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【ライブレポ・セットリスト】私立恵比寿中学 vs ビッケブランカ『Major Debut 10th Anniversary 2MAN Zepp TOUR「放課後ロッケンロール」』at Zepp Haneda 2022年8月22日(月)

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星名美怜と桜木心菜が前説で出てきたものの、少し緊張した様子である。どうやら本日の対バン相手であるビッケブランカとは、直接会うことが2人とも初対面らしい。

 

エビ中は全員が人見知りなので、初対面の相手への警戒心が半端ない。ビッケブランカが目の前にいないのに人見知りするという謎の状況である。岡崎体育と先月対バンした時は「体育ちゃん」と言いながらイジっていのだが、その時とはだいぶ様子が違う。

 

 

しかし初共演だからこその、想像を超える化学反応が生まれる可能性もある。

 

私立恵比寿中学 vs ビッケブランカ『Major Debut 10th Anniversary 2MAN Zepp TOUR「放課後ロッケンロール」』は、そんな期待とイデアを感じる対バンライブだった。

 

 

ビッケブランカ

 

バックバンド5名を従えたビッケブランカ。この日は主催者であるエビ中を目当てに来た人が多いようだ。正直なところ、前半はアウェイな空気が漂っていた。

 

しかし若山雅弘の力強いドラムが鳴った瞬間、惹き付けられた観客は多いようだ。みんな椅子から立ち上がり、ドラムに合わせて手拍子を鳴らしている。

 

当のビッケブランカはマイペースでゆるい。腕組みしながらゆっくりと登場し、客席に皇族みたいに手を振っている。そしてマイペースにゆっくりとギターを持ち準備を進めるが、そこからの演奏はマイペースではなかった。クールでキレッキレだった。

 

1曲目は『Moon Ride』。彼の音楽を知らない人にもしっかり伝わる歌と演奏で、少しずつ会場を温めていく。続く『アシカダンス』ではサビで腕を上げる人が増えてきて、登場時とは明らかに空気が変わった。アウェイだった空気がだんだんとホームに変わっていく。

 

みんなどんな気持ちなの?この対バンは「エビ中10番勝負」でしょ?「VS」とかついてるじゃん?みんなエビ中が好きなんでしょ?

 

だから俺は敵じゃん?どんな気持ちで観てるの?敵対組織に思われてる?それとも戦友だと思われてる?俺、不安で昨日ちゃんと寝れなかったんだけど!敵だと思われたらどうしようって思ってさ。でも戦友と思って良いの?

 

歌や演奏は完璧なのに、MCでは不安だった気持ちを語るビッケブランカ。観客の反応を観て敵対視されていないことを理解したのだろう。「良かった」と言って安心していた。

 

エビ中ファミリーへの恐怖心がなくなったのか、優しく語りかけるように『アイライキュー』を歌うビッケブランカ。ハンドマイクでステージをゆっくりと歩きながら歌う姿を、観客は温かく見守っている。

 

エビ中さんに曲を書かせてもらったことがあります。他のアイドルからも楽曲提供の依頼を受けることがあったけど、お断りしていたんです。嫌というわけではなくて、自分のための音楽を作ることが好きだったから。

 

エビ中から提供依頼を受けた時もどうしようかと思ったんですけど、試しにエビ中を聴いてみたんです。そうしたら他のアイドルとは一線を画してる気がしたんですよ。他のアイドルが悪いと言いたい訳ではなくて。

 

エビ中はアイドルでありながらも、アーティストと同じように良い音楽を求めて活動していると思ったんです。そんなグループに曲を求められたことを光栄に思いました。だから楽曲提供依頼に即答しました。そして今日対バンに呼んで貰えたことも凄く嬉しいです。

 

エビ中はアイドルでありながら、イデアなんですよ!わかりますか?

 

あれ?今、みんなと心の距離、離れたよね......?

 

エビ中に楽曲提供をした経緯とグループの魅力について語るビッケブランカ。しかし「イデア」というぶっ飛んだワードを使ったせいで、観客を動揺させてしまった。余談だがGRAPEVINEのアルバム『イデアの水槽』は名盤なので聴くように。

 

「ここから怒涛の流れで行こうとおもいます!」と告げてから、ここからノンストップで楽曲を続ける。イデアのせいで離れた心は、音楽によって近づけるつもりなのだろう。

 

まずは明るい曲調が印象的な『This Kiss』で会場を華やかに彩った。コーラスの岩村乃菜も前方に出てきて煽ったりと、どんどん熱気が上昇していく。

 

『ウララ』では会場の空気が一気に変わった。イントロでビッケブランカがピアノを弾き倒す姿に圧倒された人が多いのだろう。サビでは会場全体が腕を振って楽しんでいた。

 

しかし途中でシュールな空気になっていた。間奏でビッケブランカがゆっくりとステージを練り歩き、客席に向けて手を振ったからだ。その動きは上品で、まるで皇族のようである。観客も皇族を見た時と同じように、上品で丁寧な動きで手を振り返している。

