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【ライブレポ・感想・セットリスト】SHISHAMO ワンマンツアー2019-2020「シーズン3が終わっても君の隣にいたかった」@ 2020.1.25 Zepp Tokyo

意外な始まり方

 

ミュージシャンにとってライブの1曲目に新曲を演奏することは、勇気がいることだと思う。

 

オーディエンスの心を掴むために最も重要なのは1曲目だ。

 

1曲目がヒット曲やアップテンポの曲ならば、すぐに心を掴むことができる。一瞬でいい雰囲気を作って、最後まで駆け抜けることができる。

 

それなのにSHISHAMOは1曲目に未発表の新曲を披露した。1曲目だけではない。2曲目も新曲だった。

 

ワンマンライブで彼女たちのファンばかりが集まっているとしてと、ファンも知らない曲をライブの1曲目と2曲目にひろうひて心を掴むことも簡単ではない。

 

それなのにSHISHAMOは、新曲で心を掴んでいた。

 

誰も知らない新曲だから、腕を上げたりと盛り上がったりはしない。しかし新曲の魅力と演奏の力強さで惹きつけた。

 

新曲を続けて演奏した後の拍手の大きさで、新曲がファンの心に刺さったことがわかった。

 

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2019年1月25日。Zepp Tokyoで行われたSHISHAMOのワンマンライブ。

 

誰も知らない新曲でフロアの心を掴んだ様子を観て、自分は「この日は絶対に良いライブになる」という確信した。

 

その確信は間違いなかった。本当に、良いライブだった。

 

 

今のSHISHAMOは演奏が凄い

 

演奏がものすごく良かった。

 

SHISHAMOは曲中にフロアを煽ることはない。控えめに煽ることもあるが、基本的には黙々と演奏をするようなバンド。演奏で惹き付けるバンド。

 

この日は特に演奏の力を感じた。いつも以上にフロアを演奏に夢中にさせていた。

 

『ねえ、』や『あなたと私の間柄』などミドルテンポのポップな曲でゆっくりと空気を作っていく。

 

ねぇ、

ねぇ、

  • SHISHAMO
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しっかり演奏を聴かせて、バンドとして演奏の魅力が伝わる空気を作り出す。『タオル』ではポップで明るい雰囲気にしてみんなを笑顔にさせる。

 

しかしSHISHAMOはロックバンド。

 

『BEY BEY』や『あの娘の城』では太く重い演奏のロックサウンドをフロアに叩きつけるように演奏する。

 

BYE BYE

BYE BYE

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同期でメンバー以外の音を流しながら演奏する曲もあるが、基本は3人のみでの演奏。

 

スリーピースで限られた音でも、バンドの個性を取り入れつつ様々な音楽を聴かせてくれる。

 

私の夜明け

私の夜明け

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『私の夜明け』などスローテンポのバラードをライブで聴くと、今のSHISHAMOの凄みをより実感する。

 

バンドで演奏する時、アップテンポよりもスローテンポの方が合わせることが難しい。しかし今のSHISHAMOはスローテンポの方が魅力的な演奏をするように感じる。

 

吸い込まれるような気持ちになるのだ。メンバーが息を合わせるように演奏する音に。

 

それは新曲を演奏する時にも感じた。

 

 

今が最高だと確信したタイミング

 

本編最後に演奏された曲はライブ初披露の新曲『曇り夜空は雨の予報』。次のアルバムに収録される予定のミドルテンポの楽曲だ。

 

「SHISHAMOにとって、大切な曲です」

 

ギターボーカルの宮崎朝子は、そう言ってからアカペラで歌い始めた。

 

曇り夜空は雨の予報

曇り夜空は雨の予報

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 素晴らしい演奏だった。

 

ゆったりとした楽曲でメンバー以外の楽器の音も含まれた楽曲。ライブでも音源と同じようにオケを流して同期させて演奏していた。

 

しかしバンドの演奏は力強く芯が通っていた。

 

息を合わせるように、演奏していた。呼吸の音を聴いているような、吸い込まれるような気持ちになった。それは不思議な感覚だった。 

 

朝子が歌い終わり、演奏も止まる。

 

一瞬だけ無音になる。静まるフロア。

 

朝子がドラムの吉川の方を振り返り、首を縦に1回うなづくように動かす。ゆったりとした心地よい演奏が再開する。3人の奏でる音色に吸い込まれそうになる。

 

どれだけ楽器が上手いミュージシャンを集めても作り出せないような、SHISHAMOだから作り出せる空気感に思った。

 

「自分で言うことじゃないかもしれないけど、今SHISHAMOはすごく良いんです。我ながら今すごく良いバンドになっていると思います」

 

