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でんぱ組.incの新曲『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』が凄い曲だから聴いてくれ【感想・レビュー】

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とにかく聴いてくれ

 

でんぱ組の新曲が素晴らしい。『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』というタイトルの新曲。この曲は新境地を開拓したと思う。それはでんぱ組にとっての新境地でもあり、アイドルソングとしての新境地でもあると思う。J-POPとしても今までになかったタイプの曲かもしれない。

 

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作曲と編曲はPE'Zや東京事変のメンバーでもあったH ZETT M。演奏も彼が中心となって結成した3人組バンドであるH ZETTRIO。作詞は漫画家の浅野いにお。豪華であり異色ともいえる制作陣。

 

今までのでんぱ組を知っている人にとっても、でんぱ組を知らない人にとっても新鮮に感じる曲ではないだろうか。それは過去のでんぱ組の楽曲のどれにも当てはまらないタイプの楽曲であり、J-POPとして聴いても珍しいタイプの楽曲だからだと思う。

 

新メンバー加入後初のシングル曲にも関わらず、攻めた楽曲を作ってきたなという感じ。

 

 アイドルソングとしては画期的

 

『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』には一般的なアイドルソングとしてはありえない作りになっている。一般的なアイドルソングは楽器や打ち込みの音を多く重ねているが、でんぱ組の新曲はそれに比べるとかなり音数が少ない。

 

例えばAKB48の楽曲も多くの音が重ねられていることが殆どだ。「ヘビーローテーション」はギターも複数の音が重ねられているし、シンセサイザーも多用されている。ちなみにヘビーローテーションのギターはThe Birthdayの藤井謙二が弾いているというトリビア。

 

ヘビーローテーション

ヘビーローテーション

  • AKB48
  • J-Pop
  • ¥250
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  • provided courtesy of iTunes

 

飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を拡大しているBiSHも重ねられている音が多い。バンドサウンドが魅力的なBiSHだが、ギターの音は複数本重ねられているしドラムも手数が多い。音の隙間が殆どない曲が多い。代表曲の「オーケストラ」もその傾向があり、さらにストリングスも加えられているので多くの楽器の音が重ねられている。

 

オーケストラ

オーケストラ

  • BiSH
  • ロック
  • ¥250
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  • provided courtesy of iTunes

 

でんぱ組も例外ではない。「でんでんぱっしょん」や「でんぱれーどJAPAN」などの代表曲はもちろん、多くの楽曲で楽器の音に加え、打ち込みの電子音を多用し様々な音が重ねられている。そのごちゃごちゃした感じがでんぱ組の個性でもあり強みでもある。

 

でんぱれーどJAPAN

でんぱれーどJAPAN

  • でんぱ組.inc
  • J-Pop
  • ¥250
タイトルをクリックでダウンロード
  • provided courtesy of iTunes

 

 『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』はH ZETTRIOの演奏なので楽器は3つしか使われていない。でんぱ組が今までの強みを捨てたかのようなバックトラックなのだ。

 

新境地で引き立つでんぱ組の魅力

 

H ZETTRIOの演奏で歌う楽曲はでんぱ組にとって新境地と言えるだろう。しかし、それでも聴けばすぐに「でんぱ組の曲だ」とわかる作りにもなっている。バックトラックの音数が少なくなったことで、でんぱ組の「歌の魅力」がさらに伝わりやすくなったように思う。

 

でんぱ組の楽曲はサビのキーが高い。それに対してサビ以外はメンバーの歌いやすいキーに合わせているように思う。歌のメロディはAメロでもBメロでもサビでも目まぐるしく展開が変化していく。BPMも速めだ。 これらのでんぱ組の特徴は『おやすみポラリス~』にも当てはまっている。これらの理由によりバックトラックは過去の作品と全く違う作りになっていても「でんぱ組っぽい曲」とリスナーも感じるのだと思う。

 

そしてメンバーの歌唱が楽曲を引き立て、楽曲がメンバーの歌唱を引き立てているようにも思う。でんぱ組は歌割が絶妙なのだ。歌のメロディが複雑で目まぐるしく展開するでんぱ組の楽曲は1人で歌うことが難しい曲が多い。複数のボーカリストが掛け合いのように歌うことで成立するのだ。

 

