オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

ライブで「1つになろう!」と言いがちなアーティストに対して思うこと

株式会社オカモト

 

『アミューズフェス』というアミューズのアーティストが中心となって出演する音楽フェスへ行ってきた。

 

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個人的には普段はあまり聴かないアーティストや初めて観るアーティストも多く、新鮮な気持ちで楽しめた。しかし、このフェス、楽しいだけではなかった。

 

いやらしい気持ちになるフェスだった。真昼間なのに。自分の想像力と妄想力のせいで。

 

避妊具で有名な株式会社オカモトがスポンサーとして出店していたことや、ポルノグラフィティという卑猥な名前の出演者がいた事も理由ではある。

 

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ちなみにオカモトら技術の進歩により、自社製品を0.01ミリまで薄くした。ゴムもiPhoneも薄さへのこだわりが凄い。

 

たった0.05ミリ
合成ゴムの隔たりを
その日 君は嫌がった
僕は それに応じる

 

上記はミスチルの「隔たり」の歌詞だ。13年前のリリース当時はオカモトも0.05ミリだったのだろう。あれ、当時でも0.03ミリはあったっけ?

 

どちらにしろ、現代では0.05ミリの隔たりを嫌がられたらそれに応じて0.01ミリ買ってくるぞ。

 

隔たり

隔たり

  • Mr.Children
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

開演前からいやらしい気持ちだったのだが、ライブが始まるといやらしい気持ちはさらに強くなる。

 

どの出演者も「みんな!1つになろう!」と煽る。いやらしい気持ちになっている客にそんなことを言う。

 

1つになろう!と叫ぶアーティスト

 

「1つになろう!」という煽りはどの出演者も客に何かしら同じ行動をさせたい時に言っていた。

 

客に腕を上げて欲しい時、ジャンプして欲しい時、手拍子して欲しい時、一緒に歌って欲しい時、などなど。

 

たしかにこれは盛り上がる。腕を上げたりジャンプすることでテンションも上がる。

 

しかし、自分は天邪鬼だ。こちらも心の準備が出来てなければノリに遅れる時もあるし、アーティスト側と違うテンションで楽しんでいる時に「1つになろう!」と言われると動揺する。

 

例えばFLOWは1曲目から代表曲の「GO!!!」を演奏し「みんな!1つになろう!」と煽った。出会って4秒で1つになる。ぶっ放せ Like a 弾丸ライナーを身を持って表現していた。

 

しかし、自分はもう少し焦らされる方が好きだ。FLOWを観るのは初めて。初対面なので動揺してしまった。照れながら「バーーン/////」て叫んだ。

 

ポルノグラフィティも「1つになろう!」と煽っていた。長年第一線で活躍している人気も実力もあるグループ。経験値もありテクニックもしっかりある。流石だ。

 

ポルノを観てると生は良いよなと思う。そんな演奏。気づけばポルノに夢中になり興奮する自分がいる。聴き惚れてこっちは恋するウサギちゃん状態。

 

「1つになろう!」と煽られた後に「一緒に歌おう!」と煽ってくる。しかし、その歌、ニワカな自分は知らない曲。「なぜ知らない歌を歌わされるとこんなにも苦しいのでしょう?」と思いながら頑張って無理矢理歌った。

 

楽しかったが、この日は渚へと誘うナンバーを届けてくれなかった。残念。

 

藤原さくらは1つにならないのか?

 

このフェスで唯一「1つになろう!」と言わなかったアーティストがいる。

 

藤原さくらだ。藤原さくらとなら1つになりたかったのに

 

これは藤原さくらがアコースティック編成だったこともあるのだろう。「1つになろう!」は客を煽る時に使われることが多い発言。アコースティックでじっくり聴かせる藤原さくらには必要のない発言かもしれない。

 

しかし、藤原さくらもお客さんと1つになっていたと思う。自分は藤原さくらと1つになった/////

 

いっしょにジャンプしたり歌ったりはしなかった。しかし、藤原さくらの歌声や奏でるギターの音を心地よく聴いていた。他のお客さんも同じように心地よく聴いていたと思う。藤原さくら自身も心地よく歌い演奏していたと思う。

 

その時の会場は「自然と音楽に身を任せて楽しむ」という一体感があった。

 

他の出演者のように「みんなで一緒に楽しむ」という一体感とは種類が違うかもしれないが「1つになった」ことに違いはない。

 

どうやら、自分は1日でかなりの人数と1つになってしまったらしい/////

 

行動で表すかどうか

 

音楽を聴くことで人は1つになれるかもしれない。同じ環境で同じ音楽を聴くことで、同じ感情を共有できると思う。

 

このフェスに出演していたアーティストは実力も知名度もあるアーティストが多い。「1つになろう!」と煽らなくても、お客さんもライブを楽しみ1つの気持ちになっていたと思う。

 

では、なぜ「1つになろう!」と煽るのか。

 

それは同じ行動をすることで安心したいのだと思う。アーティスト側もお客さん側も。

 

それぞれが自由に楽しんでいても、気持ちは行動で表現しなければ他人には伝わらない。せめて「ライブ」という環境では、その気持ちを全員で体で表現して気持ちよくなろう/////という意味がこめられているのではと思う。

 

仲が良いカップルが「ねえねえ/////わたしのこと好き/////?」「なんだよ急に/////...好きだよ/////」と確認しあうようなものだ。反吐が出る。少し女々しいがそれも大切なことかもしれない。つまり「1つになろう/////」を言いまくってたFLOWは女々しい。

 

藤原さくらは淡白なのか男前なのか。

 

隔たりを感じる

 

しかし、ライブが下手だったり、楽曲のクオリティが低かったり、パフォーマンスに魂がこもっていなければ、アーティストとお客さんが1つになることはできない。お互いの気持ちに隔たりがあるような気がして、音楽でコミュニケーションができないのだ。

 

特にパフォーマンスに気持ちを込めなければ、隔たりはどんどん分厚くなる。

 

アミューズフェスの出演者は、どの出演者も気持ちを込めたパフォーマンスを行っていたと思う。自分の好みではないアーティストや殆ど知らないアーティストもいた。しかし、気持ちの込められた歌や演奏を聴くことができ、十分楽しむことができた。

 

オカモトが自社製品を0.05ミリから0.01ミリまで薄くしたように、ライブを観ているお客さんとの心の隔たりを薄くしたり、なくしたりできるアーティストは一流だと思うし、尊敬できる。

 

そういったアーティストが評価され、人を感動させ、音楽でリスナーを気持ちよくさせるのだと思う/////

 

 まとめると「アミューズフェスではアーティストもお客さんも表現は違えどみんなと1つになれて良かった/////」ということです。