オトニッチ

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【ライブレポ】2017.7.15 スパルタローカルズ 『復活のファンファーレ』@恵比寿ザガーデンホール

8年前の解散ライブについて

 

スパルタローカルズっていうバンドがいてね、めちゃくちゃカッコいいバンドだったんですよ。

曲も演奏もとても個性的で、盛り上がる曲もあればダウナーでクールな曲もあったり。

とても好きなバンドだった。

 

特に演奏が大好きでね。

ボーカルはもちろん、どの楽器もすごい主張するような印象的な演奏をするんだよ。

その主張した楽器の音がギリギリのバランスで合わさって曲になっている。

その演奏の張り詰めた感じがかっこよかった。

それなのにポップな感じもあって不思議なバンドだった。

 

2009年9月23日。
確か水曜日だったと思う。
スパルタローカルズが解散した日。
この日は渋谷AXという今は無くなってしまったライブハウスで解散ライブが行われた。

 

解散するバンドとは思えないぐらい多幸感に溢れたライブで楽しくて楽しくて最高だった。

ライブが終わってメンバーが捌けてからも解散したなんて信じられなかった。

 

でも、ライブが終わった後の客出しのBGMでトウキョーバレリーナというスパルタローカルズの代表曲がスピーカーから流れたのね。

それを会場のお客さんが一緒に歌ってすごいハッピーなライブだったなって余韻に浸っていた。

でも、そのBGMがおわったら、ステいぬの上から大きな白い布が落ちてきた。

それが楽器に綺麗に被さった。

 

その瞬間、「もうこのメンバーでこの楽器でこの編成で演奏することはないんだ」と実感した。

多幸感に溢れたライブだったけど、悲しさや切なさもあって、でも最後に観れて良かったと思えたし、この日を忘れることはないだろうなと思えるライブだった。

 

復活は予想外だった

 

それから8年経った2016年12月。

スパルタローカルズが復活した。

イベントでライブを行ったのだ。

活動再開は全く予想していなかった。

メンバーは別のバンドで活動していたり引退しているようなメンバーもいたからだ。

 

自分はこのライブには行けなかった。

でも評判では活動してた頃と変わらない熱いライブだったと聞いた。

 

活動再開は嬉しかった。

また観たいと思った。

でもそれからしばらくバンドの活動についてなんの音沙汰もなかった。

 

活動再開から8ヵ月。

念願のワンマンライブが開催された。

 

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会場について

 

会場は恵比寿ザガーデンホールという恵比寿ガーデンプレイスにある会場。

 

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ロックバンドのライブが行われることが不思議に思うようなお洒落な場所です。

 

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このダイナミックなポーズの銅像の目の前が会場です。

 

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普通のライブハウスと違って中もお洒落。

 

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フジファブリックから花が来ていました。

昔はよく対バンしてたバンドだったからね。

スパルタの解散ライブでフジファブリックの志村正彦が解散が許せないと怒っていた話は少しだけ有名。

 

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自分のチケットは整理番号77番と縁起の良い番号でかなり早めの番号でした。

ステージ前方のど真ん中の位置をゲットしました。

 

ステージは楽器や機材しか置いてなく、他にセットなどもなくシンプル。

フロアは座席なしのオールスタンディングで体育館のような床。

おそらく2000人ぐらいは入る会場だと思うけど後ろに段差があるわけではない。

でもステージは高めなので身長が小さくなければ後ろでもステージが見えないということはなさそう。

 

ライブが始まった

 

定刻を5分ほどすぎて客電が消えた。

まだメンバーが登場する前からお客さんが歓声をあげる。

 

ステージの薄暗い照明の中、メンバーが1人ずつゆっくりと出てくる。

物凄いお客さんの歓声だ。

スパルタローカルズのライブでここまで大きな歓声を聞いたのは初めてだ。

そりゃあそうだよね。

8年ぶりのワンマンだし、オリジナルメンバーだと11年ぶりだし。

 

