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スピッツにカリスマ性を感じない

ロックなところが好き

 

スピッツはロックバンドだ。

 

こう言ってもファン以外は理解してくれない。ファンの中でもスピッツをロックだと思っていない人もいる。

 

ロビンソンやチェリーなどの代表曲は老若男女が知っている超有名曲で、今後も歌い継がれるであろう名曲。しかし、それらは世間のイメージする「ロックバンド」の曲ではない。

 

世間のイメージする「ロックバンド」と言えばテンポが速めだったり歪んだギターの音が鳴っていたりする。メンバーは激しくパフォーマンスし暴れ、客もそれに応えるように騒ぐ。そんなイメージだろうか。

 

スピッツはそのようなイメージには当てはまらない。メンバー自身がスピッツのことを「ロックバンド」だと発言することは少なくはないとしても世間のイメージは少し違う。

 

アップテンポの曲もあるがそれほど激しくパフォーマンスしない。暴れることもないし煽ることもない。※田村氏のみ落ち着きなく暴れる

 

それでも自分はスピッツをロックバンドだと思っている。ロックを貫いて30年以上活動していると思っている。

 

自分がスピッツの好きな部分と凄いと思っている理由の1つは30年以上ずっとロックバンドであり続けている部分だ。

 

ロックなのか......?

 

ロックな部分が好きではあるが、スピッツのどこがロックなのか説明することは難しい。自分ですら「ロックなのか?」と疑問に思ってしまう時もある。

 

現在スピッツはファンクラブ会員限定のライブツアーで全国を回っている。

 

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自分も東京の公演に行ってきた。演奏も歌も素晴らしかった。最高の2時間半だった。ファンクラブ向けのライブだけでなく、普段のツアーや音楽フェスのステージも同様で、いつもスピッツのライブは素晴らしい。

 

しかし、ライブを観てもロックだと感じない人も多いかもしれない。

 

演奏はかなり上手い。バンドとしての演奏のまとまりが凄いのだ。CDよりも音が太く、CDのイメージでライブに行くと迫力に圧倒されると思う。

 

アップテンポの曲はでは所謂世間が想像する「ロック」の音に感じるかもしれない。しかし、ミドルテンポやスローテンポの落ち着いた曲の方が多い。それはほかのロックバンドのように盛り上げるよりも聴かせるような曲か多い。

 

煽ったり盛り上げようとするMCは少ない。むしろ全くロックを感じないほのぼのとした内容のMCばかり。先日のライブでは「コーンフレークの上にソフトクリームが乗っていて横に豆がついたやつを食べたい」と熱く語っていた。1番長話していたMCがこれだ。

 

他にもロックバンドのライブとは思えない内容もあった。

 

写真撮影タイムとメンバーのサイン入りグッズのプレゼントコーナーなど。それも含めてファンである自分は楽しいライブだった。しかし、それはアイドルのライブだと思われても仕方がない。そこに一般的なロックのイメージを結びつける事は難しい。

 

それでも、自分はスピッツにロックを感じる。そのような部分も含めてロックバンドだと思う。

 

スピッツはかっこよくはない

 

スピッツはカッコいいバンドではないかもしれない。むしろカッコ悪いのかもしれない。

 

日本を代表する人気バンドではある。しかし、全てが上手く行った訳では無い。結果的に人気はあるが、本人達が最初に思い描いていた未来の姿とは全く違うかもしれない。

 

「コーンフレークの上にソフトクリームが乗っていて横に豆がついたやつを食べたい」というMCをした後、メンバーは「こんな話をふるロックバンドになりたかったわけじゃないのに(笑)」と自虐的に話して笑っていた。

 

スピッツは元々パンクロックに憧れ、パンクロックをやっていたバンド。それが活動を続けるうちに今の音楽性になった。

 

アマチュア時代にTHE BLUE HEARTSを聴いて打ちのめされて活動休止したこともある。草野マサムネはエレファントカシマシの宮本浩次のようなボーカリストになりたいと語ったこともある。

 

スピッツはそのような「ロックバンド」に憧れて目指していた。でも、なれなかった。もしかしたら憧れている姿になれなかった結果が、今のバンドの方向性や音楽性なのかもしれない。

 

そのような姿はロックバンドとしてダサいと思うかもしれない。しかし、自分は「目指したいた姿になれなかったスピッツ」がカッコいいと思うし、好きなのだ。

 

スピッツは新しいロックの形を開拓した

 

らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい
似たような犬が狼ぶって 鳴らし始めた音

ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう
無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道

 

上記は結成30周年の2017年に発表された『1987→』という楽曲の歌詞。

 

