オトニッチ

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GRAPEVINEの魅力が説明できない

最高なんですよ

 

GRAPEVINEというバンドがいる。2017年でデビュー20周年を迎えたベテランバンド。日本のロックが好きな人なら名前はみんな知っているであろうバンド。

 

今でも定期的にアルバムはリリースしているし、全国ツアーも行っている。東京の数千人規模のライブなら当たり前にソールドアウトしている。

 

日本の音楽シーンの中でも一目置かれているバンドで、音楽シーンに影響も残しているバンドだとは思う。めちゃくちゃカッコいいバンドなんだ。

 

しかし、GRAPEVINEの魅力を説明しろと言われても難しい。大好きなバンドではあるのだけど、バインのことを知らない人に「どんなバンドなのか」を説明することができないのだ。

 

個性的で唯一無二の存在であるバンドなのに、上手く魅力を説明できない。バインのことを知らない学生など若い人たちに魅力を伝えたいのだが、かなり難しい。

 

この記事では無理矢理GRAPEVINEの魅力について説明しようと思う。上手く説明できる自信はないが、もしかしたら、バインを知らない人に魅力が少しでも伝わるかもしれないから。

 

でも、この記事を読んでもGRAPEVINEの魅力は1ミリも伝わらないかもしれない。

 

 

歌も演奏も上手い

 

GRAPEVINEは歌も演奏も上手い。演奏のテクニックがあることはもちろん、バンドとしてのグルーヴ感も素晴らしい。デビューしてから20年以上第一線で活動してきたからこそできる息の合った演奏。

 

CORE

CORE

  • GRAPEVINE
  • ロック
  • ¥250
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たとえば、COREという曲はGRAPEVINEの演奏力の高さがわかりやすい曲だ。安定したドラムと複雑に絡み合う2本ギター。印象的なベースライン。それらが1つになった時にGRAPEVINEにしかできない音楽になっている。

 

ミドルテンポの楽曲が多い印象のGRAPEVINEだが、アップテンポの曲もある。

 

アダバナ

アダバナ

  • GRAPEVINE
  • ロック
  • ¥200
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  • provided courtesy of iTunes

  

アダバナでは疾走感のある演奏が印象的だ。バインの得意とする音楽はミドルテンポのロックかもしれないが、アップテンポのロックでも聞けばすぐにGRAPEVINEだとわかる個性的な演奏だ。

 

ボーカルの田中和将の歌唱力も素晴らしい。声量もあるし、音も外さない。表現力もあり、それでいて声も個性的だ。

 

技術もあり個性もあるGRAPEVINE。その演奏と歌は他にはない魅力的なものだ。

 

 

楽曲が良い

 

GRAPEVINEは名曲だらけだ。デビューして20年以上、ずっと名曲を量産している。

 

棘に毒

棘に毒

  • GRAPEVINE
  • ロック
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GRAPEVINEの曲はメロディが美しいんだ。ミドルテンポの曲やバラードでも演奏はロック。これほど心地よいロックを鳴らすバンドがいるのだろうか。

 

ロックと言えば腕を上げてモッシュして暴れてというイメージもあるかもしれない。しかし、心に染み渡るようなロックもある。その1つがGRAPEVINEの音楽だと思う。

 

GRAPEVINEはメンバー全員が作曲を行う。そのためか、音楽性が幅広く、様々な系統のロックが聴ける。

 

MISOGI

MISOGI

  • GRAPEVINE
  • ロック
  • ¥250
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渋いロックンロールやブルースを感じるような曲もある。90年代あたりの洋楽ロック的なアプローチの曲もあるが、それも自分たちの音楽として昇華している。

 

基本的には「ロック」という枠組みの中で曲作りをしていると思うが、様々な音楽を吸収し、「GRAPEVINEの音楽」にしているのだ。

 

 

歌詞が良い

 

そして、歌詞が良い。歌詞はボーカルの田中和将が書いている。少しひねくれた表現の歌詞や、1つのフレーズで様々なとらえ方ができる、奥行のある歌詞を書く。

 

君が嫌いなのさ

君も僕が嫌い

それは奇遇だ

もしかして俺たちは

気が合うのかもしれないね

 