 

もしかしたら彼も「イデア」なのかもしれない。イデアだからこそ上品に手を振れるし、皇族と同じオーラを纏うことができるのだ。

 

叶姉妹を彷彿とさせるタイトルの『ファビュラス』でも、ビッケブランカはイデアの片鱗を見せる。素晴らしい音楽と歌声によって、観客の手拍子を自然と巻き起こしたからだ。イデアだからこそなせる技だろう。

 

ライブも終盤。ラストの『Ca Va?』ではイデアを最大級に爆発さる。

 

コロナ禍でコールアンドレスポンスはできないものの、まるで観客の心の声が実際に聴こえてくるかのような盛り上がりだった。それはイデアだからこそ作ることができた奇跡だ。そして気持ちの良い演奏とハイレベルな歌声で、ひたすらに踊らせてくれる。この楽しさはイデアでしかない。

 

アウトロで「放課後ロックンロール♪来てくれてありがとー♪サヨナラバイバーイ♪」とメロディに乗せてう歌うビッケブランカ。観客に楽しさの深い余韻を残し、颯爽と去っていった。

 

やはりビッケブランカはシンガーソングライターでありながら、イデアなのかもしれない。イデアだからこそ初見の観客を熱中させたのだ。

 

余談だが、GRAPEVINEのアルバム『イデアの水槽』は名盤なので聴くように。

 

■セットリスト

1.Moon Ride

2.アシカダンス

3.アイライキュー

4.This Kiss
5. ウララ
6. ファビュラス
7. Ca Va?

 

 

私立恵比寿中学

 

SEの『ebiture』が流れてメンバーが登場した瞬間、「ビッケブランカがエビ中をイデアと言ったことは間違いではない」と確信した。メンバーがその場に存在するだけで空気が華やかになるし、メンバーが動くだけで惹き付けられてしまうからだ。これはイデアたる者だけがなせる技である。

 

そんなイデアな空気を作り上げた後の1曲目が『ハッピーエンドとそれから』なのも良い。

 

この曲はイデア的ではない。等身大でリアリティある切ない歌詞が印象的な楽曲だからだ。聴いていると共感や感情移入してしまう。この楽曲を歌ている時は、等身大でキュートなアイドルでになっている。だから愚民である我らオタクの心も、アイドルとしての実力で掴んでしまうのだ。

 

それでもメンバーのパフォーマンスはイデアなので尊敬してしまう。『さよなら秘密基地』のパフォーマンスは特にイデアだ。歌い出しの安本彩花の歌声を聴いた瞬間、その美声と表現力の高さにイデアが爆発する。

 

他のメンバーも同様だ。複雑な楽曲展開をハイレベルな歌とダンスで見事に表現している。この日は体調不良で真山りかと小林歌穂が不参加という状況ではあるが、彼女たちの想いを背負った上で、その穴を感じさせないパフォーマンスを見せることにも感動してしまった。

 

星名美怜「Zepp Hanedaにおあちゅまりのみにゃさん!こんにちはー!」

全員「こんにちはー!」

星名美怜「Zepp Hanedaにお集まりの皆さん!こんにちはー!」

 

しかしMC中はイデアではなかった。星名美怜は最初の挨拶で甘噛みし、何事ともなかったかのように言い直した。その瞬間はイデアではなくイマドキ革命ガールだった。

 

小久保由乃「今日はお休みのメンバーのカラーのヘアゴムをしてきました!全員見てください!」

柏木ひなた「1列目と2列目の方しか見えませんね。皆さん、心の目で見てください」

 

小久保はイデアではなく天然だった。やはりMC中はイデアではない。MC中は全員が中学生のようだ。

 

しかしイデアではない時間のエビ中も素敵である。このギャップも魅力の1つだし、それも含めてイデアということかもしれない。

 

それにパフォーマンスが再開すれば、やはりイデアを見せつけてくる。

 

『PANDORA』ではロックバンドのような激しくエモーショナルなパフォーマンスをみせつけ、『HOT UP!!!』では星名が「まだまだ上げてけ!羽田!」と煽り熱気を上昇させていく。泥臭さとイデアが混ざりあったステージングだ。

 

『青い青い星の名前』では中山莉子から強いイデアを感じた。彼女はこの日休んでいた真山のパートを中山が歌っていたが、その歌声は感情を爆発させるほどの魂が込められていて、パンクバンドのボーカルのようだった。その熱量にグッときたし、これぞイデアと思った。

 

安本彩花「実は全員でビッケブランカさんに会ったのは初めてで、わたしと莉子ちゃんはレコーディングに立ち会ってもらいました」

中山莉子「ラップの後のワア!って部分の言い方を色々と教えてもらいました」

ビッケブランカ「ワア!の部分めちゃくちゃこだわったから!」

星名美怜「上から話しかけられたの初めて(笑)」

 

