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ザ・フーパーズのヴァンパイアキスは何故グループのコンセプトを見事に表現できたのか

凄いライブだった

先日、すごいライブを観た。ザ・フーパーズというグループのライブ。どれだけ凄かったかはライブ観覧後の記事にも書いたのだが、パフォーマンスのクオリティがとてつもなく高かったのだ。

 

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そのクオリティの高さについて説明をすると、歌やダンスが上手いということはもちろんなのだがそれだけではない。グループのコンセプトである「イケメン女子」とは何かが観れば一発で理解できるようなライブで、独自の世界観があり、すぎゅにその世界観に引き込まれるようなライブだった。それはザ・フーパーズにしかできないような唯一無二のパフォーマンスだったのだ。

 

言葉だけ見ても「イケメン女子」とは何かは少しわかりづらいかもしれない。でも、ライブを観ると不思議とわかってしまうんだよ。個人的に新しさも感じたし衝撃でもあった。だから多くの人にライブを観てほしいと思った。

 

でも、それぞれの事情でライブを観ることは難しい人もたくさんいるだろう。そのような人にも楽曲は聴いてほしいなと思う。

 

では、どの曲をオススメしようかと考えてみたんだけども、今ちょうど新曲がリリースされたばかりなので、新曲の「ヴァンパイアキス」を聴いてもらいたい。この曲、良いんですよ。かっこいいんですよ。そして、ザ・フーパーズのコンセプトがわかりやすく紹介されているような楽曲なのだ。

 

ライブでのパフォーマンスと同様、楽曲でも「イケメン女子」のコンセプトが何かについてと、そのコンセプトの魅力についてわかってしまう。「コンセプトを伝える」という部分に関して、これほど作りこまれている楽曲はなかなかないかもしれない。

 

珍しいボーカル

ヴァンパイアキスのでのメンバーの歌声を聴いて感じることは、他の女性グループでも他の男性グループでも聴くことができないような歌声であることだ。

 

ヴァンパイアキス

ヴァンパイアキス

  • ザ・フーパーズ
  • J-Pop
  • ¥250
タイトルをクリックでダウンロード
  • provided courtesy of iTunes

  

「イケメン女子」と言っている通り、メンバーは女性だ。ボーイッシュな雰囲気があるため男性的な色気もあある。そういった中性的な魅力も「イケメン女子」というコンセプトの1つだとは思うが、それは歌声でも感じた。

 

この曲は女性の曲としてはそれほどキーが高いわけではない。しかし男性の曲だとするとキーが高い。キーの高さ絶妙な高さだ。そのため女性が歌う場合は低音域から中音域の歌声が重要になってくると思う。ザ・フーパーズはこの音域の歌声がとても良いのだ。

 

ヴァンパイアキスでも感じることだが、低音域や中音域でもよく声が響いている。最近の女性ボーカリストは低音域は囁くように歌うボーカリストが多いように感じる。それにも女性的な魅力があるのだが、ザ・フーパーズの場合はそれとは違う聴こえ方がする。

 

ヴァンパイアキスのAメロのキーは低い。男性でちょうどいいほどのキーの高さだ。それにも関わらず問題なく歌いこなしている。むしろかなり上手い。発声も女性的なかわいらしさよりも男性的なかっこよさを意識しているように思う。それによって初めて聴いた人は「男性が歌っている?女性が歌っている?」と疑問に思うかもしれない。

 

女性的な魅力も男性的な魅力も兼ね備えているのだ。この歌声は他のグループで聴くことができない個性であり強みに感じる。歌のスキルもあるので聴き入ってしまう。

 

この歌声の魅力はメンバーのソロ活動でも発揮している。メンバーの未来がコバソロとコラボレーションして歌った、UNISON SQUARE GARDENの『シュガーソングとビターステップ』のカバーでもその魅力が伝わる。

 



ソロ活動で他のアーティストのカバーでも、女性的な魅力も男性的な魅力も兼ね備えた個性的で中性的な歌声はそのままだ。そしてボーカリストとしてのスキルの高さも伝わるかと思う。 

 

「イケメン女子」になるための表現力

 もう1つ歌声の魅力として取り上げたいことがある。この曲はラップのパートがあったり台詞もあったりと目まぐるしく曲展開が変化する。これを歌いこなすだけでも難しいとは思うのだが、それでいて、それぞれのパートごとに表現方法を変えているように思う。

 

かっこよく歌う部分、美しく声を響かせる部分、色気たっぷりに歌う部分など、1曲の中で様々なな表現で歌っている。台詞のパートでもメンバーそれぞれのキャラクターが話し方から伝わるような話し方。それは世界観がきちんと作りこまれているからこそ、ファン以外にも伝わるのではと思う。

 

また、歌のスキルとしても高いものがあることがわかる。ビブラートも綺麗に響いていたりと、歌のテクニックもきちんと持っている。

 

