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【アルバムレビュー】嵐『untitled』ジャニオタじゃない男が書く感想とおすすめポイント

なんか嵐すごいかも

 

聴いたきっかけはTSUTAYAのCD視聴機に書いてあった嵐の新譜のPOPを読んだことがきっかけ。

 

『ラストは圧巻の『組曲』嵐の挑戦』

 

こんな感じのことが書いてあったんですよ。

 

それほど詳しくないですけど今のジャニーズで最も人気があるグループですよ(合ってるよね?)。調べてみると毎年必ずアルバムリリースをしているんですね。そして毎作品異なったコンセプトがあるのも面白い。今回は10分を超える『組曲』に挑戦するという。なんかよくわからないけども面白そうなので全部聴いてみました。

 

メンバーのかっこよさについて語ることは嵐ファンの方に任せて、自分は音楽の部分でこのアルバムの感想を全曲述べてみようなと思います。

 

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01. Green Light

作詞:AKIRA (PALM DRIVE)、 JUNE
作曲:Christofer Erixon(作曲) 、 Josef Melin(作曲)
編曲:石塚知生(編曲)

 

EDMよりですが低音はそれほどきつくないので聴きやすいです。EDMをよりJ-POPに近づけたような音。シンセサイザーの音が心地よいけどもずっとなっているわけではなくて、サビでもバックトラックに間があってそれが良い感じのノリを作っています。

 

作曲のChristofer ErixonとJosef Melinはスウェーデン在住の作曲家コンビらしいです。スウェーデンなど北欧の音楽と言えばビョークやカーディガンズやシガーロスなど独特な世界観を持っているアーティストが多い。この曲を作曲した2人もEDMながら低音が抑えめだったりするのは他の国のトレンドとは違う独自の文化や世界観があるからなのではとも思ったりする。編曲が違う人なのでJ-POPリスナー向けに編曲したのかもしれないけども。

 

02.つなぐ

作詞:paddy
作曲:Peter Nord 、 Kevin Borg
編曲:Peter Nord 、 佐々木博

 

この曲変態的ですよ(褒めてる)。まず民族音楽的な始まりのパーカッションのリズムかと思ったら歌が始まったら低音が心地よい普通のダンスミュージックになるんですよ。「なんだこれ?」という始まりから王道な感じのAメロBメロかと思ったらサビも変態なんです。

 

サビのストリングスの音が印象的だと思うですけど、これが途切れ途切れな部分があるんですよ。ぶつ切りにしたような感じだけど一つ一つのフレーズが印象的。編曲や曲の構成が面白いです。ジャズのテイストも含まれている感じ。あと、さり気なくサビでも民族音楽っぽいパーカッションが鳴ってたりと芸が細かい。

 

作曲は共作ですが、その片割れのKevin Borgはスウェーデン出身のシンガーソングライター。1曲目のGreen Lightもスウェーデン出身の作曲家の作品だが、スウェーデンには知名度がなくても才能のある作曲家がたくさんいるのかもしれない。 

 

  Kevin Borgは自身の曲ではR&Bを歌っているようです。

The Light You Leave On

The Light You Leave On

  • Kevin Borg
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

03.「未完」

作詞:JUNE 、 櫻井翔(ラップ詞)
作曲:Josef Melin
編曲:佐々木博史

 

こちらも作曲はスウェーデンのソングライターであるJosef Melinです。ジャニーズ事務所は子会社にスウェーデンの音楽事務所でもあるんですかね?

 

Josef MelinはSMOOTH REUNIONというユニットでアルバムを出しているのですがこれもなかなか良いです。心地よい楽曲。 楽器の構成もシンプルでジャンルはジャズになっていますが、ポップスとして幅広く愛されそうなキャッチーさ。

Video Band

Video Band

  • SMOOTH REUNION
  • ジャズ
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

 

 そして嵐の「未完」ですが編曲が佐々木博史なんですよ。この人はビートマニアやポップンミュージックなどゲーム音楽に携わることが多かった作曲家で、わけのわからない難しい曲や複雑な曲を作っていた人でクラシックやプログレッシブロックに造詣が深い人なんですね。 

Concertino In Blue

Concertino In Blue

  • 佐々木博史
  • サウンドトラック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲、目まぐるしく曲の展開が変わります。佐々木博史編曲ですが、プログレ的な曲展開というよりも複数の曲がくっついてメドレーになっているような感じです。プログレやというよりもEDMをやったヒャダインという感じです。

 

これ以上プログレ的なぶっとんだ曲構成にするとポップスとして成り立たなくなりそうなのかもしれないです。でも純粋に曲はかっこいい。それは楽曲が作りこまれているからだろうなと思います。

 

04.Sugar

作詞:HIKARI
作曲:iiiSAK 、 HIKARI
編曲:iiiSAK

 

 メロディがキャッチーですね。Bメロのバックトラックの打ち込みが好み。ボーカルのサビでの掛け合いも聴いていて楽しい。

 

