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連番相手が決まっていないのにチケットを2枚取ることは絶対に止めるべき

「連番相手が決まっていないのにチケットを2枚取ってもいいのか?」ということへの賛否について、時折Twitterで話題になる。どうやら一緒に行く相手がいないのに複数枚チケットを取って、チケット当選後にSNSを使って連番相手を探す人がいるようなのだ。

 

とある人気アイドルグループのホールツアーの抽選結果が出た後に、その賛否について荒れている様子を自分は見かけた。

 

そのライブは人気公演でなかなかチケットが取れない。しかし一緒に行く相手が決まっていないのに2枚以上チケットを申し込んで当選している人がいる。それはチケットの倍率を無駄に上げているだけだし、目的が違うとしてもやっていることは転売屋と同じなのではという指摘があった。

 

この問題は他の界隈でも定期的に問題視されているようだ。某バンドのチケット抽選の結果が出た後にも、同じような話題でファンの界隈が荒れていた。どうやら人気公演や人気アーティストのライブは、この問題が付き纏っているようだ。

 

本来ならば一緒に行く相手がいないならば自分の分のチケットだけ取ればいい。だがライブに慣れていない人や、誰かと一緒に行動することが好きな人は、1人でライブへ行くことが心細いということも理解できなくはない。

 

「好きな音楽が共通する友達を作りたい」という目的もあるのだろう。だから募集するとしても自身と同年代だったり住んでる地域が近い人を選びがちだし、異性や歳の離れた人は避けて譲っている人もいる。

 

それはチケットを利用して自分の欲望を叶えよとしているとも言える。運営が販売する時点では、申し込んだ人に平等にチャンスがある抽選だったものが「連番相手がいないのに2枚取った人」によって他の条件が組み入れられ、平等さが失われているのだ。

 

だから「連番相手がいないのに2枚チケットを取った人」に、嫌悪感を抱く人の気持ちは理解できる。

 

主催者が禁止していないならばルール違反ではないので、客は自由にチケットを買えばいい。万が一にも余らせて無駄にしたとしても、それも買った本人の自由だ。その部分の認識が各々の価値観によって違うので、賛否が分かれるのだろう。

 

だから同行者がいないのに2枚以上チケットを買う人は「何が悪いの?」と開き直るのだろうし、それに反対する人が過剰にキツい言葉で責めてしまう。

 

ではどうすれば良いのか。この問題は簡単に解決すると思う。なぜならば「同行者を見つけてからチケットを申し込めばいいだけ」なのだから。

 

もしくは知人で一緒に行ってくれそうな人の候補を考えてから申し込めばいい。それならば誰も批判はしないだろう。必要な分を買っているだけなのだから。

 

チケット当選してから連番相手を探すのでは、順番が逆なのだ。なぜ同行者を先に探さないのか。どうせ後から同行者を探すのに。チケット購入後に同行者が見つからず、お金が無駄になってしまう危険も回避できるのに。

 

「今度このライブに行きたいんだけど興味ある人はいますか?よければ連番しませんか?自分がまとめてチケットを申し込みますよ!」と、申し込む前に探せば誰にも批判されることはない。先着先行ならまだしも、抽選先行ならば申込締め切りまで数日から数週間の期限がある。連番相手を探すことはそれほど難しくないはずだ。

 

「チケットがある状況」の方が誘いのだとは思う。昔からデートに誘うときは「チケットが余ってるから行かない?」と言って好きな異性を誘うのは常套手段だった。もしもチケット抽選に外れた場合、同行者に謝罪することが気まずいと思う人もいるだろう。

 

しかし「連番相手が決まっていないのにチケットを2枚取ること」に嫌悪感を示す人は少なくはない。迷惑を被っている人がいるのならば、ルール違反ではなくともマナー違反かもしれない。自分の都合で他人に嫌な思いをさせることは良くない。

 

だから多少の勇気を出して連番相手を見つけてから申し込むか、誘う相手を複数人候補を考えてから申し込めばいい。それならばトラブルは起きないし、誰にも批判されることはない。自分と違う価値観の人に歩み寄ることも大切だ。

 

