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【ライブレポ・セットリスト】吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂 2021.6.20(日)

 吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂

 

大きな声での声援や歌唱は禁止ですが、大きな拍手や熱のこもった視線は大歓迎です

 

日比谷野外音楽堂で行われた吉澤嘉代子のワンマンライブ。開演前に注意事項を伝えるアナウンスは、吉澤嘉代子本人が行なっていた。コロナ禍だからか注意事項は多い。「熱のこもった視線」という言葉が気になる。せっかくなので熱のこもった視線を送り続けようと思った。

 

まずは開演前のステージセットに熱のこもった視線を向けて見る。

 

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※演者がいないステージは撮影OKでした

 

 ステージの中心には大きな木をイメージしたセットが置かれている。野外の会場とベストマッチなセットだ。その前にはスタンドマイクが置かれている。

 

吉澤と木を囲むように、バンドメンバーの楽器が設置されている。バンドは吉澤に熱のこもった視線を向けながら演奏するのだろう。

 

しかし1曲目ではバンドが吉澤に熱のこもった視線を送ることはなかった。

 

彼女が1人でステージに出てきて、アコースティックギターの弾き語りからライブをスタートさせたからだ。

 

前半

 

歌われたのは『東京絶景』。吉澤嘉代子へ熱い視線を向ける観客。そんな客席に熱い視線を向けながら歌う吉澤嘉代子。

 

東京絶景

東京絶景

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ステージから聴こえるのはギターと歌声だけ。しかし都会の雑音が周囲から聴こえてくる。鳥の鳴き声やビル風の音、車の走る音や救急車のサイレン。などなど。それすらも音楽に感じるほど、吉澤嘉代子の歌声は全てを巻き込み包み込む。

 

そんな環境で〈東京はうつくしい 泡沫のプラネタリウム〉と歌う。まるでこの空間について歌っているのかと思ってしまう。音楽は聴く環境によって意味や価値も変化するのだ。

 

 歌い終わるとバンドメンバーが登場。熱のこもった視線と拍手をメンバーに送り迎え入れる観客。

 

そして吉澤の横に犬のぬいぐるみ愛犬のウィンディも出てきた。この犬は動く。さらには喋る。自ら「僕は嘉代子ちゃんの愛犬ウィンディです♪」と挨拶する。

 

 

人形作家の山田はるか氏がウィンディの写真をツイートしていることには、触れて良いのか悩んでしまう。

 

ここからはバンドセットでのライブがスタート。観客の熱のこもった視線に応えるように『ユートピア』で盛り上げ心を熱くさせる。

 

『月曜日戦争』では手拍子を煽り楽しませる。スカートをたなびかせながら、舞うように歌う吉澤嘉代子も素晴らしい。スカートに対して熱のこもった視線を向けてしまう。

 

月曜日戦争

月曜日戦争

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

伊賀航がウッドベースを弾いていた『怪盗メタモルフォーゼ』では、思わず彼に熱い視線を向けてしまう。

 

おしゃれさと優しさを兼ね備えつつも、熱さもある演奏に胸が震える。バンドメンバーにも熱い視線を向けるべきライブである。

 

『鬼』では吉澤嘉代子のキュートなダンスに熱のこもった視線を向けてしまう。笑顔で楽しそうな表情にも熱のこもった視線を向けてしまう。

 

鬼

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

彼女も手を振ったりと、熱のこもった視線を客席に向けている。爆レスをもらっていた前方の客に、自分は嫉妬のこもった視線を向ける

 

君島大空にも熱い視線を向けてしまった。

 

『恥ずかしい』で弾かれた彼のギターソロに惹かれたのだ。最高だった。前方に出てきて引き倒す君島。そんな彼に吉澤も熱のこもった視線を向ける。それぐらい熱のこもった名演だった。

 

吉澤「去年は野音の抽選会場に行って6月20日を引いた時は梅雨待っただかなで不安だったんですけど、晴れてよかったです!ちなみに普通は抽選会場にはイベンターの方やスタッフが行くらしいです。本人がくるのは過去の歴史でわたしが2人目だったらしいです。1人目が誰だったのか気になります」

観客「・・・・・・」

吉澤「雨も降らずに太陽の陽もなくて、これぐらいの気温がちょうどいいですよね?暑い?」

客席「・・・・・・」 

吉澤「寒い?」 

客席「・・・・・・」

吉澤「ちょうどいいよね!よかった!」

客席「・・・・・・」

 

ルールとマナーを守る観客ばかりなので、質問を投げかけられても声を出さない。しっかりとスルーする。

 

