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the pillowsが横浜アリーナで鳴らした『この世の果てまで』が名演だった理由〜LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA ライブレポート・感想・セットリスト 〜

君の夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ

 

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10月17日。横浜アリーナ。

 

この日観たthe pillowsのライブで自分は不思議な気持ちになった。初めての気持ち。そして音楽の不思議で最高な部分をより実感した。

 

自分は誰かのために歌うことなんてなかった。歌手でもないし歌も下手。ただ音楽が好きで聴いているだけのリスナー。

 

そんな自分が、初めて人のために歌った。不思議な気持ちになった。でも、最高の気分になった。

 

Funny Bunny

Funny Bunny

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

ダブルアンコールの最後に演奏された『Funny Bunny』。バンドの代表曲の1つでありファン以外も にも知名度の高い曲。

 

イントロがなった瞬間の歓声。割れんばかりの拍手。きっとこの曲を聴きたかった人がたくさん集まっている。この曲に救われた人がたくさん来ている。

 

最初のサビ。山中さわおはマイクから離れた。客席全体を見渡す。「歌ってくれ」と伝えているよう。それに応えるように横浜アリーナを埋め尽くしたバスターズが拳をあげて歌う。

 

君の夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ

風の強い日を選んで走って来た

 

ファンが何度も救われたであろう歌詞。この歌詞によって勇気をもらった人がたくさんいるであろう歌詞。

 

自分も不敵なメッセージ撒き散らすthe pillowsの音楽を受け取ってきた。

 

でも、この日の『Funny Bunny』は、the pillowsに自分がメッセージを送っている気持ちになった。

 

「俺たちの30周年を祝いに来てくれてありがとう」

 

普段は捻くれたことやふざけた事ばかり言っている山中さわお。「平日にこんな集まってどうした?無職なのか?」と冗談も言っていたけど、この日はファンに真っ直ぐ感謝の気持ちを伝えることも多かった。

 

この日のライブは楽しみに来ただけでなく、お祝いの気持ちも持って集まっていたバスターズ。

 

このフレーズをステージに立つメンバーを見ながら歌った時、今までたくさんのメッセージをくれたthe pillowsにお返しのメッセージを送っている気持ちになる。

 

この日の『Funny Bunny』のファンの合唱はものすごい大きさ。その声の大きさにはファンからの愛や想いが詰まっていた。

 

「ありがとう!」

 

マイクを通さずに山中さわおが叫んだ。捻くれたバンドマンの素直で真っ直ぐな感謝に思えた。

 

30年間ロックバンドを続けてきたんだ

 

the pillowsは売れることを目標にしていたわけでも、大きな会場でライブをやることを目標にしてきたわけでもない。本人も「横浜アリーナでやるようなバンドじゃないんだよ」とMCで話していた。

 

でもロックバンドを続けること、ロックンロールでメッセージを伝え続けること。それは目標の1つだったのではと思う。

 

「30年間ロックバンドを続けてきたんだ。受け取ってくれ」

 

最初のMCで話した言葉。the pillowsの音楽は万人に好まれる音楽ではないかもしれない。暗い歌詞も多いし捻くれている。たまに過激で暴力的なことも言う。ライブで指笛吹いたりメンバーを呼び捨てで呼ぶと怒る。

 

そんなthe pillowsでも好きなニンゲンドモが1万人以上が集まった。ストレンジャーばかり。

 

the pillowsにとっての夢の舞台が横浜アリーナというわけではない。良いことばかりではない30年間で、風の強い日を歩いてきた30年だとは思う。

 

それでもthe pillowsの歩んで来た道は間違っていないのだと『Funny Bunny』をみんなで歌った時、その答えをファンが伝えたように思った。そんな気分になった。

 

the pillowsがロックバンドを30年間続けて日本のロックしーんにおいて重要なバンドになれたことは、誰かのおかげじゃない。

 

馬鹿げたメッセージ撒き散らすから受け取ってくれよ

 

30年間の集大成だと語っていた。ファンへの感謝の言葉も語っていた。セットリストは30年間の各年代の代表曲や象徴する楽曲がメイン。

 

しかし、観ている側としては「集大成のライブ」とは感じなかった。今が旬のロックバンドにすら思える瑞々しい演奏。

 

アリーナでのライブなのに、ライブハウスに立つthe pillowsを観ている気分。

 

映像での派手な演出はあった。『サードアイ』ではメンバー3人の姿が映りエフェクトのかかった映像になる演出で楽曲の盛り上がりを支えていた。

 

サードアイ

サードアイ

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

『Please Mr. Lostman』では収録アルバムのジャケットをモチーフにした絵が映され「星が咲いていた」という歌詞のフレーズでは絵に描かれた夜空に星が浮かび上がった。

 

Please Mr.Lostman

Please Mr.Lostman

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

それでも鑑賞するようなライブではない。基本的にはバンドの演奏によるロックンロールの引力で成り立つライブ。映像での演出がない曲も多数あったが、演奏によっえ横浜アリーナをthe pillowsの世界にしていた。

