オトニッチ

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ACIDMAN大木伸夫の帽子の中を見たら涙が出てきた

そこにあるのは宇宙ではなかった

 

ACIDMANのフロントマンである大木伸夫の帽子の中身は、見ることができないものだと思っていた。

 

活動当初は帽子を常に被っていたわけではないと思う。造花が笑うのMVでは被っていない。しかし、それ以降帽子を常に被り続けている。ここ最近では帽子が本体かと思うぐらい常に被っている。

 

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そんな大木伸夫だが、11月に放送された大木とストレイテナーホリエアツシの2人が出演したネット番組のBar Booにて大木が帽子を1回だけ外してしまったのだ。

 


とても失礼な話だが、自分は大木伸夫は薄毛だと思っていた。後頭部から禿げるザビエルタイプのハゲだと思っていた。メジャーデビュー後、すぐにハゲたと思っていた。

 

でも、違った。

 

大木伸夫には髪の毛があった。それなりに量があった。フサフサだった。それを見て、涙が出て来た。どうしてもっと早く帽子を取ってくれなかったのかと。どうしてもっと早く髪の毛を見せてくれなかったのかと。

 

自分は大木伸夫の毛髪量について特別な想いを持っている。大木伸夫の毛髪量が原因で友人と疎遠になっているのだ。

 

高校時代のバンド

 

 自分は高校の頃に同級生とバンドを組んでいたことがある。バンド名は”AMERICAN-FU GENERATION”(アメリカン・フージェネレーション)だ。略してアメカン。自分はベースを弾いていた。

 

このような名前だがアジカンの曲は一切やらず、基本的にはスピッツのコピーバンドだった。名前が面白かったのでアジカンをもじっただけだ。

 

バンドメンバーは3人だ。ギターとベースとドラム。全員スピッツが好きだったのでスピッツのコピーから始めた。スピッツファンならご存じだと思うが、スピッツファンがスピッツ以外に聴く音楽は人によってバラバラだったりする。ロックが好きだったりオリコン上位のポップスが好きだったり昔のフォークソングだったりサブカルよりの音楽だったり。それだけスピッツが様々な価値観の人に受け入れられているということだと思う。アメカンのメンバーもスピッツ以外に聴く音楽はバラバラだった。

 

ボーカル・ギター→ゆずの大ファン(以下ゆずっ子)

ドラム→BUMP、ストレイテナー、エルレガーデン、ACIDMANなどロキノン系大好き(以下ロキノン男)

ベース→椎名林檎、くるり、スーパーカーなど世代が上のロキノン系好き(自分)

 

このようにスピッツ以外に聴く曲は全員少しだけジャンルが違っていた。最初はスピッツだけをコピーしていた。しかし、だんだんとスピッツ以外のアーティストの曲もやりたいとみんな言い出すようになった。ゆずっ子がゆずをやりたいと言うからサヨナラバスをバンドでやってみたり、自分がやりたいと言ってボーカルのゆずっ子は男なのに椎名林檎のここでキスしてをやったりした。

 

ロキノン男も自分の好きな曲をやりたいと言った。その曲はACIDMANの造花が笑う。自分とゆずっ子は知らない曲だった。

 

造花が笑う
ACIDMAN
2004/04/01 ¥250

(タイトルをクリックでダウンロード)

 

 めちゃくちゃカッコいい。3ピースバンドで自分たちと編成も同じ。バンドスコアを見るとそれほど難しくなさそうだったので練習すればできそう。特にBメロがお気に入り。ベースとドラムが「ガッデム!」て叫ぶとところ。ここはやっていて気持ち良さそう。

 

ロキノン男からACIDMANのアルバムを借りて全て聴いた。造花が笑うだけでなく他の曲もカッコいい。3ピースなのに音が壮大で他にはない3ピースバンドに感じた。

 

もしもロキノン男と出会っていなければ、ACIDMANの魅力は知ることはなかったかもしれない。他にもストレイテナーの良さやエルレの素晴らしさも彼から教えてもらった。

 

そして、ACIDMANに興味を持てば持つ程気になってしまうことがあった。

 

それは、フロントマンの大木伸夫の毛髪だ。

 

はげ

 
インディーズ時代やメジャーデビュー当初の大木伸夫は毛髪を見せながら写真や映像に映っていることはあったようだが、すぐに毛髪を帽子で隠すようになった。今では大木伸夫の帽子はタモリのグラサンほどに重要な役割を担っている。
 
それほど重要な役割を担ってくると、その向こう側を見たくなってくる。タモリがサングラスを外したところを見たいでしょ?昔は外していたとかそういう問題じゃなくて、今のそれを見たいわけです。
 
