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小山田壮平の音楽は小さな女の子にも響いたのだろうか?(ライブレポ・感想・セットリスト)

30分だけ

 

大人にとっては30分は短い。あっという間に過ぎてしまう。

 

でも子どもにとっては長い時間かもしれない。30分間じっとしていられる子どもは少ないと思う。飽きて違うことをしたり、喋ったり騒いだり。

 

だから30分間じっとステージを観ていた女の子が印象的だった。

 

自分のすぐそばでお父さんに抱っこされたままステージをじっと観ていた。4歳か5歳ぐらいの女の子が、30分間ずっと。

 

2月1日に二子玉川ライズで行われた本屋博というイベント。その一環として小山田壮平の弾き語りフリーライブが行われた。

 

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地味な弾き語りは小さい子どもには退屈かもしれない。小山田壮平はポケモンの歌もプリキュアの歌も歌わない。パプリカを踊るわけでもない。

 

 それなのに女の子はライブじっと観ていた。1曲目からずっと、静かに音楽を聴いていた。

 

青空の似合う曲たち

 

30分だけのライブ。短かったが良いライブだった。雲ひとつない空気の澄んだ青空のしたに設置された野外ステージ。シチュエーションも良かった。

 

この日は青空が似合う曲を中心に歌ってるように感じた。

 

空は藍色

空は藍色

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ゆっくりと集まった人たちを見渡しながらギターを爪引き始める小山田壮平。1曲目は『空は藍色』。andymori時代の楽曲。

 

会場はショッピングセンターの一角。小山田壮平のことを知らないであろう買い物客も、昼過ぎの藍色の空の下に響く音楽に耳を傾け、足を止めていた。

 

ベースマン

ベースマン

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輝くものは空の上

 

今度はギターをかき鳴らしながら『ベースマン』を歌う。

 

やはりこの日は「空」が歌詞に出てくる曲が多い。この後に演奏された『グロリアス軽トラ』『シンガー』『16』でも「空」という言葉が出てくる。

 

どこで聴いても名曲だとは思う。しかしシチュエーションによって感じ方も変わる。

 

青空の下で聴く小山田壮平の音楽は、少しだけ週末のショッピングセンターを穏やかな空気に包んでくれた。それはライブハウスでは体験できないシチュエーションと雰囲気で心地よかった。

 

普段のライブハウスにはいないであろうカップルや家族連れが観ているライブ。じっとステージを観ていた女の子も、ライブハウスには行ったことがないはずだ。

 

音楽好きの集まったライブハウスという空間も最高だと思う。でも気軽に音楽を聴ける環境で、多くの人が音楽に気軽に触れたり出会える環境も最高だと思う。

 

縁をつなげる音楽

 

「二子玉川ライズの蔦屋で働いている人に昔から関わりがあって良くしてもらっていて。自分が大学生ぐらいの頃からライブに来てくれたりしていました。今回はその方に本屋博へ呼んでいただいて出演することになりました。この歳になって、昔の縁がつながって、また仕事ができて良かったなあと思います」

 

MCで出演した理由をこのように話していた。

 

そういえば会場では小山田壮平のCDやグッズを販売していなかった。もちろん出演料はもらっているのだろうが、無料イベントなのでギャラも高くはないと思う。この30分間のステージのためだけに来たのだ。金銭面を考えたら割に合わない仕事ではと思う。

 

おそらく昔からの縁があるから出演したのだと思う。

 

 「本屋博ということで、自分もおすすめの本を紹介します。又吉直樹さんの『人間』という本なんですけど」

 

シンガー

シンガー

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又吉直樹の本をおすすめの本として紹介してから『シンガー』という曲を歌った。

 

この曲は『フライングポストマンプレス』というフリーペーパー内の企画で、又吉がよく聴いていると話してた曲だ。

 

 

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 本屋博には又吉直樹も別イベントで出演していたらしい。それを知っていたからか、又吉の話をして、彼が好きな曲を演奏したのかもしれない。

 

又吉直樹「一行目を読むころには、喉がカラカラ(笑)」『二子玉川 本屋博』PRイベント開催

 

小山田壮平は縁を大切にしているのだと思う。音楽によって繋がった縁を繋ぎ続けようとしているのだと思う。

 

それは関係者だけでなく、ファンに対しても音楽を作って奏でることで縁を作って繋げてると思う。自分はandymori時代から小山田壮平の音楽を聴き続け、ファンで居続けている。これも音楽によって結ばれた縁だ。

 

この日偶然ライブを観た買い物客とも、音楽によって縁を結べたのかもしれない。初めて小山田壮平の音楽に触れて、調べたり聴くようになった人もいるかもしれない。

 

お父さんに抱っこされたままじっと聴いていた女の子とも、音楽によって縁を結べたのではと思う。

 

女の子は誰が歌っているか知らなかったかもしれないし、忘れてしまうかもしれないけれど、将来どこかで小山田壮平の音楽を聴いた時に思い出すかもしれない。

 

きっと女の子にも、小山田壮平の音楽は響いたのだと思う。

 

祈りをこめて歌うように

 

祈りをこめて歌うように

神様に会いに行くように

16のリズムで空をいく

明日もずっと空をいくのさ

 

 最後に演奏された『16』。歌詞のとおりに、祈るように、心を込めて歌っているように聴こえた。

 

歌声が16のリズムで二子玉川の空をいくような、素晴らしい演奏だった。

 

16

16

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演奏を終えて頭をさげた小山田壮平。この日一番大きい拍手が送られた。その拍手も小山田壮平の音楽と同じように、どこまでも空をいきそうな拍手だった。

 

女の子も拍手をしていた。笑顔で抱っこをしていたお父さんの顔を見ていた。30分間ずっと抱っこしたいたお父さん、お疲れ様。

 

どんな音楽でも世代に関係なく、感動することはあるのだと思う。

 

音楽は世代の性別も国籍も関係ない。大人だってアンパンマンのマーチで感動するし、子どもだって小山田壮平の音楽で感動するのだと思う。

 

一瞬の夢に出会えるのは

30分 30分 30分だけ

 

andymoriに『無までの30分』という曲がある。

 

無までの30分

無までの30分

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この日は演奏されなかったが、小山田壮平のライブを観て『無までの30分』の歌詞が頭に浮かんだ。

 

この日の30分間のライブは「一瞬の夢に出会えた」30分に思えた。

 

子どもにとって30分は長いのではと思っていた。

 

でも心をつかまれてしまえば、大人も子どもも関係なく「30分だけ」と思えるような心に残る体験になるのだと思う。

 

女の子にとってもこの日の30分は短かったのかもしれない。ずっと抱っこしていたお父さんは体力的に長い30分だったかもしれないけれども。 

 

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セットリスト
1.空は藍色(andymori)
2.ベースマン(andymori)
3.雨の散歩道
4.ゆうちゃん
5.グロリアス軽トラ(andymori)
6.シンガー(andymori)
7.ローヌの岸辺
8.16(andymori) 

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