オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

バンドマンの不倫を自分は絶対に擁護しない

バンドマンやミュージシャンのプライベートについて、ファンが知る必要はない。例えば結婚や出産などおめでたいことだとしても本人が自ら発信しないならば、ファンが詮索することはご法度だろう。

 

不倫などの不祥事でも同じだ。本来は世間が知る必要がない情報である。著名人だからと他人のプライバシーをネタにして商売にするマスコミの仕事は倫理的に間違っているかもしれないし、それについて一般人がわざわざ言及することも本来は間違っているかもしれない。

 

ミュージシャンとファンはB to Cの関係だ。売り手が音楽という商品売って、それに魅力を感じた顧客が買っている。一般の商売と仕組みは同じだ。決してプライベートを売っているわけではない。

 

しかしバンドマンやミュージシャン、アーティストという仕事は特殊でもある。作られる作品(商品)に人格や思想や思考、製作時の精神状態などが反映されることが多い。公の場に顔を出しているのならば、そのルックスも重視される。音楽だけを売っているわけではないのだ。

 

例えば雑誌のインタビューでパーソナルなことを話して作品と繋がっていることを話すバンドマンは少なくはない。本人のパーソナルな思想や思考や、メディアに出る際のキャラクターも込みで商品にしているのだ。飲食業が接客の良さや清潔感までも求められることと同じだろう。

 

看板娘に惹かれて居酒屋の常連になったり、店主のこだわりに共感してラーメン屋の常連になることと同じように、ルックスやキャラクターに惹かれてバンドのファンになる人もいる。最初は音楽(商品)に惹かれたことがきっかけでも、だんだんと作り手に興味を持つようになる人もいる。自分はそのタイプだ。

 

それに音楽は「人の心を動かす」ことが求められる商品でもある。ただのBGMではなく、心を救ってくれるものとして捉えている音楽ファンは少なくはない。形がないものだからこそ特殊な価値や意味を欲されるし、その造り手のパーソナルな部分も注目される。実際は「音楽」が心を動かすというよりも、「音楽を創ったり奏でた人」にリスナーは心を動かされている場合が多い。

 

だから自分は「作品と作り手の人格は別に考えるべき」という意見に疑問を感じる。それが間違いとは思わないが、それが繋がっている音楽もある。別に考えるべきという意見は、繋がりのある音楽の存在を見落としていると感じてしまう。

 

作品と人格は繋がっているから、好きなバンドマンやミュージシャンの不祥事にショックを受ける人がいるのだろう。

 

それは「酷いことをして最低だ」という嫌悪感の意味でのショックではなく、「自分の心を動かした音楽を作った人が、大切な人を傷つける人だったのか......」という悲しさの意味でのショックだと思う。

 

BUMP OF CHICHKENのベーシストである直井由文の不倫が週刊誌で報じられた時、Twitterで「旦那に不倫された時にBUMPの音楽を聴いて救われたのに、これから何を信じればいいのかわからない」と投稿している人がいた。

 

そのツイート主はBUMPのメンバーを神聖化していたわけでも、絶対的な人格者と認識していたわけでもないと思う。ただただ辛い時に救ってくれた音楽を愛し、その創り手を信頼し感謝していたのだろう。

 

おそらく「自分を救った音楽の作り手に、自分を苦しめた行動と同じことをするメンバーがいた」ということにショックを受けていたのだと思う。自分がを救ってくれた音楽の作り手が、自分を傷つけた人物と同類だったのだ。これにショックを受けないはずがない。

 

「作品と作り手の人格は別に考えるべき」という単純な話で片付けることができない場合がある。これはそんな簡単に片付けられない例の1つだ。世の中は「音楽が良いから問題ない」と割り切れるような強い人ばかりではない。繊細な心の人もたくさんいる。

 

バンドマンやミュージシャンの不倫を擁護する人もいるようだ。

 

その気持ちはわからなくはない。それも「自分を救ってくれた音楽の創り手の味方でいたい」という思いからくるのだろうから。

 

しかし「不倫は当事者同士の問題」という言葉で擁護する人もいるが、それを言い出したら窃盗も傷害も殺人も当事者同士の問題である。

 

刑法で罰せられるかの違いはあるものの、傷ついた人がいることは同じだし、巻き込まれていない他人には関係がないことも同じだ。それを理由に擁護するのならば、世の中の9割の悪事を擁護できることになってしまう。

 

直井由文は一定期間、活動を自粛した。

 

不祥事を理由に活動を自粛することには、ファンの間でも賛否が分かれていた。刑法上の犯罪ではない場合、不祥事自体が活動に影響は与えない。「不祥事を起こしたら自粛すべき」という空気が世間に流れがちなので、第三者による私刑に感じる部分もある。だから賛否が分かれることは当然だ。

 

