オトニッチ

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映画『キャッツ』を怖いもの見たさで観たらガチでヤバくて怖い思いをした......(感想・レビュー・ネタバレ)

悪評が多い映画

 

お化け屋敷は好きだろうか?

 

怖い体験を自ら進んでやりたがったり、嫌な経験をあえてやりたがる人もいる。きっと変態かドMなのだろう。

 

ちなみにだが、自分は変態でドMだ。怖い体験も率先して行う。おしっこ漏らしそうになりながら1人でお化け屋敷にも行く。

 

だから自分が映画『キャッツ』を観たことも必然なのだ。怖いものが観たかったのだ。

 

 

先日『キャッツ』のワールドプレミアが北米で行われ、メディアの反応がSNSに投稿された。

 

Twitterにおける実写版『キャッツ』への反応は「発狂」とでも言いたくなるようなもので、恐怖におののく映画評論家のなかには記憶喪失を訴える者もいる。

(引用:実写版『キャッツ』を一足先に観た北米メディアが恐怖におののき発狂する――「不浄なポルノ」、「ホラーであり、忍耐力テストでもある」)

 

映画『キャッツ』の評判が恐ろしいことになっていたのだ。どんなホラー映画でも映画評論家が記憶喪失になった話は聞いたことがない。これほど恐ろしい前評判は聞いたことがない。

 

繰り返すが自分は変態でドMだ。怖い体験も率先して行う。だから映画『キャッツ』を観た。予告映像を何度か観たので、有吉反省会の岩井志麻子が洗練されたようなキャッツのルックスにも慣れていた。

 

これでキャッツのルックスで吐き気を催すことはない。流石におののく映画評論家のように記憶喪失にはならないと思った。

 

思っていた。観るまでは。しかし鑑賞して30分ほどで、自分は失神した。

 

 

素晴らしい音楽が使われている映画

 

最初は「普通に良いじゃないか」と思った。

 

恐怖を感じない。むしろ序盤から感動していた。音楽が良いのだ。オープニングの『ジェリクルソングズ・フォー・ジェリクルキャッツ』の歌声は素晴らしかった。

 

ジェリクルソングズ・フォー・ジェリクルキャッツ

ジェリクルソングズ・フォー・ジェリクルキャッツ

  • キャスト (キャッツ)
  • サウンドトラック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この映画は作中のほぼ全てのセリフが歌で表現されているミュージカル映画。監督は『レ・ミゼラブル』でミュージカル映画の監督経験もあるトム・フーバー。テイラー・スイフトやジェイソン・デルーロなど普段は音楽活動をメインとしているシンガーも俳優として参加している。

 

それにロングランしている有名ミュージカル劇を原作として制作された映画。音楽が素晴らしいことは当然。音楽が好きな人は楽しめる作品かもしれない。

 

途中までは、そう思っていた。そう思っていたのに、自分は失神した。

 

素晴らしいオープニングの後は、グロテスクでホラーでカオスで奇妙で狂気を感じる映像が流れるのだ。

 

 雌猫が股を開いて股間を見せつけてきた

 

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この雌猫が床に寝転がって大股開きをして股間を見せつけてくる。大事なところは尻尾で上手く隠すように大股開きをする。猫の股間が映画館の大画面に映る。

 

歌いながら股間を見つめる他の猫たち。どうやら股間を見せつけている猫の紹介を歌いながらしているようだが、映像にインパクトがありすぎて全然内容が頭に入ってこない。

 

この大股びらきの雌猫はジェニエニドッツという名前で、ネズミに歌や楽器の演奏を教えてゴキブリにダンスを教えている猫のようだ。

 

お気づきだろうか。大事なことだからもう一度繰り返す。

 

ジェニエニドッツは、ネズミに音楽を教え、ゴキブリにダンスを教えている。

 

つまりこの映画には、ネズミとゴキブリも出てくる。『キャッツ』が人間と猫をミックスさせた化け物の見た目であることと同じように、ネズミとゴキブリも......。

  