『おやすみポラリス~』も同様だ。Bメロやサビの後半ではより歌割りの絶妙さを感じるのではと思う。1人で歌うと息継ぎが難しい部分も掛け合いのようにメンバーが入れ替わり歌うことで支えあって成立させている。そして声質が違うメンバーが入れ替わりながら歌うことで聴いていても飽きない。

 

でんぱ組には様々な作曲家が楽曲を提供している。しかし、これらのでんぱ組の歌の特徴はどの作曲家の作品でも変わらない。楽曲提供者も関わるスタッフもそれが特徴であり強みであることを理解したうえで作品作りをしているのかもしれない。歌自体の魅力や軸はずっとぶれていないのだ。

 

 H ZETTRIOにとっても新境地

 

今作はでんぱ組だけでなく、楽曲提供したH ZETT Mにとっても新境地ではと思う。H ZETT Mが楽曲提供をすることは初めてではない。過去にも歌手やアイドルにも提供している。プロデュースもしたことがある。しかし、 H ZETTRIOとして他者の作品に演奏で参加したことはほとんどない。

 

新しい学校のリーダーズというグループの楽曲提供やプロデュースを務めているが、でんぱ組の楽曲に参加したときとは違う方向性の作品になっている。

 

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H ZETT Mは現在、新しい学校のリーダーズはプロデュースまで行っている。そのため、歌詞はグループのコンセプトを考えつつ作られているが、曲はH ZETT Mの色が強く出ている。でんぱ組の場合はでんぱ組の個性や魅力を活かすような作曲・編曲・演奏になっている。 H ZETTRIOとしても今まで行っていなかったタイプの挑戦をしているのだと思う。

 

『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』はでんぱ組.incとしてリリースされたシングル曲だが、 H ZETTRIOとのコラボレーションと言った方が正しいのかもしれない。

 

H ZETTRIOの魅力も詰まっている

 

『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』は歌だけでなく、演奏も聴きごたえがあるのだ。特にピアノはH ZETT Mの個性が爆発している。H ZETT Mの魅力を伝えるためにあるかのような間奏。最後のアウトロの演奏には圧倒される。ピアノだけでなくドラムもサビの後半で手数が多くなる部分がカッコいい。ベースもAメロのベースラインが個性的。

 

H ZETTRIOはボーカルのいないインストゥルメンタルバンドだ。今作もーカルがいなくても成立するような演奏にはなっている。『おやすみポラリス~』はでんぱ組の魅力だけでなく、H ZETTRIOの魅力もいっぱいつまっている。個性と個性が上手く調和しているのだ。そのため、でんぱ組のファンだけでなく、H ZETTRIOのファンも満足するような楽曲になっていると思う。

 

騙されたと思って聴いてくれ

 

 アイドルに有名バンドや実力派バンドが楽曲提供しバックで演奏することは今までもなかったわけではない。例えば私立恵比寿中学の場合はフジファブリックが「お願いジーザス」をTOTALFAT「HOT UP」を演奏をしている。それらの楽曲も提供者と提供先のお互いの魅力を引き立てていた。

 

しかし、それらはアルバムの収録曲やカップリング曲だった。そのためファン以外にはあまり話題にはなっていなかったかもしれない。そして今回でんぱ組.incがH ZETTRIOの演奏でシングル曲をリリースした。新メンバー加入後最初のシングル曲という話題性もあり大事なタイミング。ファン以外にも話題になるかもしれない。

 

今はアイドルが音楽フェスに出演したりバンドと対バンしたりする機会が増えてきている。それによって音楽シーンも面白くなっている部分があるのではと思う。でんぱ組がシングル曲として『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』をリリースしたことで、さらにその垣根がなくなるかもしれない。他にも今回のでんぱ組のように人気バンドが演奏に参加するアイドルソングが他のグループでも発表されることも考えられる。

 

そして、でんぱ組.inc自体の活動もより幅広くなり面白いことになるかもしれない。大袈裟かもしれないが、日本の音楽シーンがさらに面白いことになるかもしれない。そんなきっかけになるかもしれない曲なのだ。とにかく聴いてほしい。というか、純粋に名曲だから聴いてくれ。

 

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おやすみポラリスさよならパラレルワールド

おやすみポラリスさよならパラレルワールド

  • でんぱ組.inc
  • J-Pop
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