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Maison book girl(ブクガ)とSUPERCARの共通点とヤバさについて

Hatena Feedly

最近おかしなグループ増えてますよね

 

ここ数年アイドルブームが過熱しているせいなのか、おかしなアイドルグループが増えてるんですよ。

それはキャラクターやコンセプトが変わっていたり、扱っている楽曲が変わっていたり。

 

その〝おかしさ〟のせいで色物扱いされたり売れない若手お笑い芸人のように扱われることもある。

逆に〝おかしさ〟のおかげで個性が生まれたりアイドルファンだけでなく音楽ファンにも評価されたり一目置かれることもある。

 

この例で言うとMaison book girlことブクガは、まさに後者の代表だろうなと思う。

1度聴けばすぐにブクガの曲だとわかる音作り。

何拍子かわからなくなるような変拍子と複雑な構成。

それなのにポップさも感じる。

 

これはアイドルソングとしてだけでなく、ポップスとしても新しさや面白さを感じる。

 

ブクガを聴いて鳥肌が立った

 

先日ブクガも出演するライブへ行ってきた。

なんとドリンク代のみでチケット代無料のイベント。

 

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これがとてつもなく良かった。

会場の雰囲気が良かったこととあるし、初めて2階席から全体の動きをじっくりと観れたこともあるかもしれない。

パフォーマンスに感動した。

 

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特に最後にパフォーマンスされたroomという曲。

これが素晴らしかった。

この曲は今のMaison book girlの最新シングル曲だ。

 

実はブクガのことはそれほど熱心に追いかけてはいなかった。

アルバムは聴いていたけども、最新シングルまでは追えていなかった。

 

このroomという曲、凄いです。

きちんとブクガを追えてなかったことを後悔するぐらいに。

 

この曲をライブで初めて聴いて、曲のあるポイントで鳥肌がたった。

それはSUPERCARのSunday Peopleという曲を初めて聴いた時と同じ衝撃だった。

その時と同じように鳥肌が立った。

 

roomという曲について

 

👇Maison book girl・room(画像をクリックで動画になります)

 

この曲はおそらく7拍子の曲かな?

複雑だからもしかしたら違う拍子かもしれない。

複雑な拍子だけど、独特なリズムと不思議な編曲が癖になる。

 

できれば最初から聴いてもらいたいが、この曲の聴き所はサビだと思う。

最初のサビは動画で言うと58秒あたりから始まる。

 

サビの途中で何度か一瞬無音になる間がある。

それは2番のサビや最後のサビにも間の長さが違うものもあるが、すべてのサビで存在する。

 自分がroomを聴いて鳥肌が立った箇所は、このサビの無音になる箇所だ。

 

曲をぶつ切りするかのように突然曲を止める一瞬の間。

しかし何事もなかったかのようにまた再開される曲。

そしてその流れに違和感は全くないのだ。

 

予定調和を崩すということ

 

なぜ自分がroomを聴いて衝撃を受けたのか。

それは自分の予想していた曲展開の予想をみごとに崩す曲展開で、それが自分が想像していた以上に綺麗にはまっていたからだ。

 

roomはブクガを知らなかった人にとっては変拍子だし編曲も変わっているしで、アイドルソングとしてもJ-POPとしても新鮮には感じるとは思う。

roomは今までブクガの曲を聴いたことある人にとっては、全体の印象としては『ブクガの王道的な曲』と思っている人が多いのではと思う。

自分も曲の途中まではそう思って聴いていた。

 

しかし、サビで一瞬の間を入れることで『王道的なブクガの曲』という予定調和を崩して違う印象を残したのだ。

それによってブクガを知っている人やファンも途中までの「いつものブクガ」とは違う印象も感じたのではと思う。

 

予定調和を崩すことは音楽に限らず、映画や小説などの創作活動においては重要ではと思っている。

受け手の予想を裏切るような予定調和の崩し方をした作品は印象にも残るし、感動することが多い。

人の感情を動かす作品は、殆どの場合『予定調和を崩す』展開がどこかにあるのではと感じる。

 

SUPERCARのSunday Peopleについて

 

自分がMaison book girlのroomを聴いて感じた衝撃は、SUPERCARのSunday Peopleを初めて聴いたときの衝撃と似ている。

 

👇SUPERCAR・Sunday People(画像をクリックで動画になります)

 

 

SUPERCARは90年代後期から2000年代前半に活躍し2005年に解散したロックバンドだ。

多彩で高い音楽性で多くの音楽ファンに支持され、今でも伝説のバンドとして多くのバンドに影響を残しているバンド。

 

Sunday Peopleは1998年にリリースされた楽曲だ。

およそ19年前の楽曲。

それにも関わらず曲に古さは感じず、もしも今新曲としてリリースされたとしても新鮮な曲に感じると思う。

 

心地よいシンセサイザーの音のバック流れる歪んだギターが気持ちいい。

ナカコーとフルカワミキのボーカルの相性も良い。

ミドルテンポのロックチューンの名曲。

 

この曲を初めて聴いたときも自分は鳥肌が立った。

動画で言うと3分30秒あたりからだ。

出来れば最初から聴いてもらった方が、その部分のインパクトは大きいと思うので最初から聴いてもらいたい。

 

心地よい演奏がぶつ切りするかのように突然無音になる。

そして静かにまた歌い始め、元の演奏に戻っていく。

 

ブクガとは無音になり元の演奏に戻るという共通点があるので、似たような衝撃と感じたが、これも予定調和を崩して成功した曲だと思う。

無音にせず心地よい演奏のまま終わってもSunday Peopleは評価されたと思う。

「シューゲイザーを感じるシンセサイザーの音が心地よいロックの名曲」とか言われて。

 

