『Speaking』がリリースされたのは『サイレントマジョリティー』の4ヶ月前。この曲はデビューシングルにしてオリコン週間20位になるヒットとなった。

 

当時ボーカルでコンポーザーの大森元貴は18歳。彼自身が10代の若者だった。欅坂46が10代の若者だからこそ、アイドルとして同年代の代弁者になれたように、ミセスもバンドとして同年代の代弁者になっていた。

 

Speaking

Speaking

  • Mrs. GREEN APPLE
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

先生でも何にも知らない
親友でも何にも知らない
誰にも話す気はない?
だけども話してよ 

 

10代の大森が綴りミセスが演奏し歌うからこそ説得力があり伝わる歌詞。「先生」という単語を使って嘘くさくならないのは作詞して歌っている大森が10代だからかもしれない。

 

だからか10代の若者がファンに圧倒的に多い。それはミセスが若者にこそ響く音楽やメッセージを届けていたからだ。

 

かといって大人がミセスの音楽を理解できないかというと、そんなことはない。彼らはコアな音楽リスナーを唸らせるほどの高い音楽性を持っている。楽曲構成や編曲は作り込まれていて、打ち込みも使用して丁寧に音作りがされていた。

 

WanteD! WanteD!

WanteD! WanteD!

  • Mrs. GREEN APPLE
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

例えば『WanteD! WanteD!』ではEDMをサウンドを大胆に取り入れている。バンドでEDMを取り入れることは珍しくはない。ミセス以前はSEKAI NO OWARIが『Dragon Night』などでEDMを取り入れてヒットさせている。

 

Dragon Night

Dragon Night

  • SEKAI NO OWARI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

しかしセカオワはよりEDMに寄り添った音作りだったことに対し、ミセスはバンドサウンドも印象的な編曲だ。軸となるサウンドは骨太でバンドらしさを感じる。

 

EDMをエッセンスとして取り入れている。それでいてメロディはポップでキャッチー。バンドであることとポップであることの軸をブレさせずに様々な音楽を取り入れている。その作り込まれた楽曲に痺れた音楽ファンも多いはずだ。

 

僕のこと

僕のこと

  • Mrs. GREEN APPLE
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そして最新アルバム『Attitude』ではさらに様々なジャンルを取り込んだバラエティ豊かな名盤が生まれている。収録曲の『僕のこと』では大森の高い歌唱力が伝わる壮大なバラードだ。この曲と歌声を聴いて「子どもむけバンドではない」と感じた大人の音楽リスナーもいるだろう。

 

インフェルノ

インフェルノ

  • Mrs. GREEN APPLE
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そして邦ロックファンを唸らせる曲も収録されている。『インフェルノ』のギターが前面に出た尖ったサウンドはロックファンにも刺さるはずだ。それをそこら辺のバンドよりもずっとハイレベルで聴かせてくれる。

 

全ての方向にアンテナを張り巡らせ、全ての方向でファンを掴もうとしている。大衆に愛される音楽。まさにミセスの音楽はポップなのだ。

 

だから「ロックフェスで僕はのポップを鳴らします」と堂々も言ったのだろう。今のミセスは『サママ・フェスティバル』を邦ロックファンの前でやる時に勇気を必要としていた頃とは違うのだ。

 

 

活動休止

 

Mrs. GREEN APPLEは本日2020年7月8日(水)をもちまして「フェーズ1完結」を宣言し、当面の間、活動休止となります。
それは同時に、新たなフェーズへ向かうことを意味します。

また、Mrs. GREEN APPLEは前所属事務所から独立し、新しい体制となります。

さらに、”Project-MGA”を立ち上げ、フェーズ2をともに旅するクリエイターやプロジェクトスタッフなどのCREWを募集するオーディションを開催いたします。
Mrs. GREEN APPLEと一緒にワクワクとドキドキを創造していくアツい想いをお持ちの方と出会うためのオーディションです。
詳細は近日発表いたします。

新たなフェーズの開幕まで、期待してお待ちくださいませ。

(引用:"​Project-MGA"よりお知らせ | Mrs. GREEN APPLE official site)

 

 Mrs. GREEN APPLEが活動休止を発表した。

 

メジャーデビューして5年。結成から7年。メンバーは20代だったし人気も上り調子だった。これから名曲を量産して「人気の若手バンド」ではなく「日本を代表するバンド」になる予感すらあった。これからミセスの音楽に心を掴まれる人もたくさんいるはずなのに。

 

現在の立ち位置を考えると、このタイミングでの活動休止に勿体なさは感じる。しかし同時に納得もできる。

 

ミセスは活動ペースも人気の広がり方も音楽の進化も急上昇だった。

 

インディーズ時代は王道ギターロックをなぞるような音楽だったが、メジャーデビュー後は打ち込みも取り入れて楽曲の完成度を上げていった。2018年以降はEDMをバンドサウンドに取り入れて音楽性の幅を広げ、唯一無二のサウンドを構築した。バラードでも存在感を示し、井上苑子など外部アーティストともコラボレーションし、より多くの層にバンドの魅力を伝えた。

 

音楽性は幅広くなり、クオリティもぐんぐん上がっていた。唯一無二のサウンドや個性も手に入れたと思う。

 

気づけばアリーナツアーをやれるバンドになっていたし、10代が中心だったファン層も少しづつ広がっていた。。ワンマンライブに行けば親子で来ているであろうファンもいるし、音楽フェスでは様々な年齢層の人が盛り上がっている。

 

しかしまだメジャーデビューして5年目で20代の若手バンド。所属事務所だったテアトルアカデミーは子役俳優が中心の芸能事務所で、音楽関係に決して強いとはいえない。それなのにメジャーデビューからたった5年でここまで上り詰めて揺るがない人気と評価を手に入れた。他のバンドの倍速ともいえるスピードで駆け抜けていた。

 

ファンとして傍目から見ると、ミセスはすでに完成したバンドに思う。活動期間は長くなくとも、成長する過程は終わり安定期に入ったようにも見える。今後は安定して均一ながら高いクオリティの楽曲を生み出していくバンドになると思っていた。

 

だからこそ活動休止という道を選んだのかもしれない。バンドとしても安定期に入ったことを感じていたが、それでは満足できず、まだまだ進化するつもりなのかもしれない。

 

活動休止の理由は「新しいフェーズへ向かうため」としている。

 

事務所から独立し、今までのスタッフからは離れ、新しく協力してくれるクリエイターやスタッフを募集している。他のバンドの活動休止とは意味が違う。再開後の活動を見据えての休止だ。

 

まるで今まで積み上げた物を崩して再スタートするように感じる。そのための準備としての活動休止だ。活動休止の知らせで「期待してお待ちくださいませ。」なんて言うバンドは今までいなかった。活動休止によってファンをワクワクさせるなんて前代未聞だ。

 

休止と言いながらも協力者を求めるオーディションは開催する。表立った活動がないだけで、休むつもりなんてないじゃないか。

 

この活動休止は、今後のミセスがより面白い活動をするために必要なもので、バンドが幸せと思える貴重な時間を過ごすためにに必要なものになるだろう。そして帰ってきたときは「ミセスのポップ」をまた様々な場所で鳴らしてくれるはずだ。

 

ミセスが「フェーズ2」のスターラインに立って、武装と創と造で登場する日は遠くない未来な気がする。

 

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