雌猫が人間の顔をしたゴキブリを生きたまま食べた映像を観たショックで失神した

 

 ネズミが出てきたときは、まだ耐えられた。

 

猫よりも小さく人間の顔をしたネズミ。キャッツと同じように骨格も人間に近い。 キャッツと同じように化け物な見た目。

 

猫の化け物しかでてこない映画だと思っていた。だからネズミの化け物が出てきて一瞬意識が飛びそうになったが、なんとか耐えた。

 

そんなネズミに「これが終わったら食べてやる」とニヤリと笑いながら言う大股開きで股間を披露していた雌猫のジェニエニドッツ。怯えながらも演奏を続けるネズミたち。恐怖を植え付け言うことを聞かせているように見える。恐ろしい。まさかの発言に自分も震える。

 

そして、さらに、震える展開が待っていた。ゴキブリの化け物も出てきたからだ。それも大群で出てきた。

 

ゴキブリも人間の顔をしている。人面ゴキブリだ。骨格も人間と同じ。

 

それなのに色艶や触覚や羽の形は本物のゴキブリのようにリアル。演技力のある俳優を使っているのだろう。動きも本物のゴキブリのように見える。つまり気持ち悪い。

 

音楽へのこだわりだけでなく、効果音へのこだわりも感じる映画だ。ゴキブリの羽が広がる音や歩く音もリアル。あまりの気持ち悪さに吐き気を催す。

 

 

 

大量の人面ゴキブリがダンスを踊る。キレッキレのダンス。それに合わせて触覚や羽もリアルに揺れる。触覚や羽の揺れる音もリアル。バックに流れる音楽は素晴らしい。猫の歌も上手い。しかし画面には狂気的な映像が流れている。そのギャップに吐き気を催す。

 

狂気的な映像に、暴力的な表現も加わる。

 

猫がゴキブリを食べ始めたのだ。

 

キレッキレに踊っている人面ゴキブリの中から選別して、1匹食べる。また選別してもう1匹食べる。仲間が食べられていても気にせずに踊るゴキブリたち。大量の人面ゴキブリがケーキの上で踊る。 

 

悪寒がする。鳥肌が立つ。

 

途中で映画館を出て行く人が何人かいた。自分の前の席の人は人面ゴキブリが猫に食べられたタイミングで映画館を出て行った。

 

自分は、なんとか耐えた。でも、限界だった。

 

大量の人面ゴキブリが空を飛ぶ。「カサカサ」と羽から音を出しながら、ケーキの上から飛び立つ。

 

ホラーとも違う。サスペンスとも違う。今までに味わったことのない恐怖。観ていて脳みそがぶっ壊れそう。

 

人面ゴキブリが空を飛んだ映像を観た後の展開をほとんど覚えていない。衝撃のあまり、自分は失神した。

  

後半は、まあ観れる

 

それから猫たちが歌い続けていたような気はする。良い歌声だったと思う。しかし人面ゴキブリのショックが大きすぎて、ほとんど覚えていない。ずっと呆然としながら画面を観ていた。

 

ショックから立ち直ったのは後半だ。テイラー・スイフトの歌声が聴こえてきたからだ。テイラーに救われた。

 

ビューティフル・ゴースト

ビューティフル・ゴースト

  • テイラー・スウィフト
  • サウンドトラック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

自分はテイラー・スウィフトのファンだ。こんな気持ち悪い映画を観ようと思った理由の1つはテイラーが出演しているからだ。

 

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スクリーンで歌っているのは猫型の化け物だが、やはりテイラーの歌声は素晴らしい。彼女の歌声で目が覚めた。この後は失神せずに観ることができた。

 

そして思う。「後半は狂気的な表現は少ないのでは」と。

 

次々と猫がハイレベルな歌とダンスを披露している。その歌声には圧倒させられるし、ダンスは美しく惚れ惚れする。ゴキブリのせいで失神したので話の展開や内容はイマイチ理解しきれていないが、映画館の音響で最高の音楽を聴いていると思えば、十分に楽しむことができる。