 

感傷的なMCもない。30年を振り返り泣かせようとする演出もない。水を飲みながら「あれ?アクエリアスじゃない?」とMCで冗談を言ったりといつも通り。

 

これを30年間続けてきたのだ。

 

会場がどこであろうといつもと変わらない立ち振る舞いで最高の演奏をする。それがthe pillowsにとっての集大成であり、ファンが求めているロックバンドの姿かもしれない。

 

今夜もロックンロールの引力は万能で
道なき道を切り開いて行くんだ
馬鹿げたメッセージ撒き散らすから受け取ってくれよ
終わらない日々を過ごした
それが全て
About a rock'n'roll band

 

横浜アリーナでも歌われた『About A Rock’n’Roll Band』のサビの歌詞。

 

About A Rock'n'Roll Band

About A Rock'n'Roll Band

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

この歌詞のとおり、横浜アリーナでも馬鹿げたメッセージや不敵なメッセージを撒き散らしていた。それを受け取ってフロアはいつも通りに笑って騒いで「アウイエ!」と叫んでいた。

 

トリプルアンコールまであったライブ。

 

最後に演奏された曲は『Locomotion, more! more!』。頭を空っぽにして騒ぐようなロックンロールナンバー。

 

Locomotion, more! more!

Locomotion, more! more!

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

「100年後も変わらない新しいも古いもない世界。それがロックンロールだ!」

 

この曲を演奏する前のMCでの言葉。そして横浜アリーナでの最後のMCでもある。

 

これがthe pillowsというバンドで、ファンの盛り上がり方も含めての30年間続けてきたロックバンドの集大成なのだ。

 

「音楽業界のことは信用していないけど、君たちのことは信じたいよ」

 

『ハイブリッドレインボウ』を演奏した後のMC。

 

多くの音楽業界関係者が集まる場でこんなことを言ってしまうバンド。「信じてる」ではなく「信じたい」とファンのことすら信用しきっていない捻くれたバンド。

 

それなのに業界関係者からもファンからも愛されるバンド。その理由がわかるライブ。30年間ブレずにロックを続けた最高のロックバンドだ。

 

この世の果てまで

 

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素晴らしいライブだった。

 

the pillowsは最高の演奏を届けてくれた。全国から集まったバスターズも最高の盛り上がりでバンドを祝福していた。いや、外人の方々もいたので世界中から来ていたのかもしれない。

 

いつも通りの最高のライブを、いつもよりも多くのthe pillowsを愛する人たちと時間を共有できた忘れられない日になった。

 

しかし、会場に集まった人たちだけがthe pillowsのファンではない。ファンの中にも様々な事情で来ることができなかった人もたくさんいた思う。

 

the pillowsは横浜アリーナに来ることができなかったバスターズのことも想って演奏していたはずだ。それは間違いないと思う。

 

ライブの1曲目は『この世の果てまで』。それが、自分がそう思った理由。

 

この世の果てまで

この世の果てまで

  • the pillows
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

今 空に高く この声は突き抜けて
会えない夜も キミにうたうよ

 

この曲を1曲目に演奏し、このフレーズを歌った時、会場に集まった人だけでなく、来ることができなかった人たちに向けても歌っているように感じた。

 

いつも捻くれたことを歌ったり、孤独についてや暗いことについても歌っているバンドだけど、本当はとても優しいんだ。

 

the pillowsは今後レコーディングの予定もライブの予定も決まっていない。しばらくは活動ペースはゆったり目になるようだ。

 

それでも、the pillowsは歩みを止めるわけではない。まだまだロックンロールを鳴らしてくれるはずだし、新曲だって聴かせてくれるはず。ライブもまたやってくれる。

 

横浜アリーナに行くことが出来なかった人の街にもツアーで来てくれるはずだ。様々な事情で行けなかった人もまたライブを観る機会があるはず。

 

どんなに悲しくても生き延びてまたthe pillows会おう。

 

その時はきっと「久しぶりじゃないか」と言ってthe pillowsはロックンロールを鳴らしてくれるから。

 

セットリスト

1.この世の果てまで
2.MY FOOT
3.Blues Drive Monster
4.アナザーモーニング
5.スケアクロウ
6.バビロン 天使の詩
7.I know you
8.サリバンになりたい
9.LAST DINOSAUR
10.Please Mr. Lostman
11.No Surrender
12.Kim deal
13.ぼくは かけら
14.1989
15.ニンゲンドモ
16.雨上がりに見た幻
17.サード アイ
18.Advice
19.Swanky Street
20.About A Rock’n’Roll Band
21.LITTLE BUSTERS
22.Ready Steady Go! 

encore

23.ストレンジ カメレオン
24.ハイブリッド レインボウ

encore2

25.Ride on shooting star
26.Funny Bunny

encore3

27.Locomotion, more! more!

 

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