アップテンポのダンスミュージックですがBメロで打ち込みのドラムがなくなるのがメリハリついて良いです。それにしてもBメロから何となくDaft Punkぽさを感じるのは自分だけだろうか。

 

ちなみにこちらの曲を作曲したiiiSAKもスウェーデンのミュージシャンです。このアルバムはJ-POPというよりもスウェディッシュポップ扱いした方がいいぐらいスウェーデン人が関わっています。 

 

05.Power of the Paradise

作詞:paddy
作曲:nobby
編曲:ha-j

 

なんとなくコールドプレイのようなイントロから始まる曲。でも歌い始めるとキャッチーなメロディのJ-POPになる不思議。

 

サビのストリングスが壮大さを出してます。ストリングスが主役なぐらい目立っている。でもAメロのピアノもシンプルだけど切ない。

 

06.ありのままで

作詞:Atsushi Shimada 、 MiNE
作曲:Christofer Erixon 、 Joakim Bjornberg、 Atsushi Shimada
編曲:Atsushi Shimada

 

クラップの音が入っているポップな曲。ここまでアップテンポのダンスミュージックが多かったけど中盤でこういうミドルテンポのポップスがくると中だるみしない。サビと大サビのホーンの音がいい味を出してる。

 

サビに「未完成な地図」という歌詞があったけど、アルバムのリードトラックのタイトルは「未完」でアルバムタイトルは「untitled(無題)」したよね。テーマの1つに未完成ということごあるのかな。

 

個人的に自分が抱いている嵐のイメージに一番近いポップな曲。

 

07. 風雲

作詞:IROCO-STAR
作曲:Erik Lidbom 、 Simon Janlov
編曲:metropolitan digital clique

 

ギターの音が印象的なロックチューン。王道な90年代ロックな演奏をするギター。ギターに耳が持って行かれがちどけど、この曲はベースラインの動き方がかっこいい。

 

2番のサビでのチョッパーで弾くベースの後の打ち込みの音からBメロに入るタイミングがたまらなくかっこいい。

 

08. I'll be there

作詞:Goro.T
作曲:Fredrik "Figge" Bostrom 、 佐原康太
編曲:佐原康太 、 metropolitan digital clique

 

クラシックを感じさせるピアノからビッグバンドになる。この曲は生楽器と打ち込みの組み合わせ方が面白い。この曲はホーンがスイングしててかっこいい。2番のAメロのフラメンコっぽいギターも良い。

 

今作はクラシックやビッグバンドなど生楽器が重要な音楽性に打ち込みを組み合わせダンスミュージックよりにした編曲が多いように感じる。

 

09. 抱擁

作詞:ORI 、 櫻井翔(ラップ詞)
作曲:Victor Sagfors、 Peter Boyes 、 Victor Sagfors
編曲:吉岡たく

 

リズムパターンが面白い。基本のリズムはドラムが打ち込みでされてるんどけも、リズムはベースが引っ張ってる感じ。ベースの刻むリズムに自然と耳がいく。ドラムもリズムを刻む楽器だけどベースもリズムを刻む楽器だと再確認できる曲。

 

あと櫻井翔のラップのバックでの演奏はギターリフがかっこいい。

 

10.Pray

作詞:IROCO-STAR 、 村松裕子
作曲:Erik Lidbom 、 wonder note
編曲:Erik Lidbom

 

ここで王道J-POPアレンジのバラードです。あまりにも教科書通りにツボを抑えた感動的な編曲をしたという感じ。

 

でもBメロからサビにすぐ入るかと思いきや入る前に一旦歌のブレイクがあってそこで違う展開になるかと思わせて耳が集中する。サビは王道な泣きメロなんだけど、ここのブレイクは聴かせたいサビを集中して聴いてもらう仕掛けかもしれない。

 

もちろん、こちらの曲もスウェーデンのミュージシャンの作品です(笑)

  

11.光

作詞:小林光明 、 櫻井翔(ラップ詞)
作曲:久保田真悟、 イワツボコーダイ、 佐々木久美
編曲:久保田真悟、 本間将人(ブラスアレンジ)

 

こちらはスウェーデン人ではなく日本人の作品です。 

 

他の収録曲と比べるとシンプルな演奏で音数も他の曲と比べると少ない。サビのギターのカッティングが心地よい。でもホーンが一番良いよね。印象的なフレーズが多い。あとコーラスも良い。無駄に歌わず必要なところだけ歌う。例えばサビでメインと違うメロディを歌う部分があったりと凝っている。

 

この編曲の楽曲でラップが入るとは思わなかったけど、違和感なくラップが溶け込んでいてプロの編曲の力を感じた。

 

12.彼方へ

作詞:RUCCA
作曲:TAKAROT、 iiiSAK
編曲:TAKAROT 、 河合英嗣

 

これも壮大な曲ですね。ピアノとストリングスが印象的。

 

あとドラムのリズムパターンも面白い。打ち込みだけかと思ったらAメロとは生の打楽器なのかな?クラシックの打楽器で使われそうなリズムを刻んでいる。

 

