2025-02-21 【ライブレポ・セットリスト】kurayamisaka『kurayamisaka tte, doko?♯ 4 "はじめての単独公演編"』at 渋谷クラブクアトロ 2025年2月8日(土) kurayamisaka ライブのレポート 久々に「これは好きなバンドだ!」と心の底から思えるロックバンドと出会った。そのバンドはkurayamisakaである。 出会いは12月に行われたリーガルリリー主催のイベント。kurayamisakaはトップバッターとして出演していた。 そのライブが素晴らしかった。荒削りではあったが、だからこその勢いやエネルギーを感じた。そして何よりも楽曲に心を奪われた。このバンドをもっと観たいし、追いかけたいと思った。 そんなkurayamisakaがワンマンライブを渋谷クラブクアトロで開催した。これがバンドにとって初めてのワンマンである。自分が開催を知った時は既にチケットが完売していたが、運良く行けなくなったファンの方からチケットを譲ってもらえ行くことができた。 開演前から会場は期待に満ちた熱気で溢れている。チケットを売りすぎたのではと思うほどに、みっちりと観客がフロアを埋めつくすほどの集客だった。初ワンマンとは思えない状況だ。 開演時間を過ぎてメンバーが登場するとドラムの付近に集まり、ライブのスタートを告げるかのようにグータッチをした。 「こんばんは kurayamisakaです。僕たちの初めてのワンマンライブに起こしいただきありがとうございます!満員御礼!」とギターの清水正太郎が簡単に挨拶すると、バンドはステージの静寂を切り割くかのように激しく動きながら轟音を鳴らす。 ベースの阿左美倫平は特にハイテンションで、前方に出てきてマイクを通してないのに演奏の音量に負けないほどに大きな叫び声をあげて煽っていた。 そんな轟音から流れるように演奏された1曲目は『theme (kimi wo omotte iru)』。オルタナティブロックの影響を感じるサウンドを、ミドルテンポの演奏で鳴らし、観客をバンドの世界観に引き込む。そのまま『cinema paradiso』へと続き、1曲目と地続きになるようなサウンドと演奏の曲でさらに深いバンドの魅力を伝えた。 初めてのワンマンライブということで、多少の緊張や感情が過剰に昂るような想いがあったのだろうか。ボーカルの内藤さちは声が少し震えていたし、演奏も少しだけ力んでいるように聴こえた。クオリティという意味では100%の力というわけではなさそうにも感じる。 だがそんな荒々しい部分すらも魅力に感じるほどに、kurayamisakaの演奏は個性的だったし、感情が爆発したような勢いにグッとくることも確かだ。生のライブは感情が伝わり、感情を動かすことが、技術やクオリティよりもずっと大切である。 ミドルテンポの曲からライブを始めてじっくりと観客を引き込んではいたが、音源とは違うベースの演奏から始まった『seasons』では、疾走感ある演奏で一気にフロアの熱気を高める。腕を上げて盛り上がっている観客も多いし、先ほどとは違う空気になっている。フロア天井のミラーボールが回ったりカラフルな照明がステージを彩ったりと演出も良い。 内藤が「来てくれて本当にありがとう!」と笑顔で挨拶すると、観客から「おめでとう!」と初ワンマンへのお祝いの言葉が送られる。それに対しても笑顔ではにかみながら「ありがとう!」と言う内藤。音は尖っているのにメンバーの雰囲気は温かくて、ファンとの関係性も親近感がある。 内藤は「集大成に思われそうでけど、初めてのライブみたいな新鮮な気持ちでやっています」と、ステージに立っている今の気持ちも話していた。だからこそ序盤から荒々しくも心を動かす熱い演奏をしていたのだろう。 『last dance』では落ち着いたテンションで繊細に音色を鳴らしながら演奏していた。MCを挟んでメンバーの緊張もほどけたのだろうか。演奏も歌も安定して良くなってき。 この曲は後半に尖った演奏になり、サウンドは轟音になる。演奏後もノイズが残るほどの迫力だ。 そのノイズが残る中で再び繊細な音色を鳴らし『ハイウェイ』が続く。ギターのフレーズも歌もメロディアスで心地よい。 kurayamisakaを聴けば聴くほど、軸となる音楽性をぶれないようにしつつも、楽曲はバリエーションが豊富なのだと気づく。そしてこのバンドの核となる部分にはメロディの良さもあるのだと感じる。 会場中は皆さんが入場する様子を映像で見ていました。 