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【ライブレポ・セットリスト】日向坂46『W-KEYAKI FES.2022』Day1  at 富士急ハイランドコニファーフォレスト 2022年7月21日(木)

期待を煽るようなポップな音楽がSEとして流れる中で、手拍子をしながら日向坂46の登場を待つおひさま(ファンの総称)。『W-KEYAKI FES』という特別なライブタイトルだからこそ、ライブ内容にもセットリストにも特別な期待をしてしまう。

 

そんな期待に応えるどころか、期待していたレベルを遥かに超える楽曲から、ライブはスタートした。ステージセットの水色の扉からメンバーが登場して披露された1曲目が、『太陽は見上げる人を選ばない』だったのだ。

 

この楽曲はけやき坂46時代の楽曲である。正確には欅坂46&けやき坂46の合同楽曲と言うべきだろうか。ライブで披露される回数は極端に減ってしまったものの、櫻坂46にとって日向坂46にとっても大切で重要な楽曲である。

 

そんな楽曲でスタートした富士急ハイランドコニファーフォレストで開催された日向坂46のワンマンライブでえる『W-KEYAKI FES』の初日。序盤から最高の選曲でおひさまの心をガッツリと掴んでしまった。

 

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選曲だけでなく、パフォーマンスや演出も良い。

 

メンバーはメインステージでしっかりと魅せるパフォーマンスをしつつも、曲の中盤で会場中央に伸びた花道を歩き会場全体に散らばった。できる限り全ての座席の近くへ行こうとしている。

 

「この場所にまた集まれることを楽しみにしてました!騒ぐ準備できてますか!?W-KEYAKI FES!開幕です!」というキャプテン佐々木久美の煽りで、おひさまもメンバーと一緒に飛び跳ねる。ステージからはウォーターキャノンも発射されたりと、序盤からテンションが上がる展開が盛りだくさんだ。

 

1曲目を終えてメンバーがステージを去ると、改めてお馴染みの『overture』が流れる。ここからは「今の日向坂46としてのライブ」を行うという意味が込められているのだろうか。

 

ポップな衣装に着替え再登場してから披露されたのは『キツネ』。盛り上がることが確実の鉄板曲だ。メインステージで煽りながらパフォーマンスする姿を観ていると、自然とテンションが上がってしまう。コロナ禍以前は観客も声を出して盛り上がっていた楽曲だが、グッと堪えてペンライトを掲げたりジャンプしたりと、ほとんどのおひさまが別の方法で楽しんでいる。

 

『君しか勝たん』ではいつもと違う特別な演出もあった。メンバーが大きなフラグを持ってパフォーマンスしたのだ。同曲のヒット祈願のリベンジ的な意味と、欅坂46が同会場で行っていた『欅共和国』のオマージュの意味を込めているのだろう。

 

おひさまもそんなパフォーマンスに魅せられつつも、手拍子をして盛り上がっていた。野外かつライブタイトルにフェスという言葉が使われているからか、お祭り騒ぎのような楽曲と演出が多いようだ。

 

本来は4日間開催でしたが、櫻坂さんの方がコロナ陽性者が出てしまったため中止になってしまいました。

 

だから私たちは櫻坂さんの魂も背負ってパフォーマンスしようと思っています。

 

MCでは佐々木久美が中止になってしまった櫻坂46の公演について触れていた。彼女たちもコロナを理由に中止になったり、参加できないメンバーのいるライブを経験してきた。先輩グループの悔しさを理解できるのだろう。だからか序盤からいつも以上に気合が入った勢いあるパフォーマンスができているのかもしれない。

 

そんな真剣で真っ直ぐな想いを語るメンバーもいれば、高本彩花のように「今からジャンプしませんか?」という謎の提案をするメンバーもいた。そんな言葉に応えて曲が流れていないの全力でジャンプするおひさま。この日で最も高くジャンプした瞬間が、この時だったと思う。

 

小坂菜緒は謎に大爆笑していた。人がジャンプする姿が笑いのツボにハマるようだ。おかしなツボである。

 

まだまだお祭り騒ぎな楽曲が続く。佐々木久美の「騒ぐ準備できてるのかー!?」という煽りから『ソンナコトナイヨ』へとなだれ込み、メンバーがトロッコに乗って客席を煽りながら、会場外周を回りながらパフォーマンスした。会場全体を熱気で包んでいく。

