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ELLEGARDENは音楽でみんなを1つにしちゃうんだよね〜エルレ復活の感想〜

 メロコアはあまり好きではなかった

 

昔の自分は「メロコア」と呼ばれる音楽が嫌いだった。大嫌いだった。

 

雑で騒がしい演奏で下手くそなバンドばかりだと思っていた。(完全なる偏見)ファンもバンドメンバーもウェイウェイしてる軽いヤツらばかりだと思っていた。(完全なる偏見)

 

しかし、10数年前の自分の学生時代「メロコア」と呼ばれるジャンルは流行っていた。嫌でもラジオからは聴こえてくるし、どんなバンドが流行ってるかはクラスメイトとの会話でも出てくる。

 

その中でも最も周囲の人が聴いていたのはELLEGARDENだった。

 

自分は椎名林檎やくるりやフジファブリックが好きだった。ひねくれつつも音作りが繊細だった音楽。そのためストレートな歌と演奏のELLEGARDENをはじめとするメロコアは、自分の趣味とは真逆で、聴いたいる人もチャラい人が多いと思っていた。(完全なる偏見)

 

ところが、自分と音楽の趣味が合うと思っていた友人もエルレを聴いていた。椎名林檎のファンクラブ会員の友人も聴いていた。そして、エルレを勧められるわけだ。

 

CDをしぶしぶ聴いてみる。一瞬でかっこいいと感じた。まんまとエルレの音楽にハマった。

 

今思えば、ELLEGARDENは普段メロコアどころかロックを聴かない人も巻き込んでいたと思う。テレビにも殆ど出ないしSNSもなかった時代なのに。

 

それにはきっと理由もあるのだと思う。

 

音と演奏の違い

 

自分がELLEGARDENを聴いた時、他のメロコアバンドとは違うように聴こえた。

 

音が綺麗で聴きやすいのだ。

 

それぞれの楽器の音はきちんと聴き取れる。演奏も歌も丁寧に行っているように感じた。それは自分がメロコアに感じていた「雑で荒々しい」というものとは全く違うものだ。

 

演奏は難しいことをしているわけではない。それでも印象的な演奏だ。その演奏はELLEGARDENにしかできない、唯一無二のものだ。

 

ドラムは基本的にシンプルだけど、キメるところはしっかりとキメる。個性的なリズムパターンも叩く。

 

ギターは特に印象的なフレーズが多い。まるで歌のメロディのように口ずさみたくなるギターを弾く。

 

ベースは演奏が乱れず安定していて、演奏をささえている。余談だがときめき宣伝部の辻野かなみ(17歳)と元LADYBABYの黒宮れい(17歳)にガチ恋しているドルオタでもある高田メンバー。ベーシストは若い女子が好きなのだろうか?

 

その演奏はヒットチャートにいるロックバンドの音作りと通ずるものはある。しかし、ストリングスやピアノなどの音はない。キャッチーでありつつも、やはりメロコアと言える演奏。ヒットチャートにいるバンドとも少し違う音作りだ。

 

その演奏は個性的で4人の個性が合わさるとエルレにしかできない唯一無二の演奏になる。

 

それが新鮮でメロコアやロックに興味がなかった人にも響いたのではとも思う。「ロックを聴かない人にロックを聴いてもらうきっかけ」を作っていたのではと思う。

 

ELLEGARDENにしかないメロディと歌詞

 

「ロックを聴かない人にロックを聴いてもらうきっかけ」になった理由しては、歌のメロディと歌詞も大きく影響しているのではと思う。

 

歌のメロディがキャッチーで覚えやすい。音程が上下に動くメロディが多く、意識せずともメロディを覚えてしまう。

 

キャッチーでメロディアスで切なさを感じるメロディは、良い意味でJPOPに通ずる「日本人にしか作れないメロディ」にも感じる。

 

エルレの歌詞は英語の歌詞も多い。そんなメロディに英語の歌詞が乗ると、海外のバンドにも他の日本のバンドにも出せない「ELLEGARDENの音楽」になった。

 

もちろん、日本語の歌詞もある。エルレの歌詞の特徴の1つは、「かっこつけてはいないこと」だと思う。

 

こんな顔を見せるのは
ほんとは好きじゃないけど
僕だっていつも ピエロみたいに
笑えるわけじゃないから 

 

雨の日には濡れて 晴れた日には乾いて
寒い日には震えてるのは当たり前だろ
次の日には忘れて 風の日には飛ぼうとしてみる
そんなもんさ

 

上記は「風の日」という楽曲の1番の歌詞だ。代表曲の1つでもある楽曲。

 