年齢も性別も生き方も違って、今日最悪たった人も最高だった人もいて、でもそんな違う人達が同じバンドを好きになって同じ場所に集まっていることに、胸がいっぱいになりました。 内藤は特に初ワンマンに感激しているのだろう。そんな気持ちが伝わってくるようなエピソードを、笑顔で嬉しそうに語っていた。 清水は「疲れてないですか?トイレは大丈夫ですか?終わりみたいな雰囲気出てますけど、まだ全然最初の方なんで」と観客に気遣いつつ、エモい空気感や演奏に圧倒されて余韻に浸っている観客に言及する。 ここからは新曲をたくさんやります! 今日始めてkurayamisakaを観る人もいるだろうし、何度か観たことある人も、両方が集まっていると思います。でも新曲を続けてやるから、初めての人も常連の人も同じ条件です。みんな同じように楽しんでください! kurayamisakaが現在音源として発表している曲数では、ワンマンの尺には全然足りない。ライブ前はどうするのかと思っていたが、このために新曲をたくさん用意したようだ。 まずは『metro』というタイトルの新曲から。歪んだ音色のエレキギターのストロークから始まる、激しい演奏が印象的な疾走感あるナンバーだ。カラフルな照明も楽曲とマッチしていて良い。 そこから続く『kurayamisaka yori ai wo komete』は音源としてリリースはしていないものの、ライブで頻繁にやっている楽曲だ。YouTubeにもライブ映像がある。 それもあってか演奏は安定しているし、演奏の迫力も凄まじい。既になっているとも言えるが、今後バンドにとって重要なキラーチューンになりそうな予感がする。 今のkurayamisakaは疾走感ある楽曲を作るモードなのだろうか。ドラムの速いBPMでのソロから始まった『sunday driver』も疾走感ある気持ちが昂る楽曲だ。それでいてkurayamisakaだからこその轟音も取り入れていた。やはりどんな曲でもバンドの個性を感じる。 ナンバーガール『IGGY POP FAN CLUB』の影響を感じるリフが主体となっているような新曲『sekisei inko』もカッコいい。どことなくWeezerの影響も感じる演奏でもある。それなのにメロディは歌謡曲のようで、その組み合わせが独特で面白い。 まだタイトルが決まっていない新曲はキャッチーなメロディのロックだった。だがサウンドは轟音で尖っている。〈青い空に落雷が〉という歌詞が印象的だ。これにて新曲の披露は終了した。 内藤がアコースティックギターに持ち替えて披露されたのは『evergreen』。薄暗い照明の中で繊細な音が響き、落ち着いたテンポで演奏が進む。その怪しげな空気に観客は引き込まれ、フロアは静まり返っている。このヒリヒリした空気が最高だ。 だがそんな演奏をした後に緩い空気感を出しながら内藤が「ありがとー」と言う。演奏とメンバーのキャラクターとのギャップもkurayamisakaの魅力のひとつなのだろう。 「さっきは新曲ばっかりだったけどカッコよかったですか?」とナルシズムな発言をする清水。しかし実際にカッコよかったのでぐうの音も出ない。フロアからは大きな歓声が響く。 さらに「近いうちにイヤホンで聴けるようにするんで待っていてください」とレコーディングしていることを示唆する言葉を残し、ファンに希望を与えた。 バンドを始めたのは10年以上前です。 その時に妄想はしていたけれど、自分が立てるなんて想像できなかったです。自己満で作った曲をみんなに聴いてもらえて、みんなにライブに来て貰えるようになって、そんなことは想像もできないことでした。 ありがとうございます。 清水も初めてのワンマンで胸が昂っているのだろう。感慨深そうに過去を振り返りつつ観客に感謝を伝えた。 「ここからはみんなが知ってる曲をやるんで(笑)俺の親友が作った曲をやります」と言ってから演奏されたのは『modify Youth』。元々は清水が在籍している、せだいという別バンドの楽曲だ。そのことを遠回しに伝えて演奏を始めたのは、メンバーのこれまでの全ての活動が現在に繋がっていることを伝えるためだろうか。 清水がバースを歌い内藤がサビを歌う。演奏はオルタナなのに雰囲気は煌びやかで、歌詞が切なくメロディはキャッチー。少しだけSUPERCAR『Hello』を彷彿とさせる楽曲でキュンとする。自分のパートではない時も楽しそうに歌詞を口パクしたいる内藤の姿も印象的だ。 この楽曲からステージとフロアの心の距離が一気に近づいた気がする。