13.Song for you 

作詞:市川喜康
作曲:Simon Janlov、 wonder note 、Kevin Charge 、 Erik Lidbom、SHIROSE 、山下康介

 

映画のサントラのような壮大なオーケストラから始まる曲。かと思ったら歌い始めるとピアノの音だけになりだんだんと他の楽器が入ってくる。歌を聴かせたいのかなと思う編曲。あとリズムやBPMが変わるところも面白いしミュージカルの曲のようで楽しくなる。

 

この曲めちゃくちゃ凝ってる。曲の構成も編曲も使われる楽器も。様々なジャンルの音楽をごちゃまぜにしている。映画のように目まぐるしく曲展開が変わっていく。

 

でもメロディも歌詞もかなりキャッチー。こんなぶっ飛んだ構成と編曲なのに「Hey」とコールアンドレスポンスまで求めてる。この曲は凄いです。個人的にこのアルバムで1番凄いと思った。実験的でもあり変なこともしてるのにポップスとしてきちんと成立させている。6名の作曲家の共作だからこそ作ることができたジャンルレスで実験的なポップスなのかもしれない。

 

聴き終わってから気づいたけれど、この曲だけで収録時間が11分ほどでした。これが事前に初の試みと紹介されていた『組曲』でした。聴き終わってから気づくぐらいに聴いていて引き込まれる楽曲。ぶっちゃけこの1曲のためだけにアルバム買っても損はないかもしれないぐらい。

 

個人的に今年聴いた楽曲で5本の指に入るぐらい衝撃を受けて良いと思った曲。

 

関ジャニ∞やV6のアルバムとの違い

 

今年発売したジャニーズ関連のアルバムではV6と関ジャニ∞のアルバムを自分は聴いて別の記事でレビューもしたのですが、嵐の『untitled』とは明らかに違う部分があるんですよ。

 

>関連記事:【全曲レビュー】関ジャニ∞『ジャム』は音に凝っているアルバム。おすすめポイント紹介と感想 - オトニッチ-

関連記事:【アルバムレビュー】V6『The ONES』感想とおすすめポイント - オトニッチ-

  

それは、言い方に悪意があるかもしれないですがファン以外へコビを売っているかどうか。

 

嵐の今作の楽曲提供者は素晴らしい作曲家ばかりですが知名度があるわけではないです。それに対して関ジャニ∞やV6は音楽ファンや一般の人にも知られている作曲家が多く作品を提供している。

 

関ジャニ∞ならばBEGINや岡崎体育やレキシやユニコーンやいきものがかりの水野氏。V6ならば石野卓球や在日ファンクや秦基博やキリンジの堀込さんやレキシ。自分も今年の関ジャニ∞やV6の新譜を聴いたきっかけはそこにあるし、それがきっかけで聴いた人も少なくはないと思う。

 

 しかし嵐の『untitled』にはそういった作曲家は1人もいない。それにも理由があるんだろうなとは思う。

 

『untitled』はコンセプトがきっちりと決まっていて、そのコンセプトからぶれないようにするためを最も重要視したのではないだろうか。関ジャニ∞やV6に楽曲提供していた有名ミュージシャンが提供した場合、提供者の色が濃く出すぎてしまう。それがプラスに働くことは多いが、嵐の今作はコンセプトをぶれさせないために必要ではなかったのかもしれない。逆に関ジャニ∞やV6は良い作品を作るためには必要なことだったのかもしれない。

 

きっと、嵐に限らずジャニーズはただのアイドルではなく、楽曲や作品や音楽のことをとても大切にしこだわっているのだろう。

 

全体の感想

 
嵐と言えば日本でもトップレベルの人気のアイドルですよ。これはジャニーズに詳しくない人でも思っていることです。そんなグループが実験的な音楽をやるって凄いことだと思うんですよ。売上のためだったら売れ線の王道ポップスを詰め込んだアルバムを作ることが一番確実ですから。受け入れられなければファンが離れる可能性もありますからね。
 
でも、嵐は今作で挑戦している。実験的といっても音楽マニアがニヤニヤして聴くような作品ではなく、ポップスとしてきちんと成立している。これってかなり考えられて作られているんだろうなと思う。
 
そして『普通のアイドルソングやポップス』を歌ってきただけではなく、今作のような挑戦もしてきたから多くのファンを獲得し熱中させているのかもしれないとも感じた。普通のポップスやアイドルソングを求めるなら他にいくらでも代わりはいるけども、これだけ第一線で活動しているということは、代わりのいない存在になる活動をしてきたということなのかなと感じる。

 

その結果、他にはない実験的ながらポップスとして成立している面白いアルバムが完成したのではないだろうか。

 

まとめると、ファンしか聴かないアルバムにしておくのはもったいない作品ということです。アイドルに偏見がある人や興味がない人も聴いてほしいし、音楽好きにはぜひ聴いてもらいたいアルバムだなと思います。

 

というわけで、以上。嵐のメンバーには一切触れていない嵐のアルバムのレビューでした。 

 

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