歌詞は全くかっこつけていない。自分自身が完璧な人間ではないことを歌っている。「頑張れ」などのJPOPの定番な前向きなメッセージもない。「風の日には飛ぼうとしている そんなもんさ」とありのままを受け入れている歌詞。

 

泣いたことのない君は
とても弱い人だから
誰かに見られて
優しくされると
崩れそうになるけど でも

 

雨の日には濡れて 晴れた日には乾いて
寒い日には震えてるのが当たり前だろ
次の日には忘れて 風の日には飛ぼうとしてみる
そんなもんさ 僕らはほら

 

2番の歌詞は曲を聴いているリスナーに語りかけるような歌詞だ。それでいてサビの最後に「僕らはほら」と1番のサビにはなかったフレーズを加えてある。

 

1番では自身の弱さをさらけ出し、2番ではリスナーに語りかけ、それに「僕らは」と付け加え共感しているのだ。聴いた人は自分のために歌ってくれているように感じる。

 

自分の弱さを自覚してもそれを受け入れる歌詞。前向きなメッセージというよりもリスナーのありのままを受け入れるようなメッセージ。その歌詞は紛れもなく「ロックバンドの歌詞」でありつつも、ロックを聴かない人にも届く歌詞だ。

 

エルレはメロコアの入門に適したバンド?

 

このように、ELLEGARDENはロックを聴くきっかけを作るバンドだったと思う。メロコアに興味なかった人にもメロコアを聴くきっかけを作っていたと思う。語弊があるかもしれないが「ロックやメロコアの入門バンド」の役割もあったと思う。

 

音楽に詳しくない人も、熱心に音楽を聴くリスナーも巻き込んでいたと思う。

 

冒頭にも書いた通り、自分はメロコアが嫌いだった。しかし、ELLEGARDENは好きになってしまったのだ。

 

エルレをきっかけに他のメロコアバンドも聴くようになった。そして、メロコアに抱いていた「チャラくて下手くそなバンド」という偏見はなくなった。

 

例えば10-FEETはよく聴くと演奏が凝っている。レゲエのリズムも取り入れていたりと。そして熱苦しい。もちろん、良い意味で。10-FEETの演奏や歌は心に突き刺さるんだ。

 

BEAT CRUSADERSはキーボードがいることもあり、演奏も他のメロコアとは違う音の響きになる。シンセの音がビークルの歌のメロディと合わさると、よりキャッチーになり切なさも感じるメロディになる。

 

他にも様々なメロコアバンドの音楽に触れた。面白いことをやっているバンドもカッコいいバンドもたくさんいるのだと気づいた。エルレが様々な音楽と出会わせてくれた。

 

でも、他のメロコアバンドを聴いても、エルレはずっと聴き続けた。そのようなリスナーは自分だけではないと思う。「ロックの入門バンド」だったかもしれないが、奥が深いバンドで、めちゃくちゃカッコいいバンドなんだ。

 

エルレはそれだけ魅力的なバンドで、シーンを代表するバンドだった。だから2008年の活動休止は音楽シーンに置いてかなり重大なニュースだった。

 

そして、それ以上に2018年に10年ぶりに活動再開することは重大なニュースなのだ。

 

エルレは音楽で人は1つになれると教えてくれた

 

ELLEGARDENの活動再開のニュースは、かつてエルレを聴いていた人全員を驚かせた。そして、全員をワクワクさせた。

 

自分の周囲では10年前のエルレは、ロックファンだけでなくEXILEを聴いていた人もコブクロを聴いていた人も熱中させていた。

 

そんな趣味もバラバラで今では違う人生を歩んでいる人達が、活動再開のニュースで同じように喜んでいる。

 

エルレをリアルタイムで知らなかった若い世代も喜びは同じかもしれない。伝説のバンドがまた観れることに喜んでいる。

 

エルレにみんなワクワクしている。エルレへの想いはみんな一緒だ。

 

思い返すと、昔からエルレはみんなをワクワクさせていた。何度かライブも観たことがあるが、毎回必ずみんな真剣にステージを観ていたし、笑顔になっていた。クラスの中心にいるような人も、少しはみ出してる人も。

 

キャラも性格も違う人達がみんなエルレのライブでは1つになって楽しんでいた。エルレのメンバーもきっと楽しんでいたし、笑顔も見せていた。

 

音楽でみんなが1つになっていた。これほど全員が1つになったライブはエルレで体験したものが初めてだった気がする。

 

ELLEGARDENは活動再開後、全国3箇所でライブを行う。10年振りに、みんなが1つになる。いや、もう活動再開が発表された時点で1つになっている。みんなワクワクが止まらないでしょ?

 

きっと音楽で人は1つになれるんだ。

 

この記事を最後まで読んでくれたエルレにワクワクしているみなさん、どこかのライブ会場で一緒に1つになりましょう!

 

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