上記は「きみが嫌い」という曲の歌詞だ。皮肉を感じる歌詞で聴いていてニヤッとしてしまう表現。田中の書く歌詞の中ではわかりやすい歌詞ではあるが、それでも捻くれた個性を感じる。

 

嫌になるほどもっと側にいて

もう本当に嫌になるほど遠くの君へ

 

「遠くの君へ」という曲では「嫌」という言葉を肯定的な意味と否定的な意味の2つの使い方を行っている。表現のテクニックとしても高いレベルだと思う。

 

いつの間にか夜が終わってて

また次の日を書き込むのか

死にたいほどの静寂の世界で

ひっくり返す準備はできたかい

 

 そして、詩的な歌詞を書く。「Empty song」はそういった詩的な表現で溢れている。悲観的な表現もあるが、それでも希望を感じるような表現をする。そして、幾通りも意味を解釈できるような奥行のある歌詞も魅力的だ。

 

GRAPEVINEの歌詞はひねくれつつも表現力豊かで個性的な歌詞である。

 

 

ライブが良い

 

音源も素晴らしいのだが、GRAPEVINEの最も魅力的な部分はライブだと思う。

 



上の動画はラジオで生放送されたスタジオライブの映像だ。曲は「光について」。

 

CDと変わらないクオリティの高い演奏と歌声。いや、CDの音源よりも演奏も歌声も良い。

 

バインはライブでの音作りが上手いのだ。ライブでも全員の音が綺麗だし、音の粒も潰れない。演奏力の高いバンドだが、テクニックをアピールするような演奏もしない。客を煽って盛り上げようともしない。しかし、丁寧にに演奏し、自分たちの音楽をしっかり届ける。

 

 

活動から25年以上経ってもライブは進化している。上の動画は2017年の「KOL」のライブ映像だ。

 

曲はより個性的になり、演奏にもその個性が表れている。後半のジャムセッションは特にバインのライブでの演奏力の高さがわかるのではと思う。 

 

GRAPEVINEはライブでも高い演奏力と、若手には出せない余裕をもった立ち振る舞いで魅了する。他にはない唯一無二のライブを行うのだ。

 

こんな説明で伝わるわけがない

 

ここまでGRAPEVINEの魅力を書いてみた。ファンの方々なら納得できる部分があるのかとも思う。

 

しかし、これではバインの音楽が薄っぺらく感じてしまう説明だ。

 

・演奏も歌も上手い

・曲が良い

・歌詞が良い

・ライブが良い

 

並べてみると、めっちゃ薄っぺらい。

 

 上記で挙げた魅力は、他のバンドでも当てはまりそうな部分でもある。バインの魅力であることは間違いないと思うが、きちんと言葉で表せているかというと、自信はない。

 

他に上手くバインの魅力や凄さを表現する言葉があるとは思うのだが、全く見つからない。

 

しかし、魅力をうまく説明できないことがGRAPEVINEの魅力と凄さなのかもしれない。

 

大ヒット曲があるわけではないが、20年以上メジャーの第一線で活動しているロックバンド。日本のバンドシーンにおいて一目置かれている存在でもある。

 

ストレイテナーのホリエアツシやGLIM SPANKYやSuchmosのYONCEなど、影響を受けたことを公言している後輩のアーティストもいる。

 

J-POP的なキャッチーな音楽ではないGRAPEVINE。しかし、日本の音楽シーンで第一線で長年活動し続けているロックバンドだ。そんな個性的で他にはないポジションにいるバンドの魅力は、簡単に説明できないのかもしれない。

 

簡単に説明できないほど奥深い魅力を持ったバンドで、その奥深い音楽に魅了されて今でも多くのファンに支持されている。

 

つまり、GRAPEVINEの本当の魅力を知るには、CDを聴いたりライブに足を運ぶしかないのだ。

 

というわけで、GRAPEVINEをあまり知らない人は曲を聴いてください。フェスやイベントなどで機会があればライブも観てください。

 

きっと第一線で20年以上活動したロックバンドの凄みを感じるはずだから。