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藤原さくらのことでアミューズに聞きたいことがあるんだけど

かわいそう

 

藤原さくらをかわいそうに思う時がある。

 

音楽活動は順調だと思う。毎年新曲のリリースは行っているし、ライブツアーもホールクラスの規模で行なっている。クオリティの高い楽曲を作り、素晴らしいライブも行なっている。

 

しかし、世間に「勘違い」されている部分もあるように思う。それが、かわいそう。

 

藤原さくらの音楽を〝しっかり〟聴けばその才能や実力はわかると思う。しかし、しっかり聴く人はほんの一握りの人だけだ。テレビでなんとなく聴いただけではなかなか気づかれない。

 

藤原さくらはドラマ出演により知名度が急上昇した。無名のシンガーソングライターだった藤原さくらが月9のヒロインに抜擢された。「ラブソング」というドラマ。出演シーンは多いし、キスシーンまである。けしからん。

 

このドラマをきっかけにファンになった人もたくさんいると思う。その代わり、藤原さくらが「勘違い」されるきっかけにもなったのではと思う。

 

「藤原さくらの音楽やアーティスト性」について勘違いされているように思えてファンとしても悔しい。

 

ドラマのメリットとデメリット

 

ドラマでは藤原さくらの歌唱シーンもある。しかし、カバー曲や主演の福山雅治が作った楽曲。

 

500マイル (佐野さくら with 神代広平 Ver.)

500マイル (佐野さくら with 神代広平 Ver.)

  • 藤原さくら
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

歌われる楽曲はどれも良い曲だと思う。藤原さくらの声質とも合っており、彼女が歌うことで楽曲の魅力が引き立つ。

 

しかし、藤原さくらはシンガーソングライターだ。自身でも作詞作曲ができる。「ラブソング」で歌われた楽曲は素晴らしいが、彼女の作詞作曲した作品ではない。

 

ドラマで注目された後、次に出されたシングル曲はスピッツの「春の歌」のカバー。映画主題歌になったこともあり、多くの人に聴かれたと思う。

 

ドラマ出演後は藤原さくらの歌を多くの人が耳にする機会が増えた。しかし「藤原さくらの作詞作曲した楽曲」が聴かれる機会は少なかった。

 

そのためタレントのようなイメージや、人が作った楽曲を歌うアイドル的なイメージを持ってしまった人も多いかもしれない。

 

これらの活動は売れるためには必要だと思う。今の時代「良い音楽」をやっていれば自然と売れるなんてことは奇跡的なわけで、様々なことに挑戦する必要はある。ドラマでキスシーンをしたことも売れるためには必要だったのかもしれない・・・・・・。

 

しかし、藤原さくらはシンガーソングライター。彼女は歌声だけでなく、作る曲も歌詞も個性的で魅力的だ。それを広める必要があるのではと思う。

 

藤原さくらの音楽性

 

藤原さくらの作る曲は、一般的なJPOPとは少しだけ雰囲気が違う。

 

彼女がカントリーやブルースなどの音楽から影響を受けていたり、ポール・マッカートニーを敬愛しているからかもしれない。英語詞が多いし、曲や編曲もそのような雰囲気のものが多い。

 

「藤原さくらの音楽」は10代でインディーズだった頃から完成されていたように思う。

 


藤原さくら「Ellie」

 

18歳の頃に発売されたアルバムに収録されていた「Ellie」という楽曲。アコースティックなサウンドで、彼女のルーツを感じる洋楽的アプローチの楽曲。それなのに日本人にも馴染みやすい口ずさみたくなるメロディ。

 

日本で生まれ育ってYUIや阿部真央などの日本人アーティストの楽曲からも影響を受けている藤原さくら。そのためか洋楽的なアプローチでも外国かぶれな音ではなく、日本人が作ったことで感じる日本らしさも少し感じる。

 

日本語詞だとよりその独自性も感じる。例えば「かわいい」という曲。

 

「かわいい」

「かわいい」

  • 藤原さくら
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キャッチーなメロディだが演奏はJPOPで主流とされる演奏ではない。盛大なストリングスやサビで一気に盛り上げるような派手さもないし、音数も多い訳ではない。楽器ひとつひとつの音を大切にした演奏。

 

JPOPとしても受け入れられる楽曲でありつつ、藤原さくらの個性も詰まっていて、他のJPOPとは違う印象がある。

 

藤原さくらは自身の作った楽曲でも個性があり、多くの人を惹き付ける力があるのだ。

 

提供曲やカバー曲よりも彼女の作った楽曲で売り出すべきに思う。

 

アミューズは何をやっているんだと。きちんと藤原さくらの魅力を世間に知らしめる方法で売り出してくれよと。そう思っていた。アミューズに苦情のメールでも送ってやろうかと思っていた。

 

