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【全曲レビュー・視聴】Cornelius『Mellow Waves』の感想とおすすめポイントは?

これはすごいアルバムです

 

前作のSensuousから11年ぶりですって。

オリジナルアルバムのリリースが。

 

自分がコーネリアスの存在を知ったのが前作のアルバム。

当時まだ高校生だった自分には衝撃的な音楽でしたよ。

全然聴いたことのない音がなっているし、MVを観てもミュージックビデオを観ているというよりも芸術作品を観ているようだった。

 

実際にライブも観に行った。

そのライブは今まで自分が他のアーティストで観てきたものと全く違うライブで、想像の遥か上を行くライブだった。

素晴らしかった。

 

それから11年。

長かった。

 

でも、アルバムを聴いて思った。

これだけの作品を作り上げるにはそれだけの年月が必要なのかもしれないと。

まぎれもなくCorneliusの音だけど新しさも感じる。

再生した瞬間に曲の世界へどっぷりつかれる。

 

正直、たいして音楽の教養もない一般人の自分が語るよりもまずはアルバムを聴いてくれとも思う。

でもね、個人的に今年のベストアルバムなんだ。

ちょっと語りたいので、全曲の感想を書いてみる。

 

 01.あなたがいるなら

 

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ドラムのリズムから始まる曲。

そしてキーボードの音、シンセサイザー、ボーカルと音が重なっていく。

不思議なメロディなのに切ないメロディ。

前作から11年ぶりだが、前作の流れをくんでの曲に感じる。

 

でも、前作のどの曲よりもメロウ。

確実に心地よいタイミングで心地よい音をくれる。

特にギターが入ってくるタイミングは最高。

歌のメロディに変化はほとんどないのに、演奏は細かく変化していて面白い。

 

今作も前作と同様、ヘッドフォンで聴いてほしい。

 

 02.いつか/どこか

 

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こちらも1曲目と近い雰囲気を感じる曲。

歌のメロディの演奏への乗せ方は1曲目に近い。

曲の構成も1曲目に近い。

アルバムの1曲目と2曲目でこのアルバムの方向性を示したかのような曲順。

 

アコースティックギターの音が心地よく、後半に入ってくる歪んだギターの音がかっこいい。

曲の終わり方もかっこよくて初聴では鳥肌が立った。

 

03.未来の人へ

 

未来の人へ

未来の人へ

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ドラムが個人的に好きな曲。良い

ギターのアルペジオが同じフレーズをルートしてるようで途中少し変わる部分は気持ちい。

この曲も1曲目と2曲目の流れをくんでいるような落ち着いた曲。

 

今回のアルバムは全体的に落ち着いた曲が多いですね。

あと音の数が前作よりも全体的に少なくなっている。

それはより一つ一つの音が洗練されているともいえると思う。

 

04.Surfing on Mind Wave pt 2

 

Surfing on Mind Wave pt 2

Surfing on Mind Wave pt 2

  • Cornelius
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曲の始まりから引き込まれる長めのシンセサイザーの音。

聴いていて緊張感を感じるという不思議な感覚。

 

そこから少しずつ音が重なっていき、緊張感は心地よさに変っていく。

 

05.夢の中で

 

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今回のアルバムの中で最もポップな曲かもしれない。

ポップといってもポップスというわけではなく、まったく音楽に詳しくない人でも聴きやすそうな曲という感じ。

 

サビの歌詞の乗せ方が口ずさみたくなるようなメロディへの乗せ方。

コーネリアスの曲でそのようなことを感じたことは初めてかもしれない。

 

でもアルバムに入っていても浮いているわけではなく、とても馴染んでいる。

メロウな曲が多い中、中盤にこの曲があると良いアクセントになっている。

 

06.Helix/Spiral

 

Helix / Spiral

Helix / Spiral

  • Cornelius
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エフェクトのかかったボーカルが印象的な曲。

種瀬サイザーの音も面白い。

 

次から次へと予想のつかない音の展開で聴いていて全く飽きない。

 

4曲目までと5曲目の夢の中で以降ではアルバムの楽曲の雰囲気も少し変化しているように感じる。 

 

07.Mellow Yellow Feel

 

Mellow Yellow Feel

Mellow Yellow Feel

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音の隙間が多くて、それが気持ちいい。

途中のクラップの音が気持ちいい。

気持ちよさの塊のような曲。

 

リズム楽器やリズムをとっている音が次から次へと入れ替わるのも面白い曲展開。

 

08.The Spell of a Vanishing Loveliness

 

The Spell of a Vanishing Loveliness

The Spell of a Vanishing Loveliness

  • Cornelius
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電子音が心地よい。

Lushのミキ・ベレーニが歌詞を提供してデュエットをしている楽曲。

2人ともボーカルには軽くエフェクトがかかっているが、そのエフェクトもちょうどよくて心地よい。

 

09.The Rain Song

 

The Rain Song

The Rain Song

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アコギの音と変拍子が気持ちいい。

右から左から中心からと様々な位置からボーカルが聞こえて面白い。

ヘッドフォンで聴いてもらいたい曲。

 

少しだけ不協和音が入ってるのも良い。

曲の後半に雨粒のような音も入っていて面白い。

 

10.Crépuscule

 

Crépuscule

Crépuscule

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これもアコギが、心地よい。

ギターで奏でられるメロディが切ない。

不協和音と、変拍子が良いアクセントになっていて耳からはならない。

インストゥルメンタルの曲だが、アルバムの最後に良い感じに余韻を残してくれる。

 

全体の感想

 

前作のSensuousをさらに発展させたようなアルバムかなと感じる。

前作よりもよりメロウで切ない曲が増えた印象。

全10曲でコンパクトな作品だけど、それでも満足感の高い完成度。

 

ただ新しいことにチャレンジしているかというと、それほど新しい試みをしているわけではないように思う。

そういった新しい発見や新しい挑戦に期待していた人にとっては肩透かしになってしまったかもしれない。

 

しかし、前作までの方向性をさらに洗練させ形にしたと考えると、かなり素晴らしいアルバムではと感じる。

個人的には2017年に発売された日本のミュージシャンによるアルバムではベストアルバムだ。

ぜひ聴いてほしい。