MC中に関係者席からマイクを通さずにステージに話しかけるビッケブランカ。空気の読めない厄介客と思って警戒した人もいたかもしれない。こんな破天荒な行動ができるのも、彼がイデアだからこそだろう。

 

星名美怜「ビッケさんと仲良くなりたいので、今日からビッちゃんと呼びたいと思います!」

ビッケブランカ「ビッちゃん!?最高だねええええええーーー!」

星名美怜「この人、いけるわ(笑)」

 

ビッちゃんと呼ばれて歓喜するビッケブランカ。チョロいと思われているのに嬉しそうだ。

 

ビッケブランカがチョロいことを判明させたところでパフォーマンスは再開。『Anytime,Anymwhere』で客席に手拍子を巻き起こし、『宇宙は砂時計』では美しいダンスで惹き付ける。前半とは違う一面を魅せる展開だ。彼女たちは一言では言い表せないほどの様々な魅力を持っているのである。やはりイデアだ。

 

カラフルな照明の中でキュートに踊る『新未来センセーション』や個性的なダンスで魅せる『青春ゾンビィィズ』も良い。この2曲は今年発表された新曲だ。そんな最新のエビ中でも勝負したいという気待ちから、後半の盛り上げるべき大切な場面で続けて披露されたのかもしれない。

 

今回のライブで自分が特に歌声に凄みをかんじたのは『紅の詩』だ。メンバーの中でも特に歌唱力が高い柏木ひなたのフィーチャーソングということもあり、歌声が映える曲調になっていると感じる。

 

彼女の歌声も素晴らしいのだが、それに引っ張られるように他のメンバーの歌唱も凄みを増していると感じる。特に新メンバー3人も歌で観客を魅了ささるだけの力が少しずつ付いてきたのではないだろうか。それをこの曲で実感した。

 

「今日はビッちゃんとやるにあたって、まだやれてない曲があるんですよ」と言ってビッケブランカを呼ぶ星名美怜。観客が温かい拍手で彼を迎え入れたが、少し様子がおかしい。

 

ビッケブランカ「・・・・・・」

星名美怜「ビッちゃん、ステージに出てきた時に喋って!」

ビッケブランカ「今。怒ってます!みんな俺の時はペンライト振らなかっただろ!ペンライトの電池、エビ中のために温存しただろ!3人ぐらいしかペンライト使ってなかったぞ!」

 

自身のステージでペンライトを使わなかった観客に怒るビッケブランカ。彼はペンライトを振ってもらえるエビ中に嫉妬しているのだろう。メンバーカラーを教えてくれれば観客はペンライトを振ってあげるのに。

 

ビッケブランカに同情した観客は、彼に向けてペンライトを振って応える。満足気な表情で「虹みたいに綺麗ですね♪」と言って喜んでいた。ビッケブランカはチョロい。星名の「この人、いけるわ(笑)」という発言に説得力が増す。

 

ビッケブランカ「初めて生でエビ中のライブ観たけど、めっちゃ良いね!曲も良いんだけど、歌がめっちゃ上手いね !本当にレベル高いよ!みんながエビ中にハマる理由がわかるよ!俺もアイドルになりたい!どうすれば俺はアイドルになれるんだ!?」

星名美怜「じゃあ次の曲は一緒にアイドルみたいに歌いましょう!」

ビッケブランカ「振り付けも踊ってみたりして///」

 

エビ中の影響でアイドルに憧れてしまったビッケブランカ。エビ中メンバーは優しいので、次の曲では彼をアイドルとして受け入れるつもりのようだ。観客も温かいので、彼をアイドルとして推すべくペンライトを振っている。

 

2組のコラボで披露されたのは『ちがうの』。ビッケブランカがエビ中に提供した楽曲だ。作者本人が歌うのはこの日が初めてだし、エビ中にとっても現体制で披露するのは初である。

 

初々しい動きだが一生懸命踊るビッケブランカ。かわいい。しかし歌は流石の実力である。ビッちゃんを支えるエビ中のダンスは頼もしい。

 

落ちサビはビッケブランカが担当した。ステージの中央で歌い上げる姿は、アイドルそのものだ。そんな彼に向けて観客はペンライトを掲げ、エビ中メンバーはケチャを捧げている。

 

この瞬間のビッケブランカは、“アイドル・ビッちゃん”になっていた。いや、アイドルでありながら、イデアだった。

 

余談だが、GRAPEVINEのアルバム『イデアの水槽』は名盤なので聴くように。

 

■セットリスト

SE.ebiture

1.ハッピーエンドとそれから

2.さよなら秘密基地

3.PANDORA

4.HOT UP!!!

5.青い青い星の名前

6.Anytime,Anymwhere

7.宇宙は砂時計

8.新未来センセーション

9.青春ゾンビィィズ

10.紅の詩

11.ちがうの ※ビッケブランカとのコラボ

 

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