そして、ドラムにスポットライトが当たる。

そこでまたお客さんの歓声。

ドラムの中山昭仁がマイクを通さずに「スパルタローカルズ、始めます!」と叫んだ。

それに応えるようにお客さんも叫ぶ。

 

そして、8年ぶりのワンマンライブが始まった。

 

序盤から飛ばしていく

 

1曲目は“青い夏”。

4枚目のアルバムの1曲目に入っていた曲だ。

メンバーが登場した時よりも大きな歓声が起こる。

 

そして次は“夢ステーション”。

前方の圧縮がきつくなってくる。

そして、みんなジャンプしサビは歌う。

その空間は昔のライブと同じで、まさしくスパルタローカルズのライブの空間だった。

 

黄金WAVEやUFOバンザイなどかつてライブの定番曲で必ず盛り上がっていた曲も序盤から連発。

モッシュも激しくなるし、みんな歌うし熱いフロア。

 

Ufo バンザイ

Ufo バンザイ

  • スパルタローカルズ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

  

中盤は聴かせる演奏も

 

夢ステーションのカップリング曲だった”sugar”マニアックな曲も演奏。

 ライブの定番曲やシングル曲を中心にやると思っていたから少し意外だった。

 

”サイレント”や”POGO"などミドルテンポの名曲も披露。

ミドルテンポの曲だとより演奏力の高さを感じる。

全員が個性的な演奏なのに上手いし(ドラムはブランクあるから別としても)聴かせる演奏をしてくれる。

 

サイレント

サイレント

  • スパルタローカルズ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

  

さっきまで飛んだり跳ねたり叫んだりしていたお客さんはみんな体を揺らして心地よさそうに聴いたり、真剣に聴き入っているようだった。

 

後半の盛り上がりが凄い

ここまでMCなしでぶっ続けで13曲を連続で演奏した。

再結成後初のワンマンライブなのにそのこととかもほぼ触れずにストイックな演奏でストイックなライブをしていた。

その姿は解散前のバンドの姿と同じで、ファンの盛り上がりもその時と同じだった。

再結成だからと特別なことやお祭り的なことはしない。

当たり前に活動をしてライブをしていたころと、同じような最高のライブを見せてくれている。

 

13曲終えてMCがあった。

MCと言ってもメンバー紹介だけ。

ボーカルの安部コウセイが自分のことを「俺がカリスマの安部コウセイです」とあいさつしたぐらいで特別面白いことも言わなかった(笑)

 

短いMCを終えてすぐに演奏を再開。

ドラムの音が響いて、すぐに”THECLUB”だと気づく。

これもかつてのスパルタローカルズのライブで定番だった曲。

演奏がとにかくかっこいいんですよ。

 

そしてラストスパートは代表曲と代表曲と盛り上がる曲を連発。

コウセイがギターを置いてハンドマイクになって、お客さんも次にやる曲が何かを察して盛り上がる。

”ばかやろう”。

サビではお客さんも全力で「ばかやろう!」と叫ぶ。

自分も叫んだ。

「ばかやろう」と叫んだのも8年ぶりだ。

 

そして代表曲の”ピース”と”トーキョウバレリーナ”を続けて演奏する。

特に”トーキョウバレリーナ”はカウントダウンTVのオープニングにも使われていたからファン以外の人も知っている人が多い代表曲。

自分もそれで知りました。

 

ピース(Remix)

ピース(Remix)

  • スパルタローカルズ
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

  

ここがこの日のライブのハイライトでしたね。

盛り上がりが凄かった。

意識が飛ぶぐらいに。

歓声も凄いしサビはみんなで歌うし。

 

自分も8年ぶりにトーキョウのバレリーナになって踊り狂いました。

 

盛り上がる鉄板曲を続けてお客さんも燃え尽きる寸前。

そして最後に演奏した曲は名曲”ハート”。

 

ハート

ハート

  • スパルタローカルズ
  • ロック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

 さっきまでとは違いミドルテンポの曲。

歌詞が染みる。

お客さんも息をのんで聴く。

さっきまで騒いでいたお客さんも静かに聴いている。

きっとみんな同じようにスパルタローカルズの演奏に、スパルタローカルズがステージに立っていることに感動しているのだと思う。

 