1987→

1987→

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スピッツは昔からずっと変わっていない。30年前から変わっていない。今でも「らしくない自分」になりたいと憧れているし、それになれない自分を自虐している。

 

スピッツはカッコつけない。嘘をつかない。駄目な部分もありのままで晒す。それをずっと貫いている。もしかしたらカッコつけたいのかもしれないが、そんなことをやらないしやれない。

 

自分はスピッツのことがカリスマにもロックスターにも見えない。それでも、スピッツはめちゃくちゃカッコいい。最高のバンドだと思う。

 

もがきながらも自分達のスタイルを貫いていることに、ロックの魂を感じる。そして、そんな姿におこがましくも自分を重ねてしまう。自分の事を理解してくれていたり、自分と同じような感情を持っているバンドに感じ親近感を持ってしまう。

 

憧れではなく親近感を感じるのにカッコいい。そう感じるロックバンドは、自分にとってスピッツが初めてだった。同じように感じているファンは他にもいるのではとも思う。

 

今は親近感を感じるようなロックバンドは沢山いる。むしろ若手バンドはそのようなハンドの方が多いかもしれない。しかし、スピッツ以前はそのようなハンドは珍しかったのではないだろうか。

 

もしかしたらその部分でスピッツは、新しいロックバンドの形を開拓したパイオニアかもしれない。

 

かっこよくない生き方を肯定してくれる

 

スピッツは歌詞もかっこつけてない。少し難解で複雑な歌詞が多いが、情けないような内容もカッコいいとは言えないような内容も歌ってくれる。

 

ファンからも人気が高く、自分も特に好きな曲に『スピカ』という曲がある。

 

スピカ

スピカ

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幸せは途切れながらも続くのです

 

上記は『スピカ』の歌詞のフレーズだ。スピッツは「幸せでいよう」「きっといい事がある」「辛いことがあっても前を向こう」などとありきたりな励ます言葉を言わない。

 

その代わり、幸せは終わらないということを独自の視点で歌詞にした。辛くて不幸だと思う時があっても、それは幸せが終わったわけではなく途切れているだけで続いていると表現している。

 

これは誰かにメッセージとして「幸せは続く」と伝えようとしたり「幸せは続くから前向きでいよう」と訴えかけてるわけでもない。幸せな瞬間もあったり、不幸な瞬間もあったりする人生を、優しく肯定しているような表現に思う。また、歌い演奏するスピッツが自身を自己肯定しているようにも思える。

 

他人が見ればきっと 笑いとばすような
よれよれの幸せを追いかけて

 

上記は「桃」という曲の歌詞のフレーズだ。こちらもファンに人気の曲。このフレーズは「スピカ」と同様に幸せについて歌っている歌詞のフレーズ。

 

桃

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こちらもリスナーに向けての幸せの形についてメッセージを伝えていると言うよりも、自分が夢見ていた幸せとは違う人生になっている人を肯定しているように感じる。また、「ヒーローを引き立てる雑魚キャラ」と自虐しているスピッツが自身のことを歌っているようにも受け取れる。

 

スピッツはカッコつけず、カッコつけることもできず、ありのままの姿でいる。どれだけ人気バンドになっても、ファンと同じ目線でいてくれているように思う。かっこつけたいのにそれができないから、ファンと同じ目線にしかなれないのかもしれないけもども。

 

そんなバンドは自分にとってはスピッツが初めてだった。そんなスピッツが大好きで、そんなところが凄いと思っている。

 

スピッツの1番凄くて好きなところ

 

しかし、自分が1番スピッツで凄いと思っている部分や、好きだと思っている部分は他にある。

 

それは、ファンそれぞれの思っている「スピッツの凄いところ」と「スピッツの好きなところ」がバラバラで統一感がないところだ。

 

スピッツのファン層は幅広い。年齢層は老若男女様々な人がいる。ファンにはJPOPが好きな人も、邦ロックが好きな人も、普段は洋楽ばかり聴く人もいる。それは他のバンドのファンではないぐらいの幅広さだ。

 

そして、ファンが言うスピッツの凄いと思う部分に統一感はない。人それぞれ全く違う意見を言う。好きな部分も人それぞれ全く違う。

 

それだけバンドに深い魅力があるということだ。聴けば聴くほど新しい魅力が見つかるし、ファン同士で交流することで、自分の気づいていなかった魅力や凄さを知ることもできる。

 

そんなバンドは他にはなかなか居ない。

 

自分はスピッツにカリスマ性は感じない。それでもスピッツが凄いと思うし大好きだと思う。簡単には伝えきれない程の深い魅力があることは凄すぎるのだ。