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【ライブレポ・感想】イエモンは普通のバンドだと確信した 〜THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL- 〜

もう伝説のバンドではない

 

「THE YELLOW MONKEYはもう解散しません」

 

MCでの吉井和哉の言葉。解散しないという言葉は再集結後のライブで度々ファンに伝えていた。インタビューでも語っていたと思う。

 

2019年7月6日と7月7日のツーデイズ。自分が行ったさいたまスーパーアリーナでのTHE YELLOW MONKEYのライブ。そこでも「解散しない」と宣言していた。

 

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信頼できる言葉だと思った。特にこの日の「解散しません」という言葉は説得力があった。

 

バンドで演奏すること。バンドでライブを行うこと。それらをメンバーは心の底から楽しんでいるように見えた。心の底からバンドを大切にしているように思えた。

 

一度は解散したバンド。しかし再結成して最高のコンディションでバンドを続けている。そんなバンドが新しいアルバムを制作しツアーを行っている。

 

今のバンドの姿を聴かせるアルバムと今のバンドの姿を見せるライブ。そんなバンドが「解散しない」と話している。だからこそ説得力の強さを感じた。

 

改めてイエモンは「普通のバンド」になったのだと実感した。ここでいう「普通」とは音楽性のことではない。立場の話だ。

 

「普通」という言葉が適しているかはわからない。それでも自分は現役で活動してくれることがバンドにとって「普通」のことだと思っている。好きなバンドにはずっと続けて欲しいから、それを「普通」だと思いたい。

 

再集結する前はリアルタイムでは追えなかった自分。イエモンの存在はもう観ることができない「伝説のバンド」だった。それがリアルタイムで観ることのできる「現役のバンド」になった。

 

ロックスター

 

とは言え、THE YELLOW MONKEYの存在は「普通」ではない。

 

自分が今まで観て来たバンドの中で最もスター性を感じる。ステージに登場しただけで空気を変えてしまうオーラがある。いや、出てくる前から空気を変えていた。この日のライブもそうだった。

 

開演時刻になり客席が暗くなる。その瞬間に聞こえる大歓声。女性の黄色い声援。男の野太い叫び。そして大きな拍手。全員がモンスターバンドの登場に期待している。すごい熱気。

 

オープニングの演出が終わり、THE YELLOW MONKEYの姿が見える。拍手と歓声がさらに大きくなる。歓声というよりも叫びに近い。ロックスターに興奮して叫んでいる。

 

1曲目が始まる。

 

バンドの音が聴こえると空気が変わる。演奏に惹き込まれる。

 

イエモンの魅力はスター性だけではない。最大の魅力は音楽だ。最高の演奏をする最強のロックバンドだ。音楽が素晴らしいからこそ、ロックスターとしてステージに立てるのだ。

 

昔売れていたバンドが懐メロを歌って客を集めているわけではない。過去のヒット曲に頼ってライブを行っているわけではない。昔の曲も新しい曲も同様に最高だ。めちゃくちゃカッコいいロックを鳴らしている。

 

バンドを続けることについて

 

1曲目と2曲目は再結成後にリリースしたアルバム『9999』の楽曲だった。

 

過去のヒット曲や人気曲ではない新しい曲。それでも会場は盛り上がっていた。吉井和哉がマイクを向ければ、客も歌った。

 

そもそも今回は新作『9999』のリリースツアー。最新アルバムの楽曲が中心のセットリスト。新曲を演奏する最新のイエローモンキーを観たくてライブに来ている客も多い。

 

新曲も過去の曲も同様に盛り上がっている。落ち着いた曲ではどの曲も同様に聴き入っている。

 

「最強で最新のザ・イエローモンキーを楽しんでください」

 

吉井和哉の言葉は自信に満ちていた。

 

最新作のアルバムも今回のライブも、その言葉通り最高で最新だ。最新のイエモンが演奏する過去の楽曲はCDよりも魅力的に聴こえた。最新の楽曲も最強のイエモンが演奏すればCDよりもずっとカッコよかった。

 

「バンドは生き物」と表現する人がいる。自分もそう思う。一度は止まってしまったバンドではあるが、再集結し息を吹き返した。生き物のように成長している。

 