 

サブステージや花道へたどり着いてからは『ってか』でさらに盛り上げる。この曲ではメンバーがウォーターガンや煙の出る銃を客席に向けて打つ演出もあった。このウォーターキャノンは水量と水の勢いがめちゃくちゃ強い。台風が来たかと思うぐらいの水量と勢いだ。

 

しかしアイドルのファンは基本的にドMの変態である。おひさまも例外ではない。おひさまは変態だらけだ。自分の座席は花道すぐそばのブロックだったざ、周囲はアイドルに水をかけられ、喜び発狂し興奮する変態しかいなかった。

 

斜め前の席に居た変態男性は、高本彩花のウォーターキャノンが顔面に直撃しても満面の笑みだった。心底喜んでいるようだった。ドMの変態である。羨ましさを感じる自分もドMの変態である。

 

「みなさんびしょ濡れになりましたか?踊れば風邪をひかないので踊ってください」と優しくもドSな発言をする佐々木久美。東村芽依は「水をかけまくりました!」と無邪気に喜んでいた。東村もドSだ。

 

宮田愛萌は「思いっきり人に水をかけてしまって、本気で謝りました。ごめんなさい///」と謝罪していた。しけしむしろ水をかけてほしい。自分も愛萌さんに水をかけられたかった。是非ともお願いしたい。むしろご褒美である。

 

ここまでひたすらに盛り上がる曲を続けたが、しっかりと聴かせて魅せる曲も披露された。小坂菜緒と金村美玖と濱岸ひよりの3人のユニット曲『もうこんなに好きになれない』は、まさにそのような楽曲だ。

 

花道とサブステージに3人が分かれ、私服風の衣装でゆったりとおどり歌う。さっきまで狂ったように盛り上がっていたおひさまも、3人のパフォーマンスに見惚れているようだ。自分のすぐ側に小坂菜緒が来たが、顔面が強すぎて見惚れてしまった。

 

とはいえ今回は「フェス」を名乗っているライブ。再びハイテンションな楽曲や演出が続く。

 

一期生が登場し『好きということは』を披露すると、メンバーと一緒にタオルを回して盛り上がるおひさま。メンバーはイントロで「ブンブンブンブン!」「ハイハイハイハイ!」と小学生でもわかる擬音で煽っていた。野外で大量のタオルが回る景色は圧巻だ。

 

その勢いを保ったまま『真夜中の懺悔大会』へとなだれ込む。この曲では再びメンバーがウォーターガンをもって客席へ向けて水を放射していた。

 

ガンの操作にも慣れたのだろうか。ファンに向けて狙い撃ちをし始めたメンバーもいる。特に影山優佳のスナイパーぶりは凄い。ターゲットを決めて確実に仕留めていた。自分も狙われたい。

 

齊藤京子は操作が慣れないようで、東村芽依に水をかけていた。東村は悲鳴をあげていた。

 

ここで1期生からバトンタッチされ、2期生のパフォーマンスが始まる。客席後方のサブステージで『世界にはThank You!が溢れてる』をポップに明るくパフォーマンスし、会場が多幸感で包んだ。

 

かと思えば『恋した魚は空を飛ぶ』ではメインステージでクールに歌い踊る。この楽曲は卒業が決まったためライブ不参加の渡邉美穂が元々センターを務めていたが、今回は金村美玖がセンターに立っていた。楽曲に深く入り込んだからこそできるであろう彼女の表情は、吸い込まれそうになるほど凄みがある。

 

この2曲は体調や怪我の影響で出演曲を減らしている小坂菜緒と宮田愛萌と丹生明里は参加はできなかったが、他のメンバーが全力でパフォーマンスしてその穴を埋めようとしていた。日向坂はメンバー同士で支え合う関係性なのだ。

 

続いての3期生はキュートなパフォーマンスで魅せていた。『この夏をジャムにしよう』ではポップに踊りつつも、笑顔でウォーターガンをぶっ放していた。特に髙橋未来虹は根っからのドSなのだろう。おひさまに命中した時は大爆笑していた。