しかし自粛するかどうかを決めるのはアーティスト自身だ。ファンが反対したとしても本人たちにとって必要な場合もあるし、世間の空気など関係なく決めた場合もあるはずだ。

 

自粛によって不祥事を起こした本人は真摯に反省し家族に償う時間を取れる。信頼関係にヒビが入ったであろう他のメンバーとの関係を修復する時間も作れる。ショックを受けたファンは「今後どのようにBUMPの音楽や活動に向き合うか」を考える機会になったかもしれない。

 

起こした不祥事の内容や大きさにもよるが、自分は真摯に反省したならば活動を応援したいとは思う。だから今の自分は以前と同じ気持ちでBUMPの音楽を聴くし、川谷絵音の音楽も正当に評価する。絶対に擁護はしないが、できる限り許して受け入れたい。

 

でも過去のこととはいえ内容にドン引きしてしまったので、Corneliusを気にせずに聴くまでには少し時間がかかりそうだ。マンウィズやRADやサカナクションも、今までと変わらない気持ちで聴いてライブに行ける日が来ることを望んでいる。

 

この「許せるか許せないか」のラインや基準は人それぞれ違うと思う。上にあげた例はあくまで自分の場合の話だ。

 

絶対に不倫したバンドマンを許せない人はいるだろうし、過去だとしてもいじめ問題に関わったミュージシャンを一生許せない人もいるだろう。それは仕方がないことだ。作品と人格は繋がっている場合もあるのだから。

 

思い返すと音楽以外でも商品と直接関わりがない問題を理由に、その会社やサービスから離れる場合もある。

 

例えば自分はすき家とくら寿司には行かないと決めている。便利だとしてもUberEATSは使わないし、noteで文章は書かない。サントリーの商品もできる限り避けたい。

 

それは商品やサービスが嫌いだからではない。企業体質や方針、経営陣の行動に嫌悪感を持つからだ。それが改善されない限りは利用したくない。だから自分は改善の兆しが見えた吉野家は利用している。

 

とはいえ音楽は不思議なものだ。企業の不祥事には怒りを感じるが、アーティストの不祥事には悲しみを感じる。音楽が良ければ作り手までも信頼し、親近感を覚えてしまうからだろう。それが飲食などの他の業種と違うところだ。

 

だからこそアーティストの不祥事が発覚した時に深いショックを受ける人もいるし、逆に擁護する人も出てくるのだろう。音楽は心の中に深く入り込むものだから、企業の不祥事以上にファンは様々な感情が渦巻き意見が分かれてしまうのだ。

 

それでもアーティストや音楽のことが好きなことは同じである。だから考えは違ったとしても、できる限りお互いの考えは尊重し寄り添い合うべきに思う。

 

しかし自分は「バンドマンに素行の良さを求めても仕方がない。破天荒なのが当然」という意見にだけは首を傾げてしまう。大昔のバンドマンはそうだったかもしれないし、ファンも受け入れざるを得なかったのかとしれない。「SEX、ドラッグ、ロックンロール」という言葉があったぐらいなのだから。

 

しかし今は2022年だ。ロック黎明期の1960年代ではない。当時の価値観のままでいては、時代遅れでダサすぎる。

 

反骨精神こそロックだと思われがちだが、それは反骨すべき理由がある場合の話だ。価値観をアップデートしていない時代遅れで歪んだ社会に対して、中指を立てて変えようとする精神がロックだと自分は解釈している。

 

自分が好き勝手に生きるために、社会常識や社会の倫理観に反発することがロックでは無い。そんなのダサすぎる。

 

「プライベートまでも破天荒なのがロック」という大昔の価値観に中指を立てて変えていくことこそ、現代のロックだ。ロックはそんな「最新の価値観」を持ったカッコイイ音楽であって欲しい。

 

自分は不倫をして大切な人を傷つけても気にしないバンドマンよりも、大切な人をきちんと大切にするバンドマンのほうがカッコいいと思う。

 

ブライベートで破天荒なことをしてカッコつけるバンドマンよりも、妻のことを「りょうちゃん」と呼び愛でて、息子のお弁当を毎日作るTOSHI-LOWの方がカッコイイじゃないか。そんなバンドマンやミュージシャンで溢れて欲しい。

 

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あ、いや、ちょっと待ってくれ。

 

調べたらTOSHI-LOWのヤバい写真が見つかった。

 

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菅田将暉と細美武士とチバユウスケと、怪しげな写真を撮っていた。これはショックを受けるファンもいるはずだ。TOSHI-LOW、何をやっているんだよ......。

 

 

 

 

 

文春に撮られたバンドマンたちの写真も、実はドッキリで、本当は全部がこんな茶番であってくれたらいいのにね。

 

全てのバンドマンとミュージシャンは、音楽は聴いた者の心を動かし、時として人生にまで影響することを自覚してくれ。