しかし吉澤嘉代子は心の声が聴こえるらしい。会話がなぜか成立していた。

 

バンドメンバーを紹介した後に「次の曲!ドーン!」と笑ゥせぇるすまんかと思うような「ドーン!」を言って演奏再開。

 

クールなホーンの音が衣装的な『麻婆』をステージを動き回り歌う吉澤嘉代子。ウィンディーはスプーンを使って麻婆を食べている。器用で雑食な犬である。

 

そして『えらばれし子供たちの密話』では感情的な歌声で圧倒させる。『サービスエリア』では繊細な表現の歌と演奏に魅了する。

 

サービスエリア

サービスエリア

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

様々な一面で魅せる演奏と歌声に震える。熱のこもった視線を自然とステージに向けてしまう。

 

キーボードの伊澤一葉は演技派な一面も見せていた。

 

『地獄タクシー』では毎回寸劇を挟んでから演奏が始まるのだが、今回の伊澤は過去最高と思えるほどに熱演していた。そんな姿に熱のこもった視線を向けてしまう。

 

地獄タクシー

地獄タクシー

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そんな熱のこもった演技に心を動かされた観客が、クラップをしながら熱い視線をステージに向ける。今度は熱のこもった演奏に感動する。

 

その空間は多幸感で満ちていて、地獄というよりも天国だった。

 

 

後半 

 

ここまで熱のこもったライブをしていた吉澤嘉代子。ここで椅子に座りクールダウン。

 

いしいしんじの小説『ぶらんこ乗り』に登場する『手をにぎろう』という話を朗読する。それが終わると小説タイトルを引用した『ぶらんこ乗り』をしっとりと歌う。アコーディオンを弾く伊澤には熱のこもった視線を向けてしまう。

 

『ルシファー』『刺繍』と最新アルバム『赤星青星』の中でも重要な楽曲を続ける。この2曲が最新で最強の吉澤嘉代子なのだろう。特に凄みを感じる歌声だった。

 

刺繍

刺繍

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そして多くの人に響き代表曲となった『残ってる』を繊細な表現で歌う。

 

薄暗くなった都会の真ん中に響く歌声。ステージセットの木にはライトが点灯している。シチュエーションと相まって感動が増幅される。そんな余韻がずっと残ってる。

 

残ってる

残ってる

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

「幸せだなあ......」と言って加山雄三ばりに幸せを噛み締める吉澤嘉代子。今回のライブへの想いを語り始めた。

 

日比谷音楽堂で歌うことは17歳の頃からの夢でした。それ以外には夢もなくて、野音で歌いたいと言う気持ちだけでした。人前に出ることが苦手なのに、いつか野音で歌うために頑張りたいと思って続けてきました。

 

吉澤嘉代子は自身のことを歌うことは少ない。別人格の主人公を登場させ物語を創るような歌をうたう。

 

2019年に川口文化センターで行われたワンマンライブでは「この曲の主人公はどんな女の子なのかな。どんな髪型なのかなって考えながら曲を作ったりしている」と語っていた。

 

しかしその後にひろうされた『movie』は彼女が自身について歌っているように聴こえた。その次の『泣き虫ジュゴン』も同様だ。

 

〈魔女の宅急便に泣いた13歳の夏〉や〈わたしは特別じゃない〉というフレーズが出てくる『ストッキング』からもそれを感じる。

 

ストッキング

ストッキング

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

自身が主人公というよりも”子どもの頃の吉澤嘉代子”が主人公と言った方が正しいかもしれない。

 

夢を見ていた少女時代の吉澤嘉代子を、夢を叶えた大人の吉澤嘉代子が救っているように感じる。1曲だけの物語ではなく、彼女の人生の物語を音楽で表現していると感じる。

 

だからこの3曲は特に、熱もこもった選曲と名演に思った。

 

ありがとうございます。野音で最後に歌おうとずっと思っていた曲を歌います

 

最後の挨拶をしてから『ものがたりは今日はじまるの』が始まる。サンボマスターと共作した楽曲である。

 

ものがたりは今日はじまるの feat.サンボマスター

ものがたりは今日はじまるの feat.サンボマスター

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

吉澤嘉代子はサンボマスターの野音を観てプロのミュージシャンになることを志した。そのライブをきっかけに野音のステージに立つことを夢みた。

 

夢を与えた人と作った曲を、夢の舞台で歌う。優しくも力強く熱のこもった歌声が空に響く。それを支えるバンドの演奏も胸に響く。

 

