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【ライブレポ・セットリスト】SUPER BEAVER『15th Anniversary 都会のラクダSP 〜 ラクダの決着、豊洲3本勝負! 〜』@豊洲PIT 2021.1.15

緊急事態宣言がある中でのライブ

 

「悪いことをしたいわけではないです。規則の中で遊んでいきましょうね」

 

2021年1月15日に東京・豊洲PITで行われたSUPER BEAVERのライブ。3曲目の『美しい日』を歌う前に、ボーカルの渋谷龍太はこのように話していた。

 

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会場に集まったファンも同じ気持ちだと思う。みんな悪いことをしたいわけではないのだ。規則をしっかり守る代わりに、大好きな音楽を生で聴かせて欲しいだけなのだ。

 

東京で緊急事態宣言が出ている中で開催されたライブ。政府からは「不要不急の外出は控えるように」とアナウンスされているものの、「イベントは行って良い」ともされている中途半端さ。

 

悩んだ末にライブへ行くことを選んだ人。悩んだ末に行くことを諦めた人。

 

行くことに罪悪感を持つライブ参加者。チケットを無駄にして席を開けることに罪悪感を持っているライブ不参加者。

 

様々な考えの人がいる。様々な選択がある。正解なんてあってないようなものだ。

 

そんな複雑な状況で、様々な想いや渦巻く中、渋谷龍太の言葉は胸を打つものだったし、SUPER BEAVERの演奏は力強かった。

 

前半

 

開演時間ちょうどメンバーがステージに現れる。今日は登場SEはなかった。ファンの盛大な拍手だけが会場に響く。これがSEの代わりだ。

 

「よく来たね」と渋谷が言ってから演奏が開始。1曲目は2020年にリリースされた新曲の1つである『ハイライト』。

 

ハイライト

ハイライト

  • SUPER BEAVER
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

いきなりライブのハイライトと思ってしまうような、圧倒的な感情を爆発させるような熱気。コロナ禍で制限があるとしても、彼らは最高のロックンロールを鳴らすことを証明するような演奏。

 

そして『青い春』へと続ける。

 

青い春

青い春

  • SUPER BEAVER
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

「今日は声を出せないですから、腕をあげて俺たちに見せてくれ」と渋谷が煽ると、Bメロで会場全体が頭の上まで手を上げて手拍子をする。規則の中でバンドもファンも音楽で遊んでいる。

 

〈くじけそうならば 今度は僕らが 笑わせたいんだよ〉というフレーズの〈僕らは〉を〈SUPER BEAVERが〉と歌詞を変えて歌う。マスクで隠れていても、みんな笑顔になったはずだ。

 

「出てきた瞬間にグッときた。危なかった」と話す渋谷。「思いつく方法で気持ちを俺たちに見せてくれ」と伝えてから『美しい日』が始まる。

 

美しい日

美しい日

  • SUPER BEAVER
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

歌い始めのアカペラに合わせてファンの手拍子響く。声を出せなくてもライブだからこその一体感はある。その景色は美しい。

 

「このライブも2021年もすぐに終わってしまうから、一瞬一瞬を気を抜かないように」と言ってから『閃光』へ。

 

あっという間に終わってしまうような、疾走感ある演奏。しかし曲を聴いて胸が熱くなる余韻はずっと残る。

 

ここまでアップテンポの楽曲を続けて盛り上げていた。しかしここで「久々の曲をやります。といってもライブが全然できなかたから、全部が久々なんだけどね」と笑って、ロックバラード『your song』をしっとりと披露。

 

「楽しくいきましょう。この瞬間や今日のライブだけでなく、明日も明後日も来月も来年も。この歌があなたにとって突破口になりますように」

 

 渋谷の言葉に歓声の代わりに腕をあげたり拍手をして応えるファン。そして『突破口』を演奏しまた熱気が会場を包む。最新曲ながらすでにキラーチューンになっている。

 

突破口

突破口

  • SUPER BEAVER
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

正々堂々「今」と今向き合って 堪能するよ現実 酸いも甘いも全部
威風堂々 正面突破がしたいな 面白そうだ 歓べそうだよな
今をやめない 味わい尽くして 笑おう 笑ってやろうぜ

 (SUPER BEAVER / 突破口)

 

このご時世に生まれた新曲は、SUPER BEAVERのロックと言葉は、力をくれる。こんな世の中も味わい尽くして笑おうと思えてくる。

 

 

後半

「自分の足を使って会いにきた。あなたも会いにきてくれた」

 

『予感』の曲間に渋谷が言う言葉が印象的だった。今だからこその重い言葉で、想いがある言葉に感じる。

 

予感

予感

  • SUPER BEAVER
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

「声は出せないけれど」と言いながらもコールアンレスポンスを求めていた。

 

心の中で歌ったり身体で伝えてくれということだろう。制限がある中でも名も無き感動は生まれる。

 

2020年が最悪な1年だったことは覆りません。でも最悪な1年を変えることは可能だと思います。長期戦かもしれないけれど、あなたと一緒なら屁でもないです。あなたにとっても、そういうバンドであれたら嬉しいです」

