2020-05-13 【レビュー】ukkaの新曲『恋、いちばんめ』が名曲だから聴いてほしい レビュー ukka ukkaの新曲『恋、いちばんめ』が素晴らしい ukkaの新曲を聴いた瞬間に思った。「今年のアイドル楽曲大賞はこの曲が1位確定でいいのでは」と。まだ5月なのに。それぐらい良い曲だと思った。 タイトルは『恋、いちばんめ』。 曲はもちろんMVも素晴らしい。4分28秒ごろの俺の水春が特に素晴らしい。 サウンド自体は「アイドルぽさ」はないように感じる。アイドル以外の歌手が歌っても違和感はなさそう。それなのにukkaが歌うと「アイドルが歌うべき歌」に感じる。 というか、よくよく聴くとアイドルグループが歌うことを意識して作られているように感じる。細かい仕掛けが色々となされているのだ。 アイドルグループだからできる歌唱 『恋、いちばんめ』には「SMAP感」がある。 リズムは70年代〜80年代のソウルやファンクなどのディスコミュージックの影響を感じる。そこにJ-POP的な音色や構成を取り入れているのだ。 それは90年代にヒットを飛ばしていた頃のSMAPが行っていた音楽性に近く、日本人にとって馴染みのある音楽性だ。 それでいて複数の歌い手がいるグループだからこそ活きる歌割りになっている。ユニゾンの使い方が魅力的なのだ。 例えばAメロの〈恋してることに気づいた〉というフレーズでは違うキーでハモって美しい歌声を響かせているが、Bメロの〈はるいちばんめ 動き始める〉やサビの〈ゆめ、はなびら、そら、 かわいく彩る〉では同じキーをユニゾンで歌うことで声に厚みを持たせている。 基本的にはソロの歌回しで構成されている歌割り。 そこにパターンの違うユニゾンが要所要所で加わることで、歌に深みが増している。複数の歌い手がいるグループである強みを生かしているのだ。 あとグラサンをかけている水春によって、MVに意外性と面白さが加わっている。 展開の多いサビ Aメロ→Bメロ→サビと続く楽曲構成はJ-POPの定番である。しかしメロディを一部複雑にしているのが『恋、いちばんめ』の個性的で面白い部分だ。 友達だっていっても、 季節はきれいだ、もうちょっとなんか見たいなゆめ、はなびら、そら、 かわいく彩る世界は味方みたいに これだけだっていっても、 言葉は嘘つくそういうもんだから、 きょうから すき、だよ、すき、なの、 それ以外はない そんな言い方してみようか はないちもんめ、あの人がほしいの サビではメロディ展開がフレーズごとに変化する。メ 〈これだけだっていっても〜〉と〈今日から〉〈すき、だよ、すき、なの、それ以外はない〉〈そんな言い方してみようか〉〈はないちもんめ〜〉と大きく分けると1つのサビで5パターンのメロディ展開されていて複雑だ。 ちなみにMVの水春の表情も複雑に変化して、複数の表情パターンがある。 メロディが複雑になると楽曲疾走感は出てくるし、聴いていてインパクトもある。しかし一人では歌うことは難しくなる。 そのため『恋、いちばんめ』はサビでもソロ歌唱とユニゾンの歌唱を組み合わせ、メンバーに負担がなく全員が100%の力で歌唱できるように工夫されている。 2番のサビの後にはスムーズに大サビに移行することで、盛り上がりのピークをさらに引き伸ばす展開になっているのも流石だ。その部分もソロ歌唱を歌いつぐような歌割りなので、メンバーの負担も少ない。 グループだからこそメロディの魅力や展開の面白さを活かすことができるのだ。 ちなみにMVでは水春がお菓子を食べることで、音楽の魅力だけでなくお菓子の魅力も伝わるように工夫されている。 メロディと構成に対する工夫 複雑な展開が続くと情報量が多すぎて聴いていて疲れてしまう。『恋、いちばんめ』はサビのメロディ展開は変化が目まぐるしく複雑だが、聴いて疲れないように工夫されている。 AメロとBメロのメロディ展開はシンプルだ。情報量は少ない代わりに安心して心地よく聴ける。サビとのギャップによってサビの魅力もより引き立つ。 またサビは1番でも2番でもラストでも2回ずつ繰り返している。そのため複雑な展開ながらメロディが覚えやすく、キャッチーに感じるような仕掛けになっているのだ。 ちなみにMVでは水春が飲み物を持つシーンが何度か繰り返されている。水春の魅力が引き立つような仕掛けになっているのだ。 サビの〈友達だって言ってもう〜〉の部分はメロディに対して歌詞が字余りになっていて、強引に歌詞をメロディに乗せている。 それは吉田拓郎が最初にやり始めた手法だ。これによりフォーキーで和を感じ、日本人が親近感を持つメロディになる。それがキャッチーに感じるもう一つの理由に思う。 ちなみに桜も和を感じる花の一つだ。 MVで頭に桜の花びらをくっつけている水春からも和を感じて親近感を持ってしまう。 はないちもんめ このように楽曲が素晴らしいだけでなく、アイドルグループが歌う必然性を感じる楽曲になっているのだ。 またソロ歌唱が多い楽曲なので、一人ひとりの歌唱力も重要になってくる。 下手な歌唱をごまかすことができない。 しかし歌声も聴いていて心地よい。メンバーに歌唱力がしっかりあるからだ。 『恋、いちばんめ』を聴けばukkaが名曲を歌いこなす実力があることも感じることができる。 そしてMVで水春を観た人は、全員がこのように思うはずだ。 はないちもんめ、君のことほしいの! ↓他のukkaの記事はこちら↓ Koi-Ichibanme - Single ukka J-Pop ¥255