2番のバースで清水が少しだけマイクスタンドから離れた時、フロアから大合唱が巻き起こったからだ。 MCで話していた通りかつては「自己満で作った曲」だったのかもしれないが、今では多くの人を感動させるみんなの曲になっていることを、実感した。 ライブも終盤。ここからバンドの演奏はさらに勢いを増す。前半の緊張が嘘かのように演奏も歌も絶好調になる。 この日1番の轟音が響くと、ハイテンションになったベースの阿左美がベースを置き手ぶらになり、ステージを駆け回りながら観客を煽っていた。田村明宏や田淵智也の亜種かと思うような行動だ。他のメンバーはしっかりと演奏し、興奮を音に込めるように鳴らしていた。 そんな轟音と興奮の中で始まったのは『curtain call』。観客もメンバー同様にハイテンションで盛り上がっている。アウトロで内藤が「楽しんで帰ろう!」と言ってから間髪入れずに『farewell』が続く展開も最高だ。 今日は本当にありがとうございました。 kurayamisakaはただいま制作をしています。ようやくまとまった音源を出せると思います。楽しみに待っていてください。 最後に大切な曲をやって終わります。 清水が感慨深そうに挨拶をしギターをゆっくりとストロークしてから、本編最後に『jitensha』が演奏された。 kurayamisakaだからこその轟音ではあるが、音色は煌びやかで内藤の歌声は透き通っている。そんな歌と演奏が心地よくも感動的だ。間奏でメンバー紹介していたが、メンバーひとりひとりの名前が呼ばれる都度温かな拍手がフロアから響いていたことが忘れられない。 kurayamisakaのはじめてワンマンライブは、初めてだからこその初々しさや勢いがありつつも、初めてとは思えない深く感動的な余韻が残し、本編を終えた。 アンコールの拍手がひたすらに続く中、それに応えて再び登場したメンバー。 内藤が改めて感謝を告げる挨拶をしているところで、うっかり爆音でギターを鳴らしてしまうフクダリュウジ。「嘘でしょ!?許されないから!」と怒る内藤。演奏中はひたすらにカッコいいのに、MCになると緩くて親近感が湧く。 もしも今日アンコールを求められたらと思って、その時のために新曲を作ってきました。 僕はkurayamisakaでへ架空の歌詞を書いています。でも、この曲で初めて自分のことを書きました。 清水が曲の説明をしてから最後に演奏されたのは、新曲の『あなたが生まれた日に』。 メロディアスなギターのイントロから堀田庸輔が叩くツービートのドラムが重なる、バンド史上最も速いBPMで“ メロコアバンドのアルバムの1曲目ぐらいによく収録されている感じの曲”と評したくなるほどに疾走感ある楽曲だ。 カラフルな照明の中でメンバーが荒々しくもクールに演奏する。kurayamisakaの新境地と言える楽曲に思うが、それでもバンドの個性が滲み出ている。 本編はライブが終わる切なさや寂しさも入り交じった感動的な余韻が残る終わり方だったが、アンコールはただただ衝撃と興奮と熱気を残す終わり方だった。そんなライブ内容だったから、これからのkurayamisakaはさらに凄いことになると予感させられてしまう。 でもメンバーが前方に出てきて仲良く手を繋ぎお辞儀をする姿には、やはり親近感が沸くしホッコリする。終演後に客出しのBGMで流れていた和田アキ子『晴れた日は出かけよう』のkurayamisakaによるカバーも心地よくて、そんな気持ちをより実感させる。 胸の中には熱がまだ残るまま、kurayamisakaのはじめてのワンマンライブは終演した。 ■kurayamisaka『kurayamisaka tte, doko? #4 "はじめての単独公演編"』 at 渋谷クラブクアトロ 2025年2月8日(土) セットリスト 1.theme (kimi wo omotte iru)2.cinema paradiso3.seasons4.last dance5.ハイウェイ6.metro7.kurayamisaka yori ai wo komete8.sunday driver 9. sekisei inko 10. 新曲 11. evergreen 12,modify Youth13.curtain call14.farewell 15. jitensha アンコール 16. あなたが生まれた日に kimi wo omotte iru kurayamisaka Amazon