演奏を終え大きな拍手の中メンバーが楽器を置いてステージを去っていった。

 

アンコール

 

メンバーがステージから去ってすぐにアンコールの拍手が起こった。

これほどすぐにアンコールの拍手が起こったライブは久々かもしれない。

おきまりのアンコールではなく、みんな心からまだ観たいという気持ちがこもっているかのようなアンコールの拍手。

 

メンバーがすぐに出てきた。

アンコール1曲目は”ギャップ”

 シングル”POGO”のカップリングだったマイナー曲。

アンコールでやるとは思わなかった。

この曲演奏がめちゃくちゃかっこいい。

 

1曲演奏をしてMC。

「俺たちも年を取ったけど、みんなも年取ったね。30台とかもいるんでしょ?頑張ってジャンプしてたね(笑)」とコウセイが話し会場に温かい笑いが起こる。

「まだいけるぞ」「まだ足りないぞ」という野太い男性のヤジもある。

とても良い雰囲気。

「再結成して良かったです!」とコウセイが叫ぶと会場が大きな歓声と拍手が起こった。

それが鳴りやむ前にギターを鳴らし歌い始める。

 

最後の曲は”ロックとハニー”。

 

ロックとハニー

ロックとハニー

  • スパルタローカルズ
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 曲の歌いだしでまた歓声が起こる。

コウセイの弾き語りから始まる曲。

その部分ではお客さんがいっしょに歌うお約束のフレーズもある。

 

”今日空にレインボウ浮かんだよ”

 

お客さんの大合唱。

その合唱が終わったタイミングでバンドの音が入ってくる。

それに応えるようにお客さんもこぶしをあげて飛び跳ねる。

 

”永遠はロックンロールと君だけさ”

 

この歌詞のフレーズが染みる。

 

この1曲を終えて最後の挨拶をしてメンバーはステージを去っていった。

時間にして2時間ないぐらい。

1時間40分ぐらいの少し短めのライブ。

それでも不満を持つ人はほどんどいないんじゃないかと思えるようなライブだった。

 

アンコール終了後、客電がついてもダブルアンコールの拍手が止まらなかった。

結局「本日の公演は終了しました」とアナウンスがあったのでダブルアンコールはなかった。

でも、ダブルアンコールがないとわかったらみんなまた拍手をして「ありがとう」「最高だった」と叫ぶお客さんもいて、良い雰囲気の会場だった。

 

バンドが再結成することについて

 

再結成するバンドは少なくはない。

例えばユニコーンやイエモンなどの大物人気バンドも再結成して現在も活動している。

 

しかし今回のスパルタローカルズの再結成はユニコーンやイエモンの再結成とは少し違う。

上記の2組は全盛期と同じように新曲を出したりツアーを回ったりしている。

同窓会的な再結成というよりも、まだまだ現役のバンドとして第一線で活動していくような再始動に近い再結成だ。

昔からのファンのためだけでなく、新規ファン獲得のための活動もして確実にファン層も拡大している。

 

スパルタローカルズの場合は新曲も出していないしツアーも行っていない。

2016年の12月に再結成をして、7月が2回目のライブで再結成後最初のライブだ。

7月22日に主催イベントがあるが、その後はいつ活動するのかわからない。

上記2組と違い、同窓会的な再結成かもしれない。

昔のファンのための活動で新しいファンを獲得するための活動はしていない。

もしかしたら昔のファンも再結成を知らないぐらいにひっそりと再結成しているようにも感じる。

 

でも、どちらが良い悪いではなく、ファンにとっては再結成はやはりうれしい。

本音を言えばもっと活動してほしいけども、それぞれ別のバンドや他での生活がメインの活動だ。

だからスパルタローカルズがそれほど活動的でないことは仕方がないのかもしれない。

でも、たまにでもライブやできれば新曲とか今後も聴ければ最高だなと思う。