自分が初めてイエモンのライブを観たのは2017年の東京ドーム。2019年のザ・イエローモンキーはその時よりも進化していた。演奏もよりまとまってるように思えた。パフォーマンスもより引き込まれた。新曲ではより表現力が高まっているように感じた。そしてファンは新曲を期待している。

 

続けることは簡単ではないと思う。終わったことを再び始めることはもっと大変だと思う。バンドを続けることは奇跡かもしれない。

 

ALRIGHT

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なによりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ

 

7月7日に演奏された『ALRIGHT』という楽曲。このフレーズを歌う前の曲間に「第二のザ・イエローモンキーの歴史を築いていきましょう」と吉井和哉は話した。

 

バンドが続くことは奇跡かもしれない。自分がこうしてイエモンのライブへ行けることも奇跡かもしれない。

 

しかし、この奇跡はきっと続いていくと確信している。最強で最新のイエモンの楽曲と演奏がある。「もう解散しない」と話してくれている。

 

自分は吉井和哉の言葉を信用する。奇跡が続くことを信じている。

 

普通のバンドになった理由

 

 「いつになるかわからないけど必ず10枚目のアルバムを出して、またツアーを周ります」

 

後半のMCでの言葉。嬉しかった。まだまだイエモンの新曲を聴ける。またライブでロックスターに会える。この言葉を信じようと思う。

 

自分がザ・イエローモンキーをきちんと聴き始めたのは活動休止してからだ。永遠に新曲は聴けないしライブも観ることができないと思っていた。

 

再結成が発表された時、現実と思えなかった。夢を見ている気分だった。新曲を聴いたときも、ライブを初めて観たときも。現実と思えないぐらいに自分にとって「伝説のバンド」であり続けていたから。

 

そんな気持ちがさいたまスーパーアリーナで2日間ライブを観たことで、全て変わった。

 

次のアルバムを出すという未来の話をしてくれた。MCではバンドの楽しさや想いをたくさん語っていた。またここでライブができるように頑張るとも話していた。

 

今のザ・イエローモンキーは伝説のバンドではない。活動していくことが「普通」と思えるような現役のバンドだ。きっとこれからも続いていく。

 

これからも新曲をたくさん作って欲しい。ライブもたくさんやって欲しい。継続した活動が普通に行われるバンドであって欲しい。

 

7月7日は特別な日

 

様々なインタビューでも話されていた。この日のライブでも話していた。

 

2013年7月7日。吉井和哉が「もう一度バンドをわたしとやってくれませんか?」とメールをメンバーに送ったことがきっかけで再集結が決まったという話。

 

7月7日はイエモンの第二の結成日とも言える。再集結によって七夕はバンドにとって喜ばしい特別な日になった。改めてバンドの再結成の経緯をMCで聞き、イエモンのライブを観ている時間は現実なのだと実感する。

 

7月6日のライブでは「今日は七夕前夜祭!」と嬉しそうに話していた。7月7日は「今日は第二の結成日!」と話して盛り上げていた。ファンにとっても特別な日に観るライブは特別な景色に見えた。

 

七夕当日。ザ・イエローモンキーの第二の結成日。『バラ色の日々』を演奏する前、吉井和哉は言葉を選びながらゆっくりと話を始めた。

 

バラ色の日々

バラ色の日々

  • THE YELLOW MONKEY
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  • provided courtesy of iTunes

 

2013年7月7日にロンドンハイドパークでザ・ローリング・ストーンズのライブを観て感動して、メンバーに「もう一度バンドをやってくれませんか?」とメールを送ったことが再集結のきっかけと、様々なインタビューで話して来ました。

 

だが、しかし、実はストーンズのライブが行われたのは7月13日でした。

 

吉井和哉の言うことは信用しないでください。

 

 は?

 

混乱した。この適当な感じこそが吉井和哉なのかもしれないが、ちょっと待てと。

 

「もう解散しません」という言葉を信用した矢先に「信用するな」と言ってくる吉井和哉。「もう解散しません」という言葉に説得力を感じた矢先に「信用するな」と言ってくる吉井和哉。

 

僕は何を思えばいいんだろう・・・・・・。僕はなんて言えばいいんだろう・・・・・・。

 

JAM

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