個人的には「連番相手が決まっていないのにチケットを2枚取ること」自体は否定しない。禁止されていないならば、自由に買えばいいと思う。それに嫌悪感を覚える人の気持ちは理解できるが、自分は腹立たしさは感じない。禁止されていないならば、そういう買い方をする人がいても仕方がないと思っているし、悪いことだとも思わない。

 

しかし譲るにしろ譲られるにしろ、SNSで連番相手を探すことは大きな危険を孕んでいるので、止めるべきにも思う。それは「誰かにSNSで叩かれるから」ということが危険なわけではない。犯罪に巻き込まれる危険性が高いので、止めるべきなのだ。

 

SNSでの連番相手募集は元々の知人のみに限って募集するならばまだしも、「全く会ったことがない他人」だとしても、チケットを譲って一緒にライブへ足を運ぶ人が多いように思う。

 

ネット上でやり取りをしている相手だと信頼しがちだが、人間は本性を偽ることができる。実際に顔を合わせて会話していない文字だけのSNSでは、特に本性を隠すことは簡単だ。「趣味や好きなものが同じ」というだけで心を簡単に許してしまいやすいので、冷静な判断ができなくなり隙も出やすい。

 

そういえばSUPER BEAVERがライブのMCで「音楽が好きな人がいい人だとは、限らない」と言っていたが、それは正しいと思う。

 

募集して見つかった相手が異性ならば性犯罪に巻き込まれる可能性もあるし、美人局の可能性だってあり得る。出会い系サイト代わりに使う人だっている。万が一の可能性だとしても、相手に殺されたとしても不思議ではない。

 

宗教やねずみ講や違法薬物の勧誘かもしれない。反社会的勢力かもしれない。詐欺師かもしれない。簡単に人を信用してはならないのだ。

 

過去にオフ会などで3名以上の複数人で会ったことがあり、その後も交流があって素性がわかっているなら、二人きりで会っても安全かもしれない。音楽フェスの空き時間やライブ開演前のロビーなどで、初対面の相手と二人きりで短時間会うだけならば心配することはないだろう。

 

しかし素性がわからない他人と初対面で二人きりで長時間過ごすことは危険だ。今ではSNSは身近なツールとなり、リアルでの生活の延長線上にある。SNSは気軽に他人と交流し仲良くなれる便利さはあるが、それと同時に犯罪者にとっては気軽に犯罪に利用できる便利さもある。

 

SNSがリアルの生活の延長戦上になったということは、良い部分だけでなく悪い部分もネットとリアルとで繋がるようになったということだ。

 

悪意なく「連番相手が決まっていないのにチケットを2枚取る人」は10代から20代前半の若者が多いように思う。決して若者を馬鹿にするわけではないが、悪い輩にとって若者は騙したり傷つけることが容易な存在だ。その分だけ犯罪に巻き込まれる危険性も増す。

 

大好きな音楽を語りあう友人を作ろうとする行為が、悪い奴らが付け入る隙を与える迂闊な行為にもなってしまうのだ。もしも何度も初対面の他人と二人でライブに行き、トラブルが全く起こっていないならば、そうとう運がいいのだろう。それをきっかけに親しい友人を作れたならば、奇跡に近いことだ。その友人を大切にして欲しい。

 

SNSを通じて同じ趣味の友達が欲しいのならば、大人数のオフ会にでも参加したらいい。ライブ前にSNSで繋がった集団が、会場の前でタオルを広げていたりもする。そういったものに参加するのも悪くはないだろう。それでも危険が全くないとは言えないが、かなり回避はできると思う。

 

SNSはリアルと繋がるものになった現代だからこそ、危険性も理解してリアルと繋げていかなければならないのだ。どうしても様々な事情で一人でライブへ行けない人は、家族や既に信頼関係を結べている友人に頼んで一緒に行ってもらうことがベターかもしれない。

 

どちらにしろ、いきなり初対面の他人と二人きりでの連番でライブを観ることは危険すぎる。世の中にはヤバい人もたくさんいるのだから。

 

譲にしろ譲られるにしろ、どうしても会ったことがない他人と連番する必要があるならば、トラブルも覚悟した上で一緒にライブを観るべきだろう。

 

そういえばSUPER BEAVERがライブのMCで「束になってかかってくるな!一人でかかってこい!」と言っていた。

 

一人で観るライブも最高に楽しいよ。

 

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