野音のライブは名曲を名演で届け続けるだけではなかった。意味や想いがあるセットリストだった。吉澤嘉代子のドキュメンタリーとも言えるライブだった。

 

今日は誰かのためというよりも、自分の夢を叶えるための、自分のためのライブをやらせてもらいました。

 

最近はコロナのせいで夢という言葉をあまり聞かなくなりました。今にプラスするというよりも、マイナスから元の生活にどう戻すかばかりを考えてしまう感じで。

 

今回は特に大事で大好きな曲を詰めたセットリストにしました。普段のライブは誰かを演じることが多いけれど、今日は自分が苦手なありのままの姿でステージに立ちました。曲も誰かを主人公にして書いているけれど、その中にも作った当時の自分はいるんだと思います。

 

17歳の頃に野音でサンボマスターを観たことをきっかけに、野音でライブをやることが夢になりました。山口さんが出てきた瞬間に「3000人に歌うんじゃなくて、あなたに歌いに来たんです」と言っていて、それに痺れました。自分もそんな気持ちで歌っていこうと思います。

 

今日まこれまでだけでなく、これからの自分にとっても大切な日になりました。

 

アンコールのMCで改めて今回のライブについて想いを語っていた。

 

そして「今日は子どもの頃にライブを観ていた客席側からステージに向けて1曲だけ歌ってもいいですか」と言って、客席中央のサブステージまで移動した。

 

客席の中央から自身が先ほどまで立っていたステージをじっと見つめる。「今日のために新しくギターを買ったんですよ」と言って緑色のグレッチを持ち「17歳の頃に創った歌です。拙い曲ですが手直しせずに歌います」と話してから『みどりの月』を弾き語りで披露した。ヤマハが主催したコンテストでオーディエンス賞を受賞した楽曲で、プロになるきっかけの1つになった楽曲でもある。

 

ステージを真っ直ぐ観ながら歌う吉澤嘉代子。17歳の吉澤嘉代子が夢を叶えた吉澤嘉代子に向けて歌っているように錯覚した。今の吉澤嘉代子が17歳の吉澤嘉代子に「間違っていないよ」と伝えているようにも感じた。

 

ステージに戻るとバンドメンバーにそれぞれに「自分の夢」について聞いていく吉澤嘉代子。

 

その中でバンドマスターのゴンドウトモヒコが「このメンバーで日本武道館でライブをやりたい」と夢を語る。夢というよりも目標かもしれない。遠くない未来の話に感じる。近いうちに武道館で吉澤嘉代子を観たい。

 

最後にもう1曲だけやりたい曲があるので、歌います

 

そう告げてから『雪』が歌われた。初夏の野外とは真逆に思うようなシチュエーションの楽曲である。

 

雪

  • 吉澤嘉代子
  • J-Pop
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この曲は吉澤が不登校でフリースクールに通っていた時に出会った友人で、サンボマスターの野音にも一緒にいった親友の「ゆきちゃん」に向けた曲だ。

 

どうしても夢の舞台でこの曲を歌い想いを伝えたかったのだろう。MCで語っていた通り「自分のためのライブ」をやっている。夢を叶えるためのライブをやっている。

 

かといって客席を置いてけぼりにしていたわけでもない。ファンは熱のこもった視線をステージに向けていた。熱のこもった音楽に感動していた。

 

ありのままの吉澤嘉代子の音楽が、みんな大好きなのだ。それに心を動かされたのだ。

 

吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂は、集大成といえるライブだった。

 

しかしこれで終わりではない。まだまだ彼女の音楽は続いていくし、きっと新しい夢に向けて動いていく。次のライブの目標は、ゴンドウが言っていた武道館だろうか。野音と同様に素晴らしいライブになるのだろう。いつか実現してほしい。

 

新しい夢の実現をこの目で見る為にも、自分は今後も熱のこもった視線を、吉澤嘉代子に向け続けるだろう。

 

吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂 at 日比谷公園野外大音楽堂 2021.6.20(日)
■セットリスト

1.東京絶景
2.ユートピア
3.月曜日戦争
4.怪盗メタモルフォーゼ
5.鬼
6.恥ずかしい
7.麻婆
8.えらばれし子供たちの密話
9.サービスエリア
10.地獄タクシー
11.ぶらんこ乗り
12ルシファー
13.刺繍
14.残ってる
15.movie
16.泣き虫ジュゴン
17.ストッキング
18.ものがたりは今日はじまるの

EC1.みどりの月(未発表曲)
EC2.雪

 

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