 

気持ち悪かったのに、怖かったのに、狂気を感じたのに、悪寒がしたのに、吐き気を催したのに、気づけば感動している自分がいた。

 

メモリー

メモリー

  • ジェニファー・ハドソン
  • サウンドトラック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ジェニハー・ハドソンが演じる猫が名曲『メモリー』を歌った。その歌声に感動したのだ。

 

表現力豊かでものすごい声量の歌声。素晴らしかった。『メモリー』が流れる5分のために、残りの115分を我慢して観たと思えるほどに、素晴らしかった。

 

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 もちろん映像で歌っているのは猫の化け物だ。化け物が涙を流しながら、鼻水を垂らしながら名曲を高い歌唱力で熱唱している。

 

ゴキブリのせいで失神していたので、泣いている理由はわからない。絵面だけ観るとカオスだが、歌と相まって感動してしまった。

 

 もしかしたら良い映画なのではとも感じてくる。だが、それは勘違いだった。この後、さらなう恐怖が待ち受けていた。

 

いや、やっぱり、やばい

 

 『メモリー』を歌い上げたジェニハー・ハドソン。他の猫も感動している。泣いている猫もいる。どうやらこれがクライマックスらしい。「終わりよければ全て良し」の精神なのだろう。『メモリー』についてはめちゃくちゃ良かった。

 

長老猫と呼ばれるおばあさん猫がゆっくりと歩いてくる。

 

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「あなたが天井に昇るべきジェリクルキャッツよ」

 

このようなことを長老猫はジェニハー・ハドソンに伝える。ゴキブリのせいで失神していたので話のないようを掴めきれないが、ジェニハー・ハドソンが演じる猫が一番実力がある猫と認められたらしい。

 

ジェニハー・ハドソンが気球に乗せられる。そして空に飛ばされる。そのままはるか上空の彼方へ消えて行った。

 

あれ、これ、ジェニハー・ハドソン、地上に戻ってこれない?実質、殺されたのでは?

 

しかし他の猫たちは「はるか上空の彼方に消えてよかったね♪」的なテンションで笑顔で喜んでいる。なにこれ怖い。

 

そういえば「新しい命を授けられる猫」というセリフが劇中で何度かあった気がする。失神していたからよく覚えていないが。

 

つまり「ジェニハー・ハドソンは一番すごかったから一度死んで生まれ変わった方がいいよ。だから気球で天国まで届けてあげるね」的な新興宗教的な常人では理解できないような行事なのかもしれない。

 

だから実質殺されているようなものなのに、ジェニハー・ハドソンは笑顔で気球に乗って飛ばされたのだ。洗脳されているのだ。

 

 

 

唖然とした。唖然としていると、長老猫のカメラ目線の顔がドアップでスクリーンに映る。そして歌い始める。

 

「よくわかったでしょう♪猫と人間のあたなたちは似ている♪」

 

は?

 

自分はゴキブリを食べないし、気球で仲間を空へ飛ばして殺したりしない。猫も人間も様々な性格や考えの者がいると伝えたいのだろうが、突拍子すぎる。?

 

頭が混乱する。なにかヤバイものを観た感覚になった。なにかヤバイ思想を植え付けられている気分になる。

 

そのまま、エンドロールが流れる。悪寒がする。自分は何を観ていたのだろうか。

 

この映画は怖い。その理由は猫の見た目がグロテスクだからではない。人面ゴキブリの姿がリアルだからではない。常人では理解できない思想や思考が常識として通用している世界を見せられて、それは「お前ら人間も同じだ」と最終的に言われ、特殊な思想を植え付けられた気分になるからだ。

 

これはヤバイ映画だ。恐ろしい映画だ。色々な意味で今後語り継がれる伝説の映画になると思う。だからぜひ観てほしい。そしてこの記事に書いた感想に共感してほしい。

 

映画『キャッツ』を怖いもの見たさで観たらガチでヤバくて怖い思いをした。

 

↓でも音楽だけは最高です↓