しかし、あえて後半で曲展開を変えることで予定調和を崩すことで曲の深みが増した。

この曲は今でもSUPERCARの人気曲の1つだ。

それはこの『予定調和を崩した曲展開』に衝撃を受けた人が多いことも理由の一つかもしれない。

 

崩した予定調和を予定調和にしてしまうブクガ

 

曲の途中で無音の間を作る部分と予定調和を崩す部分ではブクガとスーパーカーでは共通点はあった。

しかし、ブクガのroomがスーパーカーのSunday Peopleとは明らかに違う部分がある。

 

それは、無音の間を何度も繰り返すことだ。

 

SUPERCARのSunday Peopleは無音になり曲の展開が代わる部分は曲の後半に1回あるのみだ。

それに対してブクガのroomはサビで毎回無音になる。

最後のサビは編曲を変えてはいるものの、1回のサビに対して3回ほどある。

 

そのため最初のサビで曲をぶつ切りにするような無音に衝撃は受けるが、聴いていてだんだんと慣れてくる。

「次のサビもこのタイミングでこの曲展開になるな」というリスナーの予想通りの曲展開になっていく。

 

つまり、ブクガのroomは序盤で予定調和を崩されて衝撃を感じるが、その後は予想通りの曲展開でインパクトのある曲というよりも、「心地よい曲」という印象で曲が終わる。

予定調和を崩した後に、その崩した曲展開を『予定調和』にしてしまうという面白い曲に感じる。

 

それに対してSUPERCARのSunday Peopleは序盤から中盤にかけては心地よく曲が進む、リスナーの予想通りの曲展開だが、後半で予定調和を崩し、その余韻を残したまま「インパクトのある曲」という印象で曲が終わる。

 

最初に予定調和を崩して印象を残した後、曲の世界観に連れ込むブクガ。

心地よい演奏とメロディで曲の世界観へ連れ込んだ後に、インパクトのある曲展開で印象を残し忘れられなくするスーパーカー。

 

どちらが良い悪いというわけでもないが、曲を伝える方法としてどのように印象に残すかという部分で、どちらもかなり考えられているのではと感じる。

 

これからのブクガの課題

 

Maison book girlの存在や楽曲はデビュー以来、注目度は増している。

メジャーデビューをしアルバムもリリースし、1,000人規模でのワンマンライブも行えるようになった。

12月には2,000人規模でのワンマンライブが予定されているのだ。

 

ブクガの曲は変拍子やオリジナリティある編曲や音の使い方をしている。

それは今までのアイドルソングやJ-POPでは珍しく、個性的で新しさを感じる曲だ。

それはアイドルソングやJ-POPの『予定調和』を崩すような個性的で独特なもの。

だからこそ楽曲が注目されることが多いアイドルグループになっているのではと思う。

 

ブクガはこれまでの活動でアイドルファンや音楽ファンに「他のアイドルとは違う」ということは十分にアピールできていると思う。
アイドルソングやJ-POPの予定調和を崩してインパクトを与えることには成功していると思う。

 

しかし、これからがMaison book girlの正念場ではとも感じる。

 

それは「Maison book girlはこういうグループでこういう音楽をやっている」というイメージがすでに出来上がっているかだ。

ブクガが新曲を出すと、どのような曲が来るのかという系統はファンはもちろん、ファン以外でも存在を知っている人ならなんとなく想像できる。

今までの活動で確固たる個性を手に入れたからであろう。

 

roomも自分は衝撃を受けたが、曲の全体的な雰囲気は今までのブクガの曲とそれほど違いはない。

ブクガだとしたらこういう曲を出すのだろうという想像の範囲内ではあった。

もちろん、曲のクオリティは高いし、ここまでに述べた通り、今までにない曲展開や面白いポイントも多々あった。

しかし、「ブクガと言えば変拍子で音はこういう音を使って編曲はこんな感じ」というイメージからは抜けきっていないようにも感じた。

 

今回ブクガと比べるような形で出したSUPERCARは新しい取り組みや挑戦を続けてきたバンドでもある。

デビュー曲のcreamsodaから最終シングル曲のLast Sceneでは曲の雰囲気も音作りも違う。

しかし、聴けばSUPERCARだとわかる個性がある。

 

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LAST SCENE

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長い間第一線で活動しているアーティストでも変化や挑戦はしている。

 

例えばスピッツもそうだ。

スピッツといえば世間のイメージはロビンソンやチェリーのようなミドルテンポの曲でポップでさわやかというイメージや、ボーカルの草野マサムネの透き通った美声のイメージが強いのではと思う。

しかし、メモリーズという曲では歪んだギターのアップテンポの曲でAメロではマサムネのボーカルにもエフェクトをかけて歪ませている。

 

メモリーズ

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多くの人気アーティストはどこかのタイミングで失敗したら自らの個性をつぶしてしまうかもしれないような挑戦をしている。

しかし、その挑戦をすることでファンやリスナーに新しい刺激や発見を提供して、多くの人に評価されたり、長い期間活動を続けられるのではとも思う。

 

ブクガも今の方向性の曲をどんどんリリースしていっても評価はされるとは思う。

実際に個性もあるしクオリティも高いからだ。

それでもどこかのタイミングでブクガの予定調和を壊すような、新しいMaison book girlの姿を見せる必要があるのではとも感じる。

 

そのタイミングがいつがベストなのかは自分にはわからないし、おそらくプロデューサーのサクライケンタ氏やメンバーの方が理解しているとは思う。

 

今のままクオリティの高いファンの予想通りの名曲をリリースし続けることも良いかもしれない。

しかし、自分はroomを聴いてブクガとして新しい部分の片鱗も感じただけに、そろそろ誰しも最初から最後までびっくりするような『ブクガとしての予定調和』を崩すような曲を聴いてみたいなとも思う。