 

今の素直な気持ちを語ってから、おそらく今の素直な気持ちを歌にしたであろう新曲『自慢になりたい』を続けた。

 

自慢になりたい

自慢になりたい

  • SUPER BEAVER
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

〈あなたの自慢になりたい〉という歌詞はまっすぐすぎて少し照れ臭い。それでも説得力があるし響いてしまう。

 

それはバンドの演奏も歌声もまっすぐで、彼らの鳴らす音に嘘偽りがないからだ。

 

ここで生配信は終了。会場に来た人のためだけの時間になる。

 

「ここからはあなたと1対1のステージ」と言ってから『歓びの明日に』『嬉しい涙』と続ける。

 

赤い証明に照らされながらステージを動き回りながら演奏するメンバー。フロアも比例してさらに盛り上がる。

 

「自分で決めたならば、悩みながら今日来た人も、悩んだ末に諦めた人も、正解だと思います。頑張るなという言葉は優しいしよく聞くけど、頑張らないといけない時もあります。大丈夫と軽く言えないけれど、少しずつ大丈夫にしていきましょう」

 

そして『まわる、まわる』を語るように歌う。渋谷が「自分が救われた曲」と言っていたから、他の曲以上に魂を込めて歌っていたように思う。

 

感染症対策で観客は声を出すことはできない。それはバンドも承知の上である。

 

しかし「心の中で歌っても手を上げてもなんでも構わない。気持ちを見せてくれ」と語り、『秘密』ではコールアンドレスポンスを求めていた。

 

秘密

秘密

  • SUPER BEAVER
  • J-Pop
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

腕をあげたり拍手をしたり飛び跳ねたりと、それぞれの思うやり方で気持ちを伝えるフロア。

 

サビでは一体感ある手拍子が響く。それに応えるようにバンドは最高の音を鳴らす。

 

曲の中盤では「ギター柳沢亮太、ベース上杉研太、藤原”32才”広明、ボーカル渋谷龍太とここにいるあなたでSUPER BEAVERです」とライブではお馴染みの挨拶もしていた。

 

フロアから声は出せないし、キャパを半分以下に減らしているライブハウス。緊急事態宣言が出ていたこともあり来場を諦めた人もいるのだろうか、客席の1割ほどは空席だった。

 

それでもSUPER BEAVERは、今までのライブハウスと変わらないロックンロールを鳴らしていた。

 

特に『秘密』を演奏している時は、あの頃のライブハウスが戻ってきたと錯覚するほどだった。それぐらいの熱気と一体感があった。

 

「それでは本邦初公開の・・・・・・」

 

渋谷が最後の挨拶をしている最中に盛大な拍手が巻き起こった。「まだ何も言ってないんですけど、何の拍手ですか?」とスッとボケるメンバー。「新曲をやれば満足という拍手ですか?」と言うとさらに拍手が大きくなる。

 

「本邦初公開の新曲です。あなたに会うまでとっておいた新曲を、アイラブユーを、受け取ってください」

 

そう言って演奏されたのは『アイラブユー』。2月にリリースされる最新アルバムのタイトル曲である。

 

疾走感ある演奏と美しいメロディと力強い声で歌われる〈アイラブユーが歌いたい 愛してる〉と真っ直ぐな歌詞が印象的な曲。

 

あえて真っ直ぐな表現で歌っているのだろう。真っ直ぐな言葉だからこそ伝わると信じているのだろう。

 

2020年に発表した新曲から始まり、2021年にリリース予定の新曲で終わったライブ。

 

先が見えない暗い世の中に、未来や希望を感じさせてくれる始まり方と終わり方だった。こんなご時世でも新しい音楽は生まれているし、新しいワクワクが待っているのだ。

 

「何度だってあなたに会いに行くぜ」

 

最後に渋谷はこのように言ってステージを去っていった。挨拶にまで未来や希望を感じさせてくれる。

 

まだまだ満員のキャパでライブを行うことは難しい。一緒に歌ったり騒いだりできる3密のライブハウスが戻ってくるのは、何年も先かもしれない。

 

しかしライブを行うにあたって音楽業界が対策をきちんと取ってライブ開催をするようになってから、ライブ会場ではクラスターは発生していない。観客から感染者が出たという話も、自分が知る範囲では去年の夏以降は聞いたことがない。

 

これはアーティストやスタッフだけでなく来場した人の力によるものだ。制限がある中でも最高のライブをできると、音楽を愛する人たちが証明しつつあるのだ。

 

そのことが多くの人に伝わってほしい。今日のライブも元の世の中に戻るための、突破口の1つになってくれたらと思う。

 

SUPER BEAVER『15th Anniversary 都会のラクダSP 〜 ラクダの決着、豊洲3本勝負! 〜』@豊洲PIT 2021.1.15
■セットリスト

1.ハイライト
2.青い春
3.美しい日
4.閃光
5.your song
6.突破口
7.予感
8.自慢になりたい
9.歓びの明日に
10.嬉しい涙
11.まわる、まわる
12.秘密
13.アイラヴユー

 

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