ドラムの吉川美冴貴はアンコールのMCでこのように話していた。その言葉に共感したし納得した。

 

朝子とベース松岡彩は吉川の発言に笑っていて「ちょっと、笑わないでよ!」と吉川に怒られていた。その関係性もバンドが良い方向に向かっている理由の一つだと思う。

 

朝子も「吉川が言った通り、すごくバンドが良い状態になっていると思います。自分でSHISHAMOのことが好きだなと思えると言うか。別に今まで嫌いだったわけではないけども(笑)」と話していた。

 

新曲は名曲だ。ライブでの演奏も素晴らしかった。この日のハイライトであり、この日で最も素晴らしい演奏だったと思う。

 

メンバーも手応えを感じている。ファンにもそれがしっかり伝わっている。

 

 

最後の曲を聴いてわかったこと

 

「今のSHISHAMOの凄さ」をより実感した曲がある。

 

恋する

恋する

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 『恋する』というの曲だ。デビューアルバムに収録された初期の楽曲。今でもライブで頻繁に演奏される定番曲。

 

ライブでも聴き慣れているはずなのに、この日の『恋する』には鳥肌が立った。

 

吉川のドラムから始まり、そこからベースとギターの音が重なり3人の音になった時、魔法がかかったように会場の雰囲気が明るくなった感じがした。

 

この3人だから生み出せる力強いグルーヴに思った。今まで観た中で最も力強い『恋する』の演奏に思った。

 

3人とも笑顔で演奏している。たぶんフロアもみんな笑顔になっている。

 

この空気感を作り出せるSHISHAMOは本人たちが言う通り、すごく良い状態なのだと思った。

 

過去の曲が進化している。バンドの成長により進化させている。頻頻に演奏される曲で、初期の曲だからこそ進化がわかりやすいのだ。

 

今のSHISHAMOは覚醒したかのように、凄みをましている。『恋する』の演奏を聴いて実感した。

 

 

SHISHAMOのこれから

 

SHISHAMOは8月9日に等々力陸上競技場で初のスタジアムワンマンライブを行う。バンドにとって過去最大キャパの会場だ。

 

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数万人規模のワンマンで全員を満足させることは簡単ではない。しかし今のSHISHAMOなら最高のライブをやってくれるのではと思う。

 

ライブハウスと同じようにスタジアムでもSHISHAMOにしか作れない空気感にしてくれると思う。

 

「SHISHAMOは今7年目?あれ8年目だっけ?まあそれはどうでもよくて...」

 

宮崎朝子はこのようなMCもしていた。バンドの記念日や区切りとしての記念年は今のSHISHAMOにとっては重要ではないのかもしれない。

 

そんなことを考えずに、純粋にライブや演奏を楽しんでいるように思う。音楽に純粋に向き合っているから、今が最高の状態なのだと思う。

 

まだまだSHISHAMOは進化している。次のツアーでは新しいアルバムの曲を中心としたライブになると思う。さらに進化した楽曲と演奏を聴かせてくれると思う。

 

そして夏の等々力陸上競技場でのライブは、スタジアムが似合うバンドとして、物凄いライブをやってくれるはずだ。

 

ちなみに本人は忘れているようですが、2020年はバンド結成10年目でデビュー8年目です......

 

 SHISHAMO ワンマンツアー2019-2020「シーズン3が終わっても君の隣にいたかった」@ 2020.1.25 Zepp Tokyo

■セットリスト

1.真夜中、リビング、電気を消して。 (新曲)
2.ひっちゃかめっちゃか (新曲)
3.ねぇ、
4.あなたと私の間柄
5.ハネノバシ
6.タオル
7.生きるガール
8.君の大事にしてるもの
9.あの娘の城
10.BYE BYE
11.またね
12.ほら、笑ってる
13.明日も
14.量産型彼氏
15.好き好き!
16.OH!
17.君の隣にいたいから
18.曇り夜空は雨の予報 (新曲)
EN1.私の夜明け
EN2.許してあげるから
EN3.恋する  

SHISHAMO ワンマンツアー2019-2020「シーズン3が終わっても君の隣にいたかった」@ 2020.1.26 Zepp Tokyo

1.真夜中、リビング、電気を消して。(新曲)
2.ひっちゃかめっちゃか (新曲)
3.ねぇ、
4.すれちがいのデート
5.ハネノバシ
6.タオル
7.生きるガール
8.君の大事にしてるもの
9.BYE BYE
10.終わり
11.またね
12.熱帯夜
13.明日も
14.魔法のように
15.君と夏フェス
16.恋する
17.君の隣にいたいから
18.曇り夜空は雨の予報 (新曲)

EN1.私の夜明け
EN2.許してあげるから
EN3.OH!

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