しかし、テクニックだけが魅力のグループではないことは聴いてもらえばすぐにわかるはずだ。「イケメン女子」というコンセプトがあり、そのコンセプトから軸がぶれることがない。コンセプトをきちんと伝えるためには歌のスキルも必要だったし、上記のような表現も必要だったのだと思う。

 

ビジュアルやライブでのパフォーマンスだけでなく、声だけでもしっかりと「イケメン女子」のコンセプトを表現できている。

 

1月25日には早くもコバソロとメンバーの未来のコラボ第2弾がYouTubeで公開された。CHiCO with HoneyWorks 『世界は恋に落ちている』のカバー。こちらもヴォーカリストとしての魅力が伝わるような歌声だ。また、台詞パートは本当に同じ人物が言っているのかと思ってしまうほど違う表現をしていて、表現力の高さを感じる。

 

 

ボーカリストとしての表現力については、自身の曲を歌うときよりも他のアーティストのカバーをするときに顕著に表れるように思う。ザ・フーパーズの未来もカバー曲を歌うことで、表現力の高さや魅力や個性がよりわかりやすく伝わっているように思う。 カバー曲でも、やはり「イケメン女子」なのだ。

 

作りこまれたバックトラック

 ヴァンパイアキスの作詞作曲はDr.Dalmatianという音楽制作チームが行っている。関ジャニ∞の『ジャム』というアルバムの1曲目の『罪と夏』という楽曲を提供していた制作集団だが、関ジャニ∞でもその楽曲のクオリティの高さは発揮されていたように思う。

 

サビの思わず口ずさみたくなる印象的なメロディや三連符は両者で共通している部分もあり、爽やかな印象のある関ジャニ∞の罪と夏とクールな印象のヴァンパイアキスとでは違う系統ではあるが、罪と夏が好きな人はヴァンパイアキスも気に入るかもしれない。

 

曲のメロディも良いのだが、編曲も作りこまれている。印象的なフレーズが満載で曲のカッコよさを引き立てているストリングスの音や、幻想的な雰囲気を作っているピアノの旋律も美しい。しかし、この曲の根っこの部分はロックなのではと思う。

 

ベースラインからロックバンドのような音を感じるのだ。ライブハウスで爆音で鳴らされているようなゴリゴリのロックバンドのような音。特にサビでの動き回るベースラインがかっこいい。そして、音は小さめではあるが、歪んだエレキギターの音も印象的だ。特にアウトロで弾き倒すギターがカッコいい。

 

ロックは女性も演奏したり歌うことは珍しくはない。しかし、ポップなロックやさわやかなロックがやはり多いようには思う。ゴリゴリのロックからは男性的な部分を感じることが多いのではとい思う。ザ・フーパーズのヴァンパイアキスには根っこの部分にそういったロックを感じる。それも「イケメン女子」のコンセプトに説得力を持たせる理由の1つではと思う。

 

メンバーだけでなく関係者もザ・フーパーズの魅力や強みを理解しているからこそ、関わる人たち全員で、その世界観を構築しているのかもしれない。グループのコンセプトをライブでも音源でもしっかりと表現できて伝えられている理由は、それなのではと思う。

 

じわじわと売れてきている

ヴァンパイアキスはチャートの順位も好調だ。iTunesミュージックビデオランキングでも配信開始後4日間連続で1位になっていた。MVも世界観にこだわっていて、そのヴィジュアルにも注目や映像美も魅力的だ。そういった部分に興味を持ってダウンロードしている人も多いのかもしれない。YouTubeでショートバージョンではあるが、MVが公開されている。それでも「イケメン女子」とは何かについてや魅力についても伝わると思うが、やはりフルで観たくなるようなMVだ。

 



iTunesのチャートだけでなく、オリコンデイリーランキングも第3位になった。CDも売れているのだ。これはグループとしても魅力が今まで以上に多くの人に魅力が伝わり始めていることを表しているのかなと思う。そして、楽曲からも「イケメン女子」のザ・フーパーズの凄さを感じる人も増えているのかもしれない。

 

ちなみに自分は初回盤Bを聴いたのですが、カップリングの『Life is beautiful』という曲もメンバーの優しい歌声も聴けたりとヴァンパイアキスとは違う魅力もあるので聴いてほしい。

 

 

CDを聴いてもらいたいことはもちろんだが、やはりライブも観てはもらいたいなとは思う。音源と遜色がないどころか、それを超えるぐらいの生歌が聴けるのだ。しかも激しくダンスをしたりバク転などの激しいパフォーマンスをしながら。それはエンターテイメントとして完成されているし、誰が観ても楽しめるのではと思う。

 

そして、それだけ激しいパフォーマンスをしていても表情も声も乱れずにいる部分は、まさにイケメンだなと思います。

 

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