 

そこからインスタのテンプレートやスタンプのような小道具を持って『ゴーフルと君』を続ける。「これぞアイドル」というような可愛さが爆発したパフォーマンスだ。

 

MCでは加入期別のパフォーマンスを終えて感想を話していた。潮紗理菜は「1期生は自由だからリハーサルでやっていなかったことをやるから困るけど楽しい」と話していたが、「佐々木久美と齊藤京子は帽子を取り合って喧嘩していた」とライブとは関係ない話もする。齊藤京子は強奪京子と佐々木久美に呼ばれていた。

 

話はどんどん脱線し2期生はパフォーマンスの感想をすっ飛ばして「松田好花が首に装着する手持ち冷房機を使っていてビビった」と松田をイジっていた。

 

こんなゆるゆるMCをするものの、やはりパフォーマンスはゆるさなどなくキレッキレである。特にここからの数曲は「魅せる」ことを意識した楽曲が続いた。

 

『川は流れる』では水の中をイメージしたであろう映像がステージのスクリーンに映される中、幻想的なパフォーマンスを花道を使って繰り広げる。

 

青空と雲の映像をバックに、メインステージでフォーメーションでのダンスを魅せた『飛行機雲ができる理由』も素晴らしい。花道やトロッコで客席に近づいて盛り上げるのも楽しいが、しっかりと魅せるパフォーマンスも彼女たちはできるのだ。

 

野外であることを活かした美しい演出もあった。『僕なんか』ではステージ前に扇状の噴水のように水が出てきて、そこにプロジェクションマッピングで映像が映される中で披露された。演出とパフォーマンスの美しさが組み合わさり、幻想的な雰囲気を作り出している。

 

「W-KEYAKI FESにふさわしい曲を披露します」と佐々木久美が告げてから披露された『語るなら未来を』も、魅せるパフォーマンスだった。

 

元々は欅坂46の楽曲だが、けやき坂46もライブで何度もパフォーマンスした楽曲である。櫻坂46にとっても日向坂46とっても、平等に大切な楽曲なのだろう。

 

それはファンも同じかもしれない。曲が始まった瞬間に、客席一面が緑色のペンライトの光で埋め尽くされた。欅坂46やけやき坂46への大切な想いがあるからこそ、みんな自然とペンライトの色を変えたのだろう。

 

センターは齊藤京子が務めていた。何かに憑依されたかのような彼女の表現に引き込まれる。日向坂の楽曲では観せることが少ない姿だ。

 

ライブも後半戦に入ると、パフォーマンスは全てを出し切るように激しくなっていく。

 

トロッコで移動しながら「まだやれんのかよ!?」とシャウトする山口陽世。反抗期が来てグレたのかと思った。佐々木美玲も声が裏返るほどに叫び煽っている。

 

当然ながらおひさまのテンションは爆発する。そして客席後方左右のサブステージで『My fans』をパフォーマンスし、さらに熱気を上昇させる。

 

メインステージに戻りダンストラックを挟んでから披露された『アディショナルタイム』も圧巻だった。

 

この曲では扇形の噴水にプロジェクションマッピングが写される演出がされていた。『僕なんか』では美しさを引き立てていたが、この曲では盛り上がりを引き立てている。しっかりとダンスを魅せつつも、盛り上げることを忘れていない。

 

そこから曲間なしでライブ定番曲『NO WAR in the future 2020』が続いた。花道に飛び出して客席を煽るメンバー。中盤には銀テープも飛び出たりと演出も盛り上げていく。

 

さらに『誰よりも高く飛べ 2020』を続けるのだから、メンバーもおひさまもテンションがおかしくなってしまう。トロッコまでも駆使して会場全体に散らばるメンバー。盛り上がり要素を全て詰め込んだような演出だ。

 

山口陽世「まだまださわぎたりないよなあ!?」と煽っていた。やはり彼女は反抗期が来てグレたのかもしれない。

 

最高の盛り上がりを作り出した日向坂46。みんなやりきった表情をしている。

 

そんな盛り上がりを優しく包み余韻に浸らせるように、「今は声を出せないけれど、いつか皆さんと一緒に歌いたいと思っている曲をやります」と佐々木久美が話してから、本編最後に『知らないうちに愛されていた』が披露された。