アミューズは藤原さくらを理解していた

 

しかし、全て自分の勘違いだった。アミューズは藤原さくらのことを理解していた。むしろ1番の理解者として活動を支えていると思えるほどに。わかっていなかったのは自分の方だ。ごめんなさい。

 

2018年、藤原さくらは「若女将は小学生」というテレビアニメ作品と、同名の映画の主題歌に楽曲提供を行った。子ども向けの映画だが大人でも楽しめる名作として評価されヒットしている映画だ。提供したのは「NEW DAY」と「また明日」の2曲。

 

また明日

また明日

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この2曲は藤原さくらの作詞作曲作品。それでいて藤原さくらの魅力が詰まった曲。ポップでもあるが、どことなく他のJPOPと違う音。インディーズ時代から変わらない方向性ながら今までの彼女の作品にはない新しさも感じる。

 

映画の主題歌ならばもっと盛大な編曲で壮大な曲にしても良かったかもしれない。映画を観る層に合わせた楽曲作りをしても良かったかもしれない。

 

しかし、出来上がった曲はいつも通りの藤原さくらの曲。

 

この2曲は「red」というミニアルバムに収録されている。ミニアルバムに収録されている楽曲は全て藤原さくらの作詞作曲だ。そして、昔から変わらない方向性の藤原さくらの魅力が詰まっていて、様々な挑戦もしてスキルも得た藤原さくらの新しい魅力も詰まっている。

 

そう言えばドラマ出演をしてから藤原さくらはより表現力が付いたようにも感じる。キスシーンはけしからんが。

 

ドラマをきっかけに他のアーティストが作った楽曲を歌った経験は学ぶことがあったと思う。表現の幅が広がったように感じる。

 

ドラマに出演したことも、カバー曲をシングルとして出したことも藤原さくらにとっては大切なことで、アーティストとしての成長には必要だったのかもしれない。これは事務所のアミューズも先のことを考えた上での売り出し方だったのかもしれない。

 

よく思い返すとメジャーに行ってからの作品も、殆どが藤原さくらの作詞作曲だ。楽曲制作やライブも本人の意志を尊重し生音生楽器にこだわっていたし、本人がやりたがった新しい取り組みもどんどん取り入れている。関わるプロデューサーやサポートミュージシャンも藤原さくらの意思を尊重しているように思う。

 

藤原さくらはデビュー前、デビュー後にマネージャーになるアミューズの社員に「さくらさんが大人になっても、おばあちゃんになっても音楽を続けていけるようにしたいですね」と言われたことに感銘を受け、アミューズに所属することを決めたらしい。

 

アミューズは藤原さくらをデビューさせるため、声をかけた時からブレずに「藤原さくらがずっと音楽を続けるため」のサポートや売り出し方をしているのだ。

 

この記事の冒頭で「藤原さくらをかわいそうに思う」と書いた。

 

しかし、全然かわいそうではなかった。実際は音楽活動を最大限サポートしているし意思も尊重している。むしろ恵まれているし、そのおかげでリスナーは藤原さくらの音楽を最大限楽しめる。

 

そして、藤原さくらの作詞作曲で本人の魅力がつまった楽曲が大ヒット映画に使われた。少しづつでも藤原さくらの本来の魅力が広まりはじめてるようにも思う。

 

アミューズの売り出し方は長い目で見たら間違っていなかったし、本人のことをきちんと考えているように感じる。ドラマのキスシーンはけしからんが。

 

アミューズに聞きたいことがあんだけど

 

藤原さくらは2019年に舞台への出演が決まった。劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』という作品にメインキャストの1人として出演する。ドラマ出演以来の女優としての活動だ。

 

本業はシンガーソングライターなので、舞台出演にファンからも賛否はある。長期間上演される舞台。舞台を行っている期間は音楽活動が止まってしまう不安もある。

 

しかし、ドラマ出演後に表現力が上がったことと同じように、舞台出演することで得るものもあるだろう。きっとそれも音楽に昇華し、さらに素晴らしい音楽を奏でてくれると思う。

 

自分はむしろ今後の藤原さくらの音楽がどのようになっていくのかが楽しみだ。きっと根っこの部分はブレずに、新しいこともとり入れ、素晴らしい音楽を作ってくれると信じている。

 

しかし、1つ不安なことがある。その事についてアミューズに聞きたいことがある。

 

それは藤原さくらのキスシーンの有無だ。舞台でもドラマの時のようにキスシーンをさせるつもりだろうか。

 

自分はミュージシャンやアーティストとして藤原さくらを支持している。だからそれが芸の肥やしになるなら、キスシーンも問題はないと思ってはいる。だが、一応聞いておきたい。

 

キスシーンはあるのでしょうか?

 

 

 

キスシーン、あるの?

 

 

 

どうなの?