オトニッチ

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フジファブリック『若者のすべて』を日向坂46のメンバーがカバーすることについて思うこと

そういえばこの日、フジファブリックさんの「若者のすべて」という曲にすごく心動かされました。

音楽って素敵だなとつくづく思います。

日向坂の曲も誰かの勇気や力になっていたら嬉しいです!

金村 美玖公式ブログ 

 

日向坂46の金村美玖が、フジファブリックがミュージックステーションで演奏した『若者のすべて』について言及していた。2019年8月9日のMステにフジファブリックと日向坂46は二組とも出演していたので、その時に感じたことをブログに綴ったようだ。

 

 

交流があったり直接的な絡みがあった共演者については、アイドルがブログやSNSで言及することは多い。

 

しかし二組は初共演だし絡みもなかった。共通事項はソニーのレーベルに所属していることぐらい。それなのに他の共演者には言及せず、フジファブリックに対してだけ言及していた。共演者の1組だけに触れると波風が立ちやすいので、滅多にないことだし珍しいことだ。

 

きっと18歳の金村は志村正彦をリアルタイムでは知らない。きっと『若者のすべて』をリアルタイムでは聴いていない。Mステをきっかけに初めて聴いたのかもしれない。

 

それでも彼女は心が動いたのだ。たった4分弱の1曲でのパフォーマンスで、音楽の素晴らしさを感じるほどに。

 

 

日向坂46のメンバーである富田鈴花と松田好花によるアコースティックギターデュオ“花ちゃんズ”のスタジオライブが、MTVで放送される。

 

事前に演奏曲目が公表されているが、そこには『若者のすべて』が7曲目に演奏されることが書かれている。

 

テイラー・スウィフトやZADRなど他にもカバー楽曲はあるが、それらと比べると知名度は低い。CDがヒットしたわけでもない。おそらく20歳前後の2人はリアルタイムでは聴いていなかっただろう。

 

”大人の事情”が介入することが少ないユニットでのカバー。周囲の関係者が決めた可能性もあるが、おそらく本人たちの意思で選んだのだろう。2人も金村と同様に、Mステでの共演で感じるものがあったのかもしれない。

 

「アーティストが死んでも作品は死なない」と言う人がいる。自分もそう思う。聴かれ続ける限り、そのミュージシャンが残した音楽は生き続ける。

 

しかし時の流れとともに忘れられてしまうことも多い。テレビやラジオで流れなくなった音楽はたくさんある。亡くなったアーティストの廃盤CDも少なくない。

 

志村正彦の音楽は生き続けている。『若者のすべて』は、彼の生前時よりも多くの人に愛されている。今では夏の終わりを代表する名曲として受け入れられている。

 

きっと多くの同業者が『若者のすべて』をカバーしてくれたことも影響しているのだろう。彼らが志村が生き続けるための手助けをしてくれたのだろう。

 

Bank Bandや槇原敬之など、先輩アーティストがカバー音源をリリースしてくれた。柴咲コウや麒麟の川島明など、本業がミュージシャンでない著名人のカバーもある。それらをきっかけに『若者のすべて』を知った人も多いはずだ。

 

他の楽曲もそうだ。『茜色の夕日』はクラムボンやThe SALOVERS、菅田将暉がカバー音源をリリースしているし、矢野顕子は『Bye Bye』をカバーしている。それらをきっかけにフジファブリックを知った人もいるだろう。

 

志村正彦の残した音楽を繋いでくれる人がいる。それによって彼は生き続けている。

 

そういえば同じく日向坂46のメンバーである渡邉美穂は「フジファブリックさんの茜色の夕日を熱唱することにハマっています。」とブログに綴っていた。(渡邉 美穂公式ブログ ) 彼女もMステでフジファブリックに出会って、そこから掘り下げていったのだろうか。やはり繋がっているし、生き続けている。

 

花ちゃんズは当然ながらは志村と同年代ではないし先輩でもない。交流があったわけでもないし憧れていたわけでもない。

 

そんな若い2人が名曲の一つとしてカバーをする。良い意味で楽曲が1人歩きした結果だ。そして彼女たちも次の世代へと『若者のすべて』の魅力を伝えていくのだろう。

 

もしかしたら今回のカバーで興味を持って、フジファブリックを好きになってくれる日向坂46ファンがいるかもしれない。

 

富田鈴花や松田好花を推している少年がギターを購入し、『若者のすべて』を練習することがあるかもしれない。その少年が音楽に目覚めバンドマンになり、将来人気アーティストとなり、フジファブリックをカバーする未来があるかもしれない。

 

そうやって繋がっていくのだ。リアルタイムでは知らない下の世代へと繋がっていき、永遠に生き続けるのだ。

 

ジョン・レノンの音楽が永遠に死なないように、忌野清志郎のロックンロールが永遠に鳴っているように、大瀧詠一の曲がCMで流れ続けるるように、志村正彦の音楽も永遠に生き続ける。

 

そして何よりも現在もフジファブリックを続けてくれている3人がいるからこそ、志村正彦の音楽は生き続けている。

 

彼らは今でも志村の残した音楽を鳴らし続けている。新曲を制作しライブを行い続けることで、フジファブリックを守り続けている、そんな彼らの功績が一番大きいはずだ。

 

きっと何年経っても思い出してしまうような名演を、花ちゃんズはしてくれると思う。『若者のすべて』の素晴らしさに気づく人がまた増えると思う。そうやって繋げていって欲しい。

 

日向坂46のメンバーが『若者のすべて』をカバーすると知り、そんなことを思ってしまった。

 

余談ですが日向坂46の中では宮田愛萌が最強だと思います。

 

FAB LIST 1(通常盤)

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