 

丁寧に繊細にパフォーマンスするメンバー。それを見守るようにステージに集中するおひさま。スクリーンには歌詞が映し出されていた。きっとおひさまも心の中で歌っていたと思う。

 

「フェス」というだけあって、ひたすらに楽しくて盛り上がる曲や演出が多かった。しかしこの曲は感動的だった。最後にメンバーが手を振りながら歌い、それにおひさまが一緒に手を振っていた景色も最高だった。

 

そんな最高の余韻を残して本編を終えたが、アンコールも当然ながら楽しいし感動的だ。

 

グッズのTシャツに着替えたメンバーが出てくると「まだまだ盛り上がっていくぞ!」という煽りから、デビュー曲かつ代表曲の『キュン』を間髪入れずに披露した。小坂菜緒の顔面が強すぎて、勝手にキュンとした。

 

山口陽世「今日は初めてライブでおでこを出してみました」

メンバーのガヤ「赤ちゃん!」「デコ!デコ!」「デコピンしたい!」

山口陽世「色々な場所からお声がけありがとうございます」

 

最高に盛り上げてもMCはゆるい。山口は先輩メンバーをいなす方法を身につけているようだ。

 

今回は欅坂さんの曲もやらせてもらえました。そういう意味でもW-KEYAKI FESは初心に帰れる機会にもなっています。暗くなってペンライトが綺麗に見える時間になってきましたし、みなさんに虹を作ってもらえたらなと思います

 

佐々木久美が次の曲に繋げる話をすると、客席がすぐにペンライトの色を変えて虹色の景色を作り出した。あまりの速さに「ギネス記録を叩き出せそう」と言う加藤史帆。おそらく日向坂のファン以外でこれをやる人はいないので、常にギネス記録だと思う。

 

そして「みなさんの虹の間を進んで近くに行きます!」と佐々木久美が言ってから『JOYFUL LOVE』が披露された。

 

トロッコに乗って客席全体を回っていくメンバー。会場に集まった全員を漏らすことなく感謝を伝えるように回って手を振って歌っている。ステージ前にはプロジェクションマッピングで虹が映し出されていた。そんな演出も粋で良い。最高のライブはメンバーとファンとスタッフで、一緒に作り上げるということを示しているようだ。

 

ラストソングはグループ名がタイトルに使われた『日向坂』。東京ドーム公演で「この先もずっと歌い続けたい曲」と語っていた楽曲だ。

 

まるで〈どこまでも太陽に続く道〉を歩いているかのように、花道を歩きながらおひさまに手を振りながら歌うメンバー。歌い終わると終わりを告げるかのように大きな花火が打ち上がった。メンバーと一緒に花火を見上げてライブの余韻と感動に浸る瞬間が最高だ。

 

メンバーはまた来年も富士急でライブをやりたいと話していた。おそらく夏の定番ライブとして来年も行われることだろう。

 

かつての日向坂46にとっての「約束の彼の地」は東京ドームだった。それは「グループとおひさまの夢」としての意味が込められていたと思う。これからは「必ず毎年集まってみんなで集まってお祭り騒ぎする場所」としての意味として、富士急を約束の彼の地にしてもいいいのではないだろうか。

 

それぐらいに素晴らしいライブだったし、日向坂しか勝たんと思える、彼女たちにしかできない最高のお祭りだった。

 

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■日向坂46『W-KEYAKI FES.2022』Day1 セットリスト

1.太陽は見上げる人を選ばない

2.キツネ 

3.君しか勝たん

4.ソンナコトナイヨ

5.ってか

6.もうこんなに好きになれない

7.好きということは

8.真夜中の懺悔大会

9.世界にはThank You!が溢れてる

10.恋した魚は空を飛ぶ

11.この夏をジャムにしよう

12.ゴーフルと君 

13.川は流れる

14.飛行機雲ができる理由

15.僕なんか

16.語るなら未来を... 

17.My fans

18.アディショナルタイム

19.NO WAR in the future 2020

20.誰よりも高く飛べ 2020

21.知らないうちに愛されていた

 

EN1.キュン

EN2.JOYFUL LOVE

EN3.日向坂

 

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