見れないとなると色々と想像してしまう。タモリの場合はサングラスをしている理由は判明しているからそこまで気にならないのだが、大木が帽子を被っている理由は判明していない。
 
だから妄想してしまう。ハゲなんじゃないのか、と。
 
自分は「大木さんハゲてるんじゃないの?」とアメカンのメンバーに話していじったりしていた。ゆずっ子も「ザビエルな気はするw」と言ってた。ロキノン男も「音楽が濃ければ髪は薄くてもいいよwてかハゲじゃないから」と話していた。
 

アメリカン・フー・ジェネレーションに入った亀裂

 
自分も調子に乗りすぎた部分はあったと思う。毎日のようにハゲネタを言い過ぎた。造花が笑うの「ガッデム!」の部分もふざけて「ハゲてる!」と叫んでゆずっ子と笑ってたりした。ロキノン男は「ふざけすぎだろ」と少しだけ怒ってはいたけど、それをからかうことも面白かった。
 
 しかし、そんなふざけたやり取りがバンドに亀裂を入れるきっかけになってしまう。
 
ある日、造花が笑うをいつも通り練習していた時のことだ。ボーカルをしていたゆずっ子が途中で笑ってしまい歌えなくなってしまった。
 
ゆずっ子「ごめん、最近ハゲネタ言い過ぎてたから、ハゲてる大木さんを想像したら歌うの無理だったw。てか笑っちゃうからこの曲やるの止めようよw」
 
空気が凍った。ロキノン男が明らかに怒っている。ハゲしく怒っている。自身が好きなミュージシャンを笑いのネタにされ馬鹿にされているから怒るのも当然かもしれない。今まで笑って流していたロキノン男が大人な対応をしてくれていただけだ。しかし、これは我慢ができなかったのだろう。ロキノン男がハゲしく声を荒げた。
 
ロキノン男「ふざけんなよ!それならゆずだって歌えないだろ!岩沢厚治だって5年後にはハゲそうじゃねえかよ!」
 
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アメリカン・フー・ジェネレーションのその後

 
このような理由で亀裂が入り、アメリカン・フー・ジェネレーションは解散した。音楽性の違いってやつだ。
 
アメカンの活動期間は6か月ほど。アメリカンコーヒーのように薄い活動内容で苦い思いも経験した。バンドで話したことも中身のない薄い会話が多かった。それでもバンド活動は楽しかったし大切な思い出だ。今でも辛いと思ったときに当時を思い出して自分をハゲましている。
 
アメカンが解散してからはメンバーとの仲も少しギクシャクして友達としても遊んだりすることが減った。今では高校卒業から5年以上は経ってしまい連絡は殆ど取っていないし、岩沢厚治はまだ髪の毛がある。
 
しかし、2017年になって大木伸夫の帽子の中身を見てしまった。フザフザな大木の髪の毛を見て、様々な想いが駆け巡った。
 
自分は大木さん対してもロキノン男に対しても、とても失礼なことを言っていた。フサフサの人をハゲ扱いしていたのだ。自分の間違いにも反省し、人を傷つけるようなことを言っていた自分のクズさを感じた。
 
冗談のつもりでも言って良いことと悪いことがある。自分が面白いからという理由や友人とふざけあってでも、誰かを傷つけるようなことを言ってはいけないのだ。当時の自分やゆずっ子はハゲネタを言うことで不機嫌になるロキノン男を見て面白がっていた部分もあった。最低だ。
 
もしも自分がハゲネタを言っていなければ、アメカンは解散しなかったかもしれない。
 

Goddamn

 
 大木伸夫の髪の毛を見て、ロキノン男にメールを送った。携帯のキャリアメールは届かなかったので、ショートメールを送った。殆ど連絡を取っていなかったので何年振りか覚えてないほどだった。
 
「久しぶり。ACIDMANの大木さんがネット番組で帽子を取ったよ。髪の毛フサフサだった。今更だけど大木さんをハゲ呼ばわりしてごめん」
 
 返事は思っていたよりも早く来た。自分が送ってから10分後ぐらい。
 
ロキノン男「マジで?でもぶっちゃけ俺もハゲ隠しに帽子被ってると思ってた」
 
 
・・・・・・・・・・・・。
 
 
 え・・・・・・?
 
 
それなら何故にゆずっ子に怒ったんだ・・・・・・?
 
 
ロキノン男もハゲてると思ってたならいっしょにハゲネタで笑ってたら、もっと仲良く長い期間バンドができてたんじゃないのか・・・・・・?
 
 
 そもそも気軽にハゲネタは使ってはいけないのか?
 
よくわからなくなってきた・・・・・・。
 
 
・・・・・・・・・・・・。
 
 
 
ガッデム!
 
 
↓髪の毛と同様に濃いであろう内容